ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!

ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!

寒い季節はシアターへ、
音楽×映画の祭典『MOOSIC LAB』
参加アーティスト5選

今回は音楽と映画の祭典『MOOSIC LAB』に参加しているミュージシャン5組をピックアップしたいと思います。若手映画監督とアップカミングな音楽家のコラボによって生まれた映像作品を上映する同イベント。過去には大森靖子、カネコアヤノ、白波多カミン、ベッド・インなど、そうそうたる面々との共演作が制作されましたが、今年もスクリーンを切り裂く光芒を放つミュージシャンが名を連ねています。きんと凍った夜気を吐く息が白く湿らせる季節、ぜひ映画館へ足を運んでください。
「ダリア」収録シングル「NEVER GIVE UP DRUNK MONKEYS EP」/ゆるめるモ!
「普通は走り出す」収録アルバム『FIRE』/トリプルファイヤー
「ラブハラスメント」収録アルバム『松永天馬』/松永天馬
カセットテープ「卒業/ひがしのまち」/バレーボウイズ
7inchアナログ「柔らかな」/The Wisely Brothers

「ダリア」(’18)/ゆるめるモ!

「ダリア」(’18)/ゆるめるモ!

「ダリア」(’18)/ゆるめるモ!

短編部門に出品された松本優作監督作『日本製造/メイド・イン・ジャパン』に参加する、アイドルグループゆるめるモ!。“みんなのハートをゆるめに来ました”という口上やコンセプトとは相反するパンクネスなライヴもさることながら、何年も前から変わらず“楽曲派アイドル”好きを唸らせる曲の数々も魅力的です。「ダリア」は最新シングル「NEVER GIVE UP DRUNK MONKEYS EP」の収録曲で、ブレイクと休符の小気味良さが前のめりにさせるハードロックな曲調と、アイドルソングのポップネスを守りきった歌詞、直情的な4人の声が真正面から突き刺さるパワーが漲った楽曲。お馴染みの加藤マニが手掛けたMVも必見です。

「普通は走り出す」(’17)
/トリプルファイヤー

「普通は走り出す」収録アルバム『FIRE』/トリプルファイヤー

「普通は走り出す」収録アルバム『FIRE』/トリプルファイヤー

吉田靖直(Vo)が出演する回の『タモリ倶楽部』を観るたびに“こんなに番組にハマるとは思わなかった…”という衝撃が眉間を砕くのですが、「普通は走り出す」を初めて聴いた時は“こんなに牧歌的な8ビートを繰り出してくるとは思わなかった…”と目を見開いたものです。“高田馬場のJOY DIVISION”“だらしない54-71”の異名に違わない精緻かつ陰鬱なトラックに、“歌を作る上でまず最初に省かれるであろう歌詞やシチュエーション”を乗せていた彼らが、ミニマルな諦観をのどかなマイナーコードと素朴なメロディーで表現するとは…。トリプルファイヤーは渡辺紘文監督の長編作品の音楽と主題歌を担当。映画のタイトルは同じく『普通は走り出す』です。

「ラブハラスメント」(’17)
/松永天馬

「ラブハラスメント」収録アルバム『松永天馬』/松永天馬

「ラブハラスメント」収録アルバム『松永天馬』/松永天馬

松永天馬(アーバンギャルド)が2017年に発表した1stソロアルバム『松永天馬』の収録曲。自身が率いるアーバンギャルドでは、自意識の迷路から抜け出せないまま震える女性の情念をキュートなテクノポップに昇華していますが、渋谷系の亡霊が夜の街をふらついているかのような虚ろさと胡乱さが根底に横たわる「ラブハラスメント」。自己愛に濡れた男性性=能動性が目をぎらつかせ、死臭とエロスがそこはかとなく香るアーバンなポップソングがきらびやかなファンクネスでデコレートされた、シアトリカルな楽曲です。なお、松永は長編部門に出品された『松永天馬殺人事件』で監督・脚本・主演・編集・音楽を務めています。

「卒業」(’18)/バレーボウイズ

カセットテープ「卒業/ひがしのまち」/バレーボウイズ

カセットテープ「卒業/ひがしのまち」/バレーボウイズ

京都を舞台にした篠田知典監督の新作映画『下鴨ボーイズドントクライ』の音楽を手掛けるのは、男女混合の6人組バンド・バレーボウイズ。「卒業」は3月にカセットテープでリリースされた楽曲で、『ファミリーマート・モーニング・フレッシュ』のタイアップソングに起用されました。昭和のフォークロックへの憧憬を胸焼けするほどに詰め込み、ざらついたギターと暑苦しく伸びやかなコーラスで彩った楽曲には、自身が残した影を振り返るようなノスタルジーではなく、セピア色に日焼けした誰かの記憶を呼び覚ますエネルギーがあふれています。陰惨な今を目の当たりにし、それでも顔を背けられない大人にこそ、戯画的な時代の幻を歌い上げるひとときが必要なのかもしれません。

「柔らかな」(’18)
/The Wisely Brothers

7inchアナログ「柔らかな」/The Wisely Brothers

7inchアナログ「柔らかな」/The Wisely Brothers

栗原類らが出演し、監督と脚本を荻島健斗が務める『青のハスより』の主題歌は、3ピースバンド・The Wisely Brothersが11月に7インチアナログ盤とデジタル配信でリリースしたばかりの新曲「柔らかな」。8ビートのドラムと単音のベースが散歩にも似たテンポで交差するイントロからつながれたウィスパーヴォイスのヴォーカルは、削ぎ落とされた無彩色の歌詞が無限に展開していきます。さざ波のようなコーラスを経て、エフェクトで伸縮するギターから同じリズムで同期する3人の演奏へと軟着陸する楽曲には、特別なドラマこそないけれど、少しでも多くの人々の日常に染み込む柔和さとしなやかさで、ふわりとそこかしこを漂います。

TEXT:町田ノイズ

町田ノイズ プロフィール:VV magazine、ねとらぼ、M-ON!MUSIC、T-SITE等に寄稿し、東高円寺U.F.O.CLUB、新宿LOFT、下北沢THREE等に通い、末廣亭の桟敷席でおにぎりを頬張り、ホラー漫画と「パタリロ!」を読む。サイケデリックロック、ノーウェーブが好き。

OKMusic編集部

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