『Movies』('79)/ Holger Czukay

『Movies』('79)/ Holger Czukay

80年代以降の音楽の構造を
変革したクラウト・ロックの鬼才
ホルガー・シューカイの傑作
『ムーヴィーズ』

音楽の制作スタイルさえ変えてしまった
シューカイの革新性、智能

本作以降、80年代に入るとデジタル機器の進化が加速し、シューカイが短波ラジオから音源を拾うという奇策など、サンプリングマシーンの登場によって、いっそう簡易なものとなり、レコーディングにサンプル素材を導入するアーティストも増えることとなる。シューカイがサンプリングの祖と呼ばれたりするのはそんな先駆者的な発想を本作で提示したからだろう。あと、80年代以降、エスニックというか、米英独仏以外の音楽がヒットチャートに登ったり、そうしたワールドミュージックを取り入れるアーティストが現れるが、「ペルシアン・ラヴ」だけをとってみても、シューカイが先鞭をつけたのではないかと思えてくる。そういえば、シューカイが在籍した最後のカンのアルバム『ソウ・ディライト(原題:Saw Delight)』(’77)はワールドミュージック色が濃く反映された作品だった。

『ムーヴィーズ』以降、特に次作となる『ノーマルの頂へ(原題:On the Way to the Peak of Normal)』(‘81)も高い評価を受け、世のシューカイへの注目はもちろん、カンへの再評価も高まり、80年代以降、それまで一般には関心を持たれなかったカンやジャーマンロックに光が当たるようになった。ジャーマンロックという言い方さえ、90年代に入るとクラウト・ロック(語源はドイツの一般的な食品ザワークラウトから来ている)と呼び名を変え、今や日本のマーケットでも特別なものではなくなっている。シューカイの功績と言ってもいいかもしれない。

TEXT:片山 明

アルバム『Movies』1979年発表作品
    • <収録曲>
    • 1. クール・イン・ザ・プール/Cool In The Pool
    • 2. オー・ロード,ギブ・アス・モア・マネー/Oh Lord, Give Us More Money
    • 3. ペルシアン・ラヴ/Persian Love
    • 4. ハリウッド・シンフォニー/Hollywood Symphony
『Movies』('79)/ Holger Czukay

OKMusic編集部

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