情感豊かなギタープレイが味わえる
アルバート・キングの
『アイル・プレイ・ザ・
ブルース・フォー・ユー』

『I’ll Play the Blues for You』(’72)/Albert King
3大キングの特徴
アルバート・キング(1923年生まれ)も、B・Bと同じくブルースマンでありながらジャンルにこだわらない活動を続けたアーティストだ。クリームやロベン・フォードが取り上げた彼の代表曲のひとつ「悪い星の下に生まれて(原題:Born Under A Bad Sign)」はスタックスレコード(南部のソウル専門レーベル)からリリースされており、南部ソウルのレーベルから彼はブルースを発信し続けていた。アルバート・キングは右利き用のギターをそのまま左で使用し、独自のオープンチューニングをいくつか使い分けるという独特のスタイルを生み出しているのだが、何より1音以上のチョーキングを多用し、そこから生み出されるエモーションに満ちた哀愁あるギタープレイが素晴らしい。ギターを弾く人ならわかっていただけると思うが、彼のギターをコピーするのはそう難しくない。しかし、深みのある音には絶対ならないというところに彼の凄さがある。
3大キングの中で一番年下のフレディ・キング(1934年生まれ)は、テキサスブルースを礎にR&B、ロック、ファンクなどに影響されたサウンドを持ち味に多くのロックミュージシャン(レオン・ラッセル、ドン・ニックス、カール・レイドル、ジェイミー・オールデイカーなど)をバックにスワンプロックのアルバムもリリースするなど、キャリア後半はロック寄りのブルースマンとして活動し、多くのロックアーティストに影響を与えている。ギタープレイの巧みさはもちろん、特に優れたリフを持つソングライティングが得意で、彼もまたアルバート同様クラプトンに取り上げられて知られるようになった「ステッピン・アウト」や「ハイダウェイ」など、初期の頃はインストの名演が多い。彼は1976年に42歳の若さで亡くなっているので、アルバムのリリースは他のふたりと比べると少ないが、全キャリアを通して注目すべきアーティストである。また、彼は歌もうまく、パンチのあるソウルフルなヴォーカルは彼のギタープレイと同様にアツい。