ロバート・プラント&
アリソン・クラウスの
『レイジング・サンド』は、
スーパースターふたりによる
アメリカーナの傑作盤
プロデュースを担当したのはT・ボーン・バーネット。アメリカのポピュラー音楽界において、ドン・ウォズと双璧を成すアメリカーナ音楽の超大物プロデューサーである。
ブルーグラス音楽のニューヒロイン
ところが、80年代にシンセポップやテクノが流行して以降、土臭い香りを持つ音楽は一掃されてしまい、日本では都会的なポップスでないと通用しない風潮になった。ブルース、フォーク、カントリー、オールドタイム、ブルーグラス、ジャグバンド音楽などを愛好する一部のアーティストやリスナーは生き残ってはいるが、絶対数が圧倒的に少なくなってしまった。アリソン・クラウスがブルーグラスの新人アーティストとしてデビューするのは1987年で、当時日本の若者で彼女に興味を抱いたのは大学のブルーグラス・サークルとそのOBぐらいかもしれない。僕が彼女のことを知ったのは、初のグラミー賞受賞作品となった『I’ve Got That Old Feeling』(‘90)で、センシティブで透明感あるヴォーカルとスタジオミュージシャンとしても通用するフィドルのテクニックは、ブルーグラスの新たな可能性を明確に感じた作品であった。