心に癒しと潤いを。初夏の花めぐりが
楽しくなる5曲

新緑の季節ですね。この前『GREENROOM FESTIVAL』へ遊びに行ったら、横浜の赤レンガ倉庫の周りであじさいがちらほら咲いているのを発見。テレビでも天気予報のコーナーと併せて見頃の花が紹介されていたりと、なんだか初夏の花めぐりをしたい気分になってきたので、今回は“花”がテーマの5曲をお届けします。五月病と闘う人にも、ささやかな癒しになりますように。

1.「あじさい通り」('95)/スピッツ

梅雨シーズンで映えるのは、やっぱり風物詩と言えるあじさい。というわけで、まずは20周年トリビュートが記憶に新しい名盤『ハチミツ』に収録のこのナンバーを。クリープハイプによるカバーも秀逸でしたが、ここではオリジナルを紹介します。物憂げなヴォーカルをはじめ、リフのメロディーにしても全体的に湿っぽさを漂わせるアレンジ、抗えない切なさ、往年の“日本語ロック”感が、あじさい観賞をやさしく彩ってくれるはず。改めて思ったけど、スピッツって植物が切り口の曲が多い! 「ガーベラ」「楓」「若葉」「歩き出せ、クローバー」「花泥棒」などなど、合わせて楽しみたいですね。

2.「あじさい」('96)/サニーデイ・
サービス

もうひとつ、あじさいの曲を。こちらもオリジナルから20周年! 収録アルバム『東京』がアニバーサリーで新装リリースされたばかりなので、今こそじっくり浸ってみては? 淡々としていて、透明さがあって、ほんのり文学的で、ストリングスやコンガが不思議な味わいを醸し出す「あじさい」。時代性も忙しなさも感じさせないから、毎年この季節につい再生しちゃいます。軽快さと陰りのブレンド具合がまた6月に寄り添うポップスというか、メロディーの良さもそうだし、魅力を挙げれば切りがないですね。梅雨はこれ聴いて、街を颯爽と歩きましょう。

3.「ダンデライオン」('02)/BUMP O
F CHICKEN

続いては、春から夏にかけて見頃のタンポポがモチーフ。「K」「ラフ・メイカー」「ガラスのブルース」などと同じく、情景を読み解く面白さ&ストーリー性があるバンプらしさ全開のナンバーです。寂しがり屋のライオンと太陽によく似たタンポポの物語は、疾走感あふれる陽気なアレンジとは裏腹に、実のところめちゃくちゃ切ない世界観だったりするものの、それでも聴き終えた時には思わず唸ってしまうさすがの完成度で、胸にじんわりと温かみを残してくれます。タンポポがたくましく見える効果もありそう! 彼らだと、「花の名」「ハルジオン」なんかも花にちなんだ楽曲ですね。

4.「ライラック」('93)/BLANKEY JE