まだ間に合う!大学祭出演アーティス
ト5選

知人が都内近郊のライヴ情報を掲載するサイトを運営しているのですが、曰く“本当にフェス系が多いのは夏じゃなくて秋”だそうです。気候的に過ごしやすく、文化の日近辺には学園祭も多数開催されるので、なるほど合点のいく話です。ゆえにその知人は、ひとつのイベントに多数のアーティスト名を登録しなくてはならないこの時期、いつに間も増して濃密なスケジュールに忙殺されているのですが、取り急ぎ無視して期待の学園祭キング&クイーン候補をご紹介します。もしかしたら“学園祭キング&クイーン”自体が潮風に晒された墓石のように前時代的な呼称なのかもしれませんが、それも全部無視したいほどおじさんは疲れた。

1.「ポップミュージックは僕のもの」(
’15)/ONIGAWARA

元竹内電気のメンバーによる“スーパーJ-POPユニット”。そのキャッチコピーや“ポップミュージックはぼくのもの”というタイトルは伊達ではなく、アイドルよりもポップな楽曲をポーカーフェイスでクールに演じきる、バンドマンよりもタフなステージングは心も体も無重力状態になるような多幸感にあふれ、暗黒のフロアーを色とりどりのサイリウムでカラフルに染め上げます。ポップミュージックへのひたむきで衒いのないリスペクトにまんまと踊らされたい方は、10月30日に武蔵野美術大学で開催される『オトトヒト』へ!

2.「見えないルール」(’14)/OGRE
YOU ASSHOLE

NEU!やハルモニアで知られるミヒャエル・ローターとの共演も記憶に新しいオウガ。ゆらゆら帝国のラストアルバム『空洞です』の向こう側の音楽と賞賛されたのも今は昔の話ですが、ポストロックやクラウトロック、AOR等の多様な音楽性を際限なく飲み干し、淡々と惜しげもなく引き算の楽曲として再構築する老練さには、毎回目が覚めるような思いがします。寄せては返す波の揺らぎに身を委ねる流砂のような無彩色のサイケデリアを、11月6日の法政大学主宰企画『ジョイ!』でぜひご堪能あれ。

3.「SWEET ESCAPE」(’13)/ゆるめる
モ!

ライヴアイドル、あるいはポスト世代のアイドルグループの活動休止、解散の報道が矢継ぎ早に舞い込む現状ですが、だからこそ長らく続くアイドルブームは今が一番面白いのかもしれません。“脱力支援”をコンセプトに掲げるニューウェイブアイドルこと、ゆるめるモ!もその1組で、メンバーの自意識があちらこちらに飛び交う天衣無縫なパフォーマンスは、ロックもバンドもアイドルもノイズもアバンギャルドも悠々と飛び越えて、あらゆるジャンルに波及しています。今年は女子美術大学の『女子美祭』に登場しますが、この10分超えのクラウトロック「SWEET ESCAPE」やってくれないかな…。

4.「Enter The Dungeon」(’15)/SK
Y-HI

説明不要のAAAの日高光啓によるソロプロジェクトです。AAAとしてのキャリアを通して蓄積されたポップスのセオリーを踏襲しながらも、スキルフルかつ新境地に足を踏み入れる衝動と勢いを閉じ込めたフロウ、エンターテイメント性にウエイトを置いたリリックは、“グループ活動以外の余技”からは遠くかけ離れたラッパーとしてあるいはBボーイとしての矜持がギラギラと輝いており、特に『フリースタイルダンジョン』のエンディングテーマに起用されたこの曲を聴いた時は呆然としたものです。そんなSKY-HIは、先日の北陸大学に続いて、10月21日に金城学院大学の大学祭に出演します。

5.「バンドマン」(’13)/SHISHAMO

バンギャあるある、ライヴキッズあるあるは多数ありますが、こと男女関係となるとウェットなテーマを辛辣さや自虐でウェルダンしてブラックジョークに落とし込む高等技術が必要とされるので非常に困難でして。そんなささくれ立つヒリヒリしたタブーを、ライヴハウスの落書きのように“思い返したくなる傷”としてポップネスとに落とし込んだのがSHISHAMOの「バンドマン」です。鼻にかかったキュートな声が繰り出す《頼むから 黄色い声出してるバカな女どもと一緒にしないでよ》というフレーズの暴力的なまでの鋭利さに心のかさぶたをひっぺがされたい方は、関西大学、徳島大学、倉敷芸術科学大学の学祭へ!

著者:町田ノイズ

OKMusic編集部

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