パワフルかつシンプルなサウンドで
絶大な支持を集めた
グランド・ファンク・レイルロードの
『グランド・ファンク』

『Grand Funk』(’69)/Grand Funk Railroad
シングル盤になった
長尺曲の「孤独の叫び」
特に当時のライヴで人気があったのは幕開きの「アー・ユー・レディ?」と「ハート・ブレイカー」「孤独の叫び」で、彼らの来日公演後には「孤独の叫び」のスタジオバージョンがシングルカットされることになる。ところが、この曲は9分半もあったために、レコード会社はシングル盤であるにもかかわらず33回転(通常のシングルEP盤は45回転)でのリリースという異例の対応をしている。要するに、曲を編集することなくフルバージョンで発売したのである。当時、長尺曲をシングル盤でリリースする際には、編集して短くするか、半分ずつをAB面に分けて収録するという方法が主流であったように記憶している。しかし、「孤独の叫び」に関しては、それらの方法では曲の魅力を半減してしまうということから33回転策が取られたのだ。
オリジナルではない「孤独の叫び」
アニマルズの「孤独の叫び」も、実はアラン・ローマックス(フィールド・レコーディングの大家)が黒人の刑務所で収録した曲を集めたコンピレーション『ニグロ・プリズン・ソングス』(’58)所収のワークソング「ロージー」を、エリック・バードンとチャス・チャンドラーがアレンジしたもので、GFRのバージョンはカバーのカバーと言えるかもしれない。アニマルズの「孤独の叫び」もパワフルですごい演奏なのだが、GFRの演奏はアニマルズを上回っていると僕は思う。