この前まで猛暑だったのに、ふと気付けばもう秋。夏の喧騒に比べ静かな秋の夜長は、外から聞こえてくる虫の声や涼しげな秋風も相まって、好きな人を思う時間が長くなりがち。身に覚えのある人も多いのではないでしょうか? そこで今回は、秋の夜長に好きな人を想うのにぴったりな秋曲をご紹介しようと思います。

「秋の気配」('77)/オフコース

1977年にオフコース名義で発表された曲。今の若い方には小田和正さんがいたグループと紹介するほうがピンとくるかもしれません。夏に始まって秋が始まる頃には終わってしまった短い恋。秋の夜長はそんな相手を思い出す季節でもあります。この曲は別れの歌ですが、季節の持つセンチメンタルさと小田さんの声の持つセンチメンタルさのふたつが見事な親和性を持って、聴く者の心にピタッとはまるはずです。ちなみに、この曲の歌詞に出てくる歌詞の《港が見下ろせるこだかい公園》という部分は、横浜・港の見える丘公園のことと言われています。

「いちょう」('09)/遊助

2009年にリリースされた楽曲。秋と言えば銀杏を連想する人も多いということで、それをモチーフにした楽曲をセレクトしました。有名なカノン進行によって紡がれるのは悲恋の歌。好きな人を亡くしてしまう、そんな経験はない人でも、この曲を聴けば素直に感情移入することができるのではないでしょうか。ただ、悲しむだけではない、最後の一節《「ごめんね」を言われるより 「ありがとう」を言わせるように》という歌詞には、男女関係であれば、誰もがハッと気付かされることがありそうです。今大切な人がいる人に聴いてほしい曲であります。

「月のしずく」('03)/RUI

柴咲コウさんがRUI名義で2003年にリリースした楽曲。映画『黄泉がえり』の劇中歌・主題歌として使用され大ヒットしました。中秋の名月というぐらい、秋は月がきれいに見える季節。月を見ながら好きな人のことを思った経験は誰しもがあるはずです。この曲も少し悲しいシチュエーションで相手のことを会いたいと願う歌でありますが、境遇は人それぞれ違えど、会いたいという気持ちは恋する人であれば誰もが強く持っているもの。美しいメロディーと、柴咲さんの透明感があり、同時に情熱のあるヴォーカルは楽曲の世界観を見事に表現しています。

「茜色の約束」('07)/いきものがか

2007年リリースの楽曲。秋になると日が短くなり、デートの終わり、夕焼け空のシチュエーションで好きな人と別れるということも多そうです。実直に好きな人を想い続けるこの歌は、そんなデートの日の終わり、夜寝る前に聴くと心に染みそうです。一聴しただけですんなり入り込んでくるメロディーと、吉岡さんの伸びやかでしっかりとしたヴォーカルは秋の夜長に好きな人を改めて想うのに最適な楽曲と言えそう。女性目線の歌でありますが、男性でも共感するところが多いのではないでしょうか。

「秋桜」('77)/山口百恵

1977年にさだまさしさんが山口百恵さんに提供した楽曲。さださんも自身でセルフカバーしていて“男性の声で歌われる女性の歌”というスタイルが素晴らしいのですが、ここはやはり百恵ちゃんバージョンを選びました。百恵ちゃんの歌声の持つ唯一無二な魅力は、彼女のことを全く知らない若い世代の方にも響くのではないでしょうか。結婚を前にした曲なので、ジャストで楽曲の状況という人は少ないかもしれませんが、まだまだ結婚には早いという方にも、今好きな人と来たるべきその日を迎える心算として聞いておくことをお勧めしたい曲であります。

著者:佐久間トーボ

OKMusic編集部

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