このコラムを書いている今も、窓の外からは“ドン!ドン!”と花火が打ち上がっているであろう音が聞こえてきます。7月の上旬ともなると、各地でもう夜空の祭典が始まっているんだなぁとしみじみ。今回はそんな夏の風物詩、花火大会に合わせて聴きたい5曲をご紹介します。儚く切ない曲からポジティブな気分を誘うアッパーチューンまで、花火を思い浮かべながら聴いてみてください。

1.「ホタル」/スピッツ('00)

スピッツの曲って本当に万能というか、事あるごとに聴きたくなるし、その上シチュエーションとマッチすると楽曲の魅力がさらに何倍にも増すんですよね。この「ホタル」は花火や夏の終わりといった切ないシーンにぴったり! オープニングのアルペジオで早速グッと惹き込まれ、草野マサムネの淀みない歌声も、胸が締め付けられるメロディーも、観念性を活かした示唆的な歌詞も、全てが儚さに満ちています。タイトル通り、モチーフは蛍なのですが、《すぐに消えそうで 悲しいほどささやかな光》《忘れたくない 鮮やかで短い幻》のところが、なんだか花火にも当てはまる気がしたり。9thアルバム『ハヤブサ』の先行シングル(21枚目)。

2.「starlight」/asobius('13)

2013年にRX-RECORDSよりデビューした5人組ロックバンド、asobius(アソビウス)。この曲は彼らが躍進を遂げる中、タワーレコード限定のワンコインシングルとしてリリースされ、瞬く間に話題を呼んだキラーチューンで、その後の1stアルバム『pray&grow』でも聴くことができます。こちらはイントロのハンドクラップや軽やかなギターリフ、ヴォーカル・甲斐一斗のどこまでも伸びていくような歌声などが夏らしい高揚感と解放感にあふれていて、聴いていると思わず空を見上げたくなりますね。特にサビでのエモーションの放射は圧倒的に美しく、華麗な打ち上げ花火をイメージさせる感動があります。なお、『pray&grow』には同曲の日本語ヴァージョンも収録。

3.「金魚花火」/大塚愛('04)

5thシングルとしてリリース、2ndアルバム『LOVE JAM』やベスト盤『愛 am BEST』にも収録されているナンバー。大塚愛というと「さくらんぼ」での元気な印象が強い人も多いかもしれませんが、「金魚花火」ではその対極とも言えるもうひとつの魅力が味わえます。テーマはおそらく“ひと夏の恋”。叙情的な詞世界から思い浮かぶのは、蝉が鳴くような夏の夜。タイトルを含めた言葉のチョイスはもちろん、ピアノとストリングスを生かした奥行きのあるアレンジ、和を感じるメロディー…などなど、随所にセンスが光りまくりで、何より叶わぬ想い、切ない恋心を歌う彼女のヴォーカルが本当に神秘的です。ロマンティックな花火のお供にどうぞ。

4.「Firework」/Katy perry('10)

《だってあなたは花火なんだから》と歌うサビで、ケイティ・ペリーの身体から花火があふれ出すMVも楽しいエレクトロロックチューン。人は誰でも花火のように輝けるはずで、内なる導火線に火を付けられるかどうかは自分次第だということを歌っています。すなわち、花火を比喩的に用いてポジティブに生きる大切さを伝えたメッセージソング。夜空に上がる雄大な花火を見上げる時、心の中ではこんな曲が鳴っていてもいいんじゃないでしょうか。きっと、テンション上がりますよ。2ndアルバム『ティーンエイジ・ドリーム』に収録。シングルカットもされ、Billboardをはじめとする各チャートで大ヒットを記録しました。

5.「通り過ぎる夏」/O.P.KING('03)

奥田民生(ユニコーン)、大木温之(Theピーズ)、佐藤シンイチロウ(the pillows)、YO-KING(真心ブラザーズ)からなる腕利きバンド、O.P.KING。今年9月に行なわれるSMA40周年企画ライヴ『YO-KING day』のステージで約11年振りに復活を果たす彼らだが、この曲は唯一のアルバム『O.P.KING』のラストを飾るナンバーです。ボーナストラック的にゆるゆるで、バッサリ言っちゃえば締まりのない脱力ソングだけど、妙な愛嬌があってついつい聴いちゃうんですよね。注目は何と言っても、普段めったに歌わないシンちゃん! 夏の半ばや終わりに、花火大会の行き帰りに、オッサン4人のボヤキみたいな歌、男の哀愁に浸ってみては? ビールでも飲みながら。

著者:田山雄士

OKMusic編集部

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