情感豊かなギタープレイが味わえる
アルバート・キングの
『アイル・プレイ・ザ・
ブルース・フォー・ユー』
ブッカー・T&ザ・MG’sから
バーケイズへ
ところが、MG’sは71年に活動停止してしまう。その前後、スタックスは第2のMG’sとしてアイザック・ヘイズが育てたバーケイズをスタックスのハウスバンドとして起用している。バーケイズはオーティス・レディングのツアーバンドを務めていたが、不幸なことに67年に不慮の飛行機事故でオーティスとメンバー6人中4人を失い、残ったふたりが立て直しを図るという過去があった。ヘイズの尽力もあって、バーケイズは後継メンバーと新たなスタートを切っていた。
本作『アイル・プレイ・ザ・
ブルース・フォー・ユー』について
アルバム収録曲は全部で8曲、アン・ピーブルズでお馴染みの「ブレイキング・アップ・サムバディズ・ホーム」も7分以上の熱演で、バーケイズのファンキーでタイトなリズムセクションをはじめ、アルバートのギターもエモーショナルなプレイを聴かせている。マービン・ゲイで知られる「アイル・ビー・ドッゴーン」は完全にファンクスタイルで演奏されており、この曲でのメンフィスホーンズのプレイはアヴェレージ・ホワイト・バンドのようなキレの良さだ。
70年代に入ってスタックスのサウンドは徐々にソフトになっていくのだが、本作でのバーケイズとメンフィスホーンズのサポートはMG’sのようなタイトさがあり、そこに情感たっぷりのアルバート・キングのギターワークが加わることで素晴らしい相乗効果が生まれている。
なお、現在のCDはボーナストラックが4曲入っており、タイトルトラックの別テイク(9分近い)や、オリジナルよりロック的なアレンジの「ドント・バーン・ダウン・ザ・ブリッジ」の別テイクなどが収録されており、4曲とも充実度は文句なし!
このアルバムを気に入ったら、ストーンズの「ホンキー・トンク・ウィメン」のカバーを収録した前作『ラブジョイ』(’70)や、よりファンクの要素が濃くなった次作『アイ・ワナ・ゲット・ファンキー』(’74)も良いので、ぜひ聴いてみてください。
TEXT:河崎直人