最強のメンバーが集結した
タワー・オブ・パワーの3rdアルバム
『タワー・オブ・パワー』

フィルモア最後の日

ビル・グレアムがオーナーを務め、数多くの優れたライヴ録音を残したことでも知られるフィルモア・ウェストが閉館することになり、71年夏に1週間ほど、フィルモアの人気ライヴアクトが一堂に会するさよならコンサートが行なわれた。この模様を収めた映画『フィルモア最後の日』は72年に日本でも劇場公開され、併せてサウンドトラックとして3枚組のLPレコード(函入りで豪華な仕様)も発売された。ただ、権利関係のトラブルがあったらしく、映画もサントラもそれからしばらく再発されることはなかった(サントラは91年にCD化、映画がDVD化されたのは2008年)。この作品が他のロック映画のように何度もリリースされていれば、サンフランシスコ界隈のグループにもっと注目が集まったはずである。

この映画に登場するのは、60年代から70年代初頭にかけて西海岸で絶大な人気を誇ったグループやシンガーたち。グレイトフル・デッド、サンタナ、クイックシルバー・メッセンジャー・サービス、イッツ・ア・ビューティフル・デイ、マロ、コールド・ブラッド、タワー・オブ・パワー、ホット・ツナ、ボズ・スキャッグス、ニューライダース・オブ・ザ・パープル・セイジ、ラム、タジ・マハールなどであるが、残念ながら現在の日本で記憶されているのは、サンタナ、デッド、ボズ・スキャッグス、そしてタワー・オブ・パワーぐらいかもしれない。

さて、僕がこの3枚組のサントラ『フィルモア最後の日(原題:Fillmore: The Last Days)』を友達に借りて聴いたのは中学3年生の時。中でも、当時はブラスロックにカテゴライズされていたタワー・オブ・パワーのすごさにはぶっ飛んだ。彼らのサウンドはシカゴやBS&Tのようなブラスロックとはまったく違っていて、今から思えばブラスロックバンドはホーンセクションをメロディーのアクセントとして使っていたのに対し、タワーはホーンをリズムセクションの一部としても使い独特で圧倒的なグルーブ感を生み出していたのである。メンバー編成は、スライのグループやサンタナと同様にタワーも白黒混合グループであり、ヴォーカルとオルガンのふたりが黒人である。

OKMusic編集部

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