ねじれたポップセンスで異彩を放った
モノクローム・セットの
『ヴォリューム、コントラスト、
ブリリアンス』

『Volume, Contrast, Brilliance...(Sessions & Singles Vol. 1』(’83)/The Monochrome set

『Volume, Contrast, Brilliance...(Sessions & Singles Vol. 1』(’83)/The Monochrome set

今回はモノクローム・セットが1983年にリリースした『ヴォリューム、コントラスト、ブリリアンス(原題:Volume, Contrast, Brilliance...(Sessions & Singles Vol. 1))を取り上げる。本作は原題のサブタイトルにあるように1978〜1981年にリリースされた未アルバム化のシングル(もしくは別テイク)やラジオ出演時のセッションが収められているのだが、しっかりした統一感があり単なるコンピというよりは一枚のアルバムとして捉えたほうがいいかもしれない。「戦慄のシンフォニー(原題:Eine Symphonie Des Grauens)」「ジェット・セット・ジュンタ」(アルバム『エリジブル・バチェラーズ』収録のものとはテイク違い)「ラブ・ゾンビーズ」など彼らの代表曲を収録しているというだけでなく、彼らが最も輝いていた時期の演奏が聴ける傑作だろう。

チェリーレッドのコンピレーション

70年代後半から始まるポストパンク時代には、ニューウェイブ、エスノロック、ダブ、スカリバイバル、シンセポップなど、さまざまなスタイルの新しい音楽が生まれたが、それら初物は大手レコード会社では扱いにくいアイテムであり(売れるかどうか分からないから)、当時は雨後の筍のように設立されていた小回りの利くインディーレーベルからリリースされることが多かった。80年初頭、英インディーズレーベルのチェリーレッドからリリースされた廉価盤(99ペンス…約450円)のコンピレーション『ピロウズ・アンド・プレイヤーズ』(’82)が大ヒット、83年1月にNME誌のインディーズチャートの1位となる。このアルバムには、ベン・ワット、トレーシー・ソーン、フェルトらネオアコースティックのアーティストのほか、ミニマル音楽のピエロ・ミレジ、多角的な才能のあるベテランのケヴィン・コイン、アメリカの60sガレージバンド、ミスアンダーストゥッドなど全17曲が収録されており、一見節操がなさそうで、実はコンパイル担当のイエイン・マクナイ(チェリーレッドの創設者)のセンスの良さが光る選曲であったと思う。

その中で、ひときわ輝くねじれたポップ感覚を醸し出していたのが、モノクローム・セットの「戦慄のシンフォニー(原題:Eine Symphonie Des Grauens)」であった。オーケストラの静かなチューニング音からいきなり始まるドアーズのようなサイケデリックなガレージポップに何ともいえない魅力を感じ、彼らの3rdアルバム『エリジブル・バチェラーズ』(’82)を購入した。素晴らしいアルバムだと思った…しかし、僕の中では「戦慄のシンフォニー」に並ぶほどの曲はなかった。しかし、しばらくしてこの曲(しかも1曲目!)が収録された『ヴォリューム、コントラスト、ブリリアンス』(’83)がリリースされたのである。

OKMusic編集部

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