エディ・リーダーが歌う
「蛍の光」(Auld Lang Syne)を
聴きながら1年を締め括り、
新しい年を迎える

フェアグラウンド・アトラクションの
リード・シンガーとして鮮烈なデビュー

エディ・リーダー(Eddi Reader)は1959年、スコットランドのグラスゴーで生まれている。18歳頃からストリート・ミュージシャンとして活動していたが、80年代中頃にロンドンに出てバッキングヴォーカリストとしてユーリズミックスをはじめ多くのレコーディングセッションやライヴ、ツアーに参加する。87年にフェアグラウンド・アトラクションの結成に加わり、リードシンガーを務める。1988年リリースのデビューアルバム『ファースト・キッス(原題:The First of a Million Kisses)』からのシングル「パーフェクト」が全英No.1に輝き、日本でもヒットした。バンドはもう1枚アルバムを作り90年に解散し、エディは以降ソロで活動している。中でもアルバム『天使の溜息(原題:Eddi Reader)』(‘94)からシングル「ペイシャンス・オブ・エンジェルズ」が全英5位に入り、翌年のブリットアウォードで彼女はベスト・ブリティッシュ・フィーメイルを受賞する。現在までにコンスタントにアルバムを制作し、日本にもコンサートで度々訪れている。スコットランドやアイルランドの伝統音楽、米国のカントリー音楽などのルーツミュージックの影響を受けた音楽性で知られ、2003年にリリースしたのが、ライフワークのように取り組んでいたバーンズの詞作品を集めた『ロバート・バーンズを想う(原題:Sings The Songs Of Robert Burns)』だった。

この人の歌には気高さ、芯の強さを感じさせながら、どことなく埃っぽさ、土臭さがある。それでいて、決して俗っぽくならず、清々しい。それは英国人(我々はイングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドを一括してしまうが)ではなく、スコットランド人なのだという矜持みたいなものから来るのだろうか。そんな彼女がロバート・バーンズを歌う。ケチをつけるところが見つからない出来だ。本作はきっと終生、彼女の代表作として長く位置し続けると思う。

演奏はほぼアコースティックで、ギターのコリン・リードやイアン・カー、アコーディオンのフィル・カニンガム、フィドルのジョン・マッカスカー、他、ケルティック系の手練のミュージシャンが彼女を支える。楽器の音、弦楽器の織りなすアンサンブルの豊かさにも魅了されるだろう。アルバムがニューウェイブ、パブロック系のラフ・トレードからリリースされたのは意外だった。

今年も悲喜こもごもいろいろなことがあった一年でした。別れもあれば再会、出会いもまた…。「蛍の光」を聴きながら、来年が誰にとっても平和で善き年になることを祈らずにはいられません。最後に、今年もこの連載をお読みくださいまして、心よりお礼申し上げます。皆様、どうぞ、よいお年をお迎えください。佳き音楽とともに!

TEXT:片山 明

アルバム『Sings the Songs of Robert Burns』2003年発表作品
    • <収録曲>
    • 1. ジェイミー・カム・トライ・ミー/Jamie Come Try Me
    • 2. マイ・ラヴ・イズ・ライク・ア・レッド・レッド・ローズ/My Love Is Like a Red Red Rose
    • 3. ウィリー・スチュワート~モリー・ランキン/Willie Stewart/Molly Rankin
    • 4. イ・フォンド・キス/Ae Fond Kiss
    • 5. ブローズ・アンド・バター/Brose and Butter
    • 6. イ・ジャコバイツ/Ye Jacobites
    • 7. ワイルド・マウンテンサイド/Wild Mountainside
    • 8. チャーリー・イズ・マイ・ダーリング/Charlie Is My Darling
    • 9. ジョン・アンダーソン・マイ・ジョー/John Anderson My Jo
    • 10. ウィンター・イット・イズ・パスト/Winter It Is Past
    • 11. オールド・ラング・ジン/Auld Lang Syne
    • 12. グリーン・グロウ・ザ・ラッシズ・オー/Green Glow The Rashes O
『Sings the Songs of Robert Burns』(‘03)/Eddi Reader

OKMusic編集部

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