最強のメンバーが集結した
タワー・オブ・パワーの3rdアルバム
『タワー・オブ・パワー』

『Tower of Power』(’73)/Tower of Power
サンフランシスコの文化
このムーブメントは自然回帰の運動とも同調、グレイトフル・デッドをはじめサンフランシスコで活躍する多くのロックグループが、サイケデリックロックからフォークやカントリーなどに影響された土臭いサウンドへと転身する。この転身は70年代初頭に激増するシンガーソングライターのサウンドとも呼応するのだが、同じサンフランシスコでもベイ・エリアは少し事情が異なる。オークランド、リッチモンド、ワッツなどの地域は人種の坩堝とも言える場所で、ビートの効いた激しい音楽を要求する場合も多く、R&Bをベースにした白黒混合のグループも少なくなかった。その中で、ラテン風味を前面に押し出したサンタナや、ジェームズ・ブラウンとマイルス・デイビスを範にしたスライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーンらはまったく新しいスタイルのダンサブルなロックを創造している。タワー・オブ・パワーはそういったグループに影響され登場してきたのであり、ホーンセクションのキレの良さとリズムセクションの技術の高さは群を抜いていた。彼らの実力は、ロック界の名プロモーターとして知られるビル・グレアムが設立したサンフランシスコレコードから『イースト・ベイ・グリース』(’70)でデビューしていることがその証拠になるだろう。