3年ぶりに来日するTOTO。観るまでに
聴いておきたい5曲!

 最初期からグループを引っ張ってきた最強のドラマー、ジェフ・ポーカロの死が92年。ジェフの弟でベーシストのマイク・ポーカロは、2007年にALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症し療養を余儀なくされるなど、様々な試練を乗り越えて、気づけば今年結成35年を迎えるTOTO。4月23日の名古屋公演を皮切りに、3年ぶりの日本公演がスタートする。驚くべきテクニックのミュージシャン集団だけに、ファンだけでなく楽器を演奏する人には必見のコンサートだ。

1.「Hold the Line」(’78)

 デビュー盤『TOTO(邦題:宇宙の騎士)』に収録された、最初のトップテンヒット。売れっ子スタジオ・ミュージシャンの集団ということもあって、音楽業界は彼らの最初のアルバムに注目したのだが、演奏テクニックを前面に押し出したフュージョン系の作品かと思いきや、なんと歌ものを中心としたAOR寄りのロックであった。この曲は、ジェフ・ポーカロが得意とするリズム(ハチロク)が曲の肝で、リズムセクションのタイトさと、ビシッと決まったコーラスによって、彼らの底知れない実力を世界に知らしめた。80年代を予見させるハードポップ路線で、チャートでは全米5位まで上昇した。

2.「99」(’79)

 2ndアルバム『HYDRA』に収録。前作よりプログレ度やハードさが増し、バンドとしてかなりパワーアップしている。整然としたそのサウンドから、“商業主義が見え見え”という批判も多かったが、日本では人気がどんどん上がり、80年の初来日公演は、10公演全てがソールドアウトになっている。この曲はハードでもなく、プログレでもなく、彼らにしてはキャッチーで覚えやすい中間的な音づくり。ヒットはそこそこであったが、愛好するファンの多い佳作だと思う。一見地味そうに見えるが、デビッド・ハンゲイトが凄いベースを弾いている。全米26位。

3.「White Sister」(’79)

 これも2枚目に収録された曲。アップテンポのハードなロックナンバーで、アルバムの中でも特に印象に残る作品。コンサートで演奏されると、必ず会場が最高潮に盛り上がるナンバーだ。全員で煽るように盛り上げていくコーラスや、スティーブ・ルカサーの正確無比の超絶ギターソロは圧倒的な存在感。ルカサーがこれだけ弾きまくることってライヴ以外ではなかなかないので、たっぷり驚いてもらいたい。曲の途中からエンディングにかけてのドラムが最高ってこともあって、ヒットしたわけではないけど、やっぱりこの曲ははずせない。僕はまだ聴いてないが、リリースされたばかりの『TOTO 35周年アニヴァーサリー・ツアー~ライヴ・イン・ポーランド 2013』にもこの曲が収録されているようなので、日本公演でもおそらく演奏されるはずだ。

4.「Rosanna」(’82)

 2ndと3rd『TURN BACK』(’81)の売り上げが芳しくなかったため、ヒットを生むために起死回生をかけて臨んだ4枚目のアルバム『TOTO IV(邦題:聖なる剣)』は、彼ら最大のヒット作となった。全米4位を獲得しただけでなく、同年のグラミー賞では『アルバム・オブ・ザ・イヤー』をはじめ、数々の部門で受賞するという快挙を成し遂げる。この.「Rosanna」は、グラミーで『レコード・オブ・ザ・イヤー』を受賞したこともあって、彼らの代表曲となった。覚えやすいリフとメロディーはもちろん、要所を押さえたデヴィッド・ハンゲイトのスラップベース、ジェフ・ポーカロの職人的なドラミング、デビッド・ペイチのニューオリンズ風ピアノなど、聴き所は多い。80年代初頭のロックにおいて最高レベルの演奏がここにある。

5.「Africa」('82)

 4.「Rosanna」と同様『聖なる剣』に収録されたナンバー。当時流行していたワールドミュージックの影響もあって、パーカッションの使い方やシンセのフレーズに、民族音楽っぽい響きを導入している。最初から最後まで、静かに淡々と進行していくが、ヴァンゲリスの「Chariots of Fire(邦題:炎のランナー)」(’82)やイエスの「Owner Of A Lonely Heart(邦題:ロンリーハート)」(’83)など、この頃のヒット曲の多くが同じようなスタイルであったことを考えると、TOTOの生み出すサウンドが、どれだけ多くのミュージシャンに注目されていたのかがよく分かる。この曲は、彼ら初の全米ナンバーワンとなった。
 気になるのが、今年のツアーメンバーだが、ウドーの情報によると、以下のメンバーで間違いなさそうだ。クラプトンなどのバックでも知られる職人、ネイザン・イーストがベース。ドラムはキース・カーロックで、スティーリー・ダンに参加したことがあるというだけでも、その凄い実力は保証つき。
<TOTO来日予定メンバー>
 スティーヴ・ルカサー、デヴィッド・ペイチ、スティーヴ・ポーカロ、ジョセフ・ウィリアムズ、ネイザン・イースト、キース・カーロック
詳細は、こちら(http://www.udo.jp/Artists/Toto/index.html)を参照してほしい。

著者:河崎直人

OKMusic編集部

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