クソみたいな2020年、俺を励ましてくれた5曲

クソみたいな2020年、俺を励ましてくれた5曲

クソみたいな2020年、
俺を励ましてくれた5曲

新型コロナの野郎のせいでライヴハウスにも行けず、楽しみにしてたライヴやフェスは軒並み中止。新しい生活様式とやらのせいでリモートワークを強いられて、対面取材もできやしない。春先からぱったりと仕事がなくなって収入も絶えて、10年ぶりにバイトを再開(もう辞めたけど)。楽しい日常だけじゃなくて、音楽ライターとしての自信や尊厳までもごっそり取り上げられた、クソみたいな2020年がもうすぐ終わる。この時代だからこそ生まれた新曲が少しずつリリースされたり、配信ライヴがクオリティーを上げて一般化してきたり。自粛期間も前向きにとらえたアーティストや音楽関係者みなさんの力で、少しずつ明るい光が刺し始めている昨今ですが。新型コロナに変わらずビビってる世の風潮を見ると、2021年になってもまだまだこの状況は変わらなそう。あ~、生のライヴが観たい! 密になって騒ぎたい! …と、クソみたいな2020年への怒りや苛立ちをつらつらと書き連ねましたが、そんな2020年に俺を励ましてくれた5曲を紹介します。
「香水」収録配信シングル「香水」/瑛人
「SURVIVE」収録アルバム『WAGAMAMA RAKIA』/我儘ラキア
「かつて天才だった俺たちへ」収録アルバム『かつて天才だった俺たちへ』/Creepy Nuts
「DO YOU LIKE ME」収録アルバム『ねえみんな大好きだよ』/銀杏BOYZ
「世情」収録アルバム『愛していると云ってくれ』/中島みゆき

「香水」('19)/瑛人

「香水」収録配信シングル「香水」/瑛人

「香水」収録配信シングル「香水」/瑛人

好き嫌い関係なく、今年一番耳に入ってきた曲(本人歌唱以外も含む)であり、2020年を思い返した時、真っ先に浮かぶであろう「香水」。シンプルなギターサウンドに乗せた、一度聴いたら頭から離れない温かみある歌声とキャッチーなメロディーと歌詞。ジャンルがどんどん細分化したり、歌詞や構成が難解になってる近年の音楽と異なり、思わず口ずさみたくなるこの曲。たくさんの人が歌ってみた動画をアップするなど現代っぽい展開も手伝って、誰もが知る大ヒット曲となった。ライヴや新譜のリリースもストップして、音楽が不要不急とされていた自粛期間中。音楽や歌うことの楽しさ、音楽を通じた人とのつながりを思い出させてくれたこの曲の存在価値って、今考えるとすごく大きかったんじゃないか?と思う。個人的には、朴訥として良い人感丸出しの瑛人の人柄も興味津々。元日にリリースされる『すっからかん』も要注目!

「SURVIVE」('20)/我儘ラキア

「SURVIVE」収録アルバム『WAGAMAMA RAKIA』/我儘ラキア

「SURVIVE」収録アルバム『WAGAMAMA RAKIA』/我儘ラキア

2月にライヴハウスでクラスターが出て、ライヴやイベントが続々と延期になり、3月に入ってからはばったりとライヴに行けなくなってしまったので。自粛前、最後にライヴハウスの熱気を味わったのが2月末、我儘ラキアの東京ワンマンでした。あの日、初めてラキアのライヴを観た俺。アイドルの古い概念をぶち壊すロックなステージとモッシュやリフトが横行する熱いフロアに大興奮して、一発でファンになってしまった。その後、9月の大阪から延期になっていた全国ツアーをリスタート。11月の東京ファイナルでは自粛中に仕上げた新曲を掲げて、全国で鍛え上げたステージを見せつけてくれた。この原稿を書くのに2020年ベストを選ぼうと思った時、今年は「あの日のライヴで聴いた、あの曲が忘れられない」みたいな、曲と紐付いた思い出がなさすぎて選ぶのに苦労したけど。初めて観たライヴの衝撃から自粛を経ての成長と、クソみたいな一年もしっかりサヴァイヴした我儘ラキアの物語はばっちり思い出に残りました。12月23日発売のミニアルバム『WAGAMAMA RAKIA』もめちゃくちゃカッコ良い! 2021年の活躍に刮目せよ!!

