ロック史上、最も神秘かつ
謎に包まれたバンドとされる
サード・イアー・バンドの
異端の世界を覗いてみる
徹頭徹尾、
インプロヴィゼーションにこだわる
また、パブリシティもそうだが、レコードをどのジャンルに並べて売ればいいのか、現場の担当者たちは困惑したのではないか。まさか「トリップにお勧め」とは言えないわけで。結果、判断のしようがなくロックの片隅に彼らのアルバムは置かれたのだと想像するが、これは冒頭で名前を出した同じエクスペリメンタルロックを代表するバンドのヘンリー・カウにしても、カンタベリーロックの一派なのでロック扱いしやすかったものの、その音楽に触れてみればロックの枠に入れるのには無理がある。やはりアヴァンギャルドでしかないのではないか。
私自身、音だけを聴き流してきたのだが、聴き方によっては難解でもなければ、決してとっつきにくい音楽ではない。ただ、初めて聴いた時から思っているのだが、本作や彼らがやっている音楽がそもそもロックというジャンル、カテゴリーに入れていることに猛烈に違和感を感じたものだ。サード・イアー・バンドのメンバーも、ロックなど意識しなかったかもしれず、自分たちの音楽がまさかロックの範疇に入れられるとは、さぞかし苦笑していたことだろう。