『Crosby, Stills & Nash』

『Crosby, Stills & Nash』

CS&Nが残した
米国フォーク/ロック史に残る
大傑作『Crosby, Stills & Nash』

 CS&N(Crosby, Stills & Nash)がやって来る! 3名揃ってでは2度目、約20年振りとなる。3月5日と6日、東京・東京国際フォーラムでの公演を皮切りに、3月9日には大阪・フェスティバルホール、3月10日に福岡・福岡サンパレス、3月12日に愛知・名古屋市公会堂で。そして、追加公演が3月19日に大阪・フェスティバルホールで行われることが決定している。CS&N、そしてニール・ヤングを加えたCSN&Yはポピュラー音楽史に残るユニットであり、彼らの出現以降のアメリカのみならず、世界中のフォーク、ロックに及ぼした影響は計り知れない。今回は来日を記念して、彼らの代表作『Crosby, Stills & Nash』('69)を聴いてみよう。

いつもの儀式のように、原稿を書く前にレコード棚を探ってみる。探すアイテムはすぐに見つかった。『Crosby, Stills & Nash』と次作となる『Deja vu』('70)がちゃんと並んで収納されていた。もちろん、『4 Way Street』('71)も一緒にある。スティーヴン・スティルスのソロ作、マナサス名義のアルバムもその隣に並んでいるのだが、『4 Way~』以降のCS&N、各メンバーのソロ作、リユニオンとなったCSN&Yのアルバムなどは、CDで購入したらしく、別のラックに並べられていた。

久しぶりにアナログ盤を取り出してみると、ジャケットの中にはご丁寧に購入日を記した紙片が挟まっており、『Crosby, Stills & Nash』は1974年12月20日、『Deja vu』は1975年1月10日とある。思い返してみると、自分の誕生日に『Crosby, Stills & Nash』を買って一発で気に入った私は、お正月のお年玉を使ってすぐさま間髪を入れず立て続けに『Deja vu』を買いに走ったらしい。こういう行動が分かるだけでも、購入記録を残しておくのも悪くないものだ。購入年から換算してみると、買ったのは中学2年生だったことになる。あちこちシミも目立つ。なにせ40年以上経っているのだから。アトランティック原盤で配給はワーナー・パイオニア株式会社。値段は2,500円と表記されている。ライナーノーツはなく、歌詞だけ載せられたシートが1枚のみ付いている。

何を思って彼らのアルバムを買おうと思ったのかは、今となっては記憶は定かではないが、同い年のクラスメートや部活の仲間にこの種の音楽を聴いている奴は皆無だったので、年上の先輩に勧められたり、音楽雑誌を見るうちにそこに書かれていた彼らの記事を目にして気になっていったのだろうか。

原稿を書き始めて、アッと思った。書きながら、ちょうど『Deja vu』を聴いているところだったのだが、ナッシュ作の「Teach Your Children」が流れたところで、急いでもう一度レコード棚を探ったら、もう1枚あった。映画『小さな恋のメロディ』('71)のサントラ盤。この曲は大ヒットした同映画で、主演の男女(マーク・レスター、トレイシー・ハイド)がトロッコに乗って走り去っていくのラストシーンに使われたものだった。グレイトフル・デッドのジェリー・ガルシアが客演して見事なペダルスティールを披露する、実に温かな曲だ。アラン・パーカー監督の出世作となったこの淡いティーンの恋愛を描いたイギリス映画は本当に素晴らしいもので、そのサントラは全編がビージーズ(まだディスコ曲でブレイクする前の純英国フォーク/ソフトロックだった頃の)が担当する中、唯一、CSN&Yの「Teach Your Children」だけが、そこに割り込んでいたのだ。そのサントラ盤を、映画鑑賞後に私は買っていたらしい。

というわけで、私はほぼリアルタイムでCS&NおよびCSN&Yのことは知っていたとみえる。遠い日の思い出…。読者には何の関係もないが、まだご覧になったことがない方には、ぜひ映画『小さな恋のメロディ』もお勧めしておく。ミック・ジャガーも出てくるし。もちろん、後述するが、彼らの音楽と姿をとらえた作品としてドキュメンタリー映画『ウッドストック』('70)は外せない。こちらは超有名なアイテムとして、現在でも入手はたやすいだろう。

OKMusic編集部

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