「かつて天才だった俺たちへ」('20)
/Creepy Nuts

「かつて天才だった俺たちへ」収録アルバム『かつて天才だった俺たちへ』/Creepy Nuts

「かつて天才だった俺たちへ」収録アルバム『かつて天才だった俺たちへ』/Creepy Nuts

年間100本以上観てたライヴやフェスも行けない、アーティストへの直接取材もない、新譜も届かない。音楽と接するのはCDやサブスクで聴くか、動画や配信ライヴを観るくらいで、思ったことや感じたことを原稿に起こすこともない。もはやみんなと何も変わらない、いちファンとして音楽と付き合ってた自粛期間。「おかしいな、こんなはずじゃなかったのにな。俺、ここまで頑張ってきたのになぁ」と落ち込んでる気持ちをアゲてくれたのがこの曲だった。かつて天才だった俺たちへの《悩めるだけ悩め 時が来たらかませ》や《まだ諦めちゃいない》のフレーズに、あんな励まされると思わなかった! 2020年はテレビで観る機会も多く、俺だけじゃないたくさんの人に勇気を与えてくれた彼ら。そう、俺もキミも大器晩成。時が来たらかましてやろうぜ!って俺、もう40代中盤だけど。

「DO YOU LIKE ME」('20)/銀杏BOYZ

「DO YOU LIKE ME」収録アルバム『ねえみんな大好きだよ』/銀杏BOYZ

「DO YOU LIKE ME」収録アルバム『ねえみんな大好きだよ』/銀杏BOYZ

新型コロナのせいでやむなくリリース延期になっていた作品や、自粛期間中に制作した作品がだんだんリリースされ始めている昨今ですが。コロナや自粛はあんま関係なしに、前作から6年半も待たされた銀杏BOYZの最新アルバム『ねえみんな大好きだよ』が、ついにリリースされたのは嬉しいニュースだった。心掻き乱すノイズ音で始まる「DO YOU LIKE ME」でぶっ飛び、熱く激しくメロディアスな楽曲たちで愛をぶち撒ける銀杏楽曲たちに酔いしれていると、いい意味で現実逃避できたし、強い生命力を感じる歌と演奏から「お前も生きろ、俺も生きる」と言われてる気がして、すごい力が湧いてきた。銀杏BOYZといえば、配信ライヴに少し退屈さを感じてた8月に観た生々しいスマホライヴもすごい良かった。もちろん本当は生でライヴ観たいけど、12月26日のスマホライヴも楽しみ超!

「世情」('78)/中島みゆき

「世情」収録アルバム『愛していると云ってくれ』/中島みゆき

「世情」収録アルバム『愛していると云ってくれ』/中島みゆき

いきなり古い曲になりますが。最近、中島みゆきの初期楽曲にハマっている俺。筒美京平の再評価や宮本浩次のカバーアルバム『ROMANCE』の影響で、昭和歌謡の素晴らしさに改めて気付いて70~80年代の曲を聴き漁っている中、これまで通って来なかった中島みゆき楽曲に触れて。おじさんになった今だから分かる歌詞や音楽性の凄さに、「これはヤバい!」と思ったのがきっかけだったのですが。78年リリース、4枚目のアルバムである『愛していると云ってくれ』を聴いてぶっ飛んだ! 大ヒット曲「わかれうた」や宮本浩次もカバーしていた「化粧」が収録されたこの作品。恋愛の暗部や恐ろしい女心を歌った歌詞や豪華演奏陣による素晴らしいサウンドを震えながら聴いてると、ラストに収録された「世情」に衝撃。『3年B組金八先生』第2シリーズ、加藤優の名シーンのイメージしかなかったけど、哲学的な歌詞はリリースから40年経った現在の世情や漠然と思ってたことにあまりにもハマりすぎてて、鳥肌立った。みんなコロナに怯えない平和で幸せな生活を求めてるだけなのに、ちぐはぐでおかしなことだらけの現在。今の世情に苛立ちや虚しさを感じている俺みたいな人に、改めて聴いてほしい一曲です。

TEXT/フジジュン(おもしろライター)

フジジュン プロフィール:1975年、長野県生まれ。『イカ天』の影響でロックに目覚めて、雑誌『宝島』を教科書に育った、ロックとお笑い好きのおもしろライター。オリコン株式会社や『インディーズマガジン』を経て、00年よりライター、編集者、デザイナー、ラジオDJ、漫画原作者として活動。12年に(株)FUJIJUN WORKSを立ち上げ、バカ社長(クレイジーSKB公認)に就任。メジャー、インディーズ問わず、邦楽ロックが得意分野だが、EBiDANなど若い男の子も大好き。笑いやバカの要素を含むバンドは大好物。

OKMusic編集部

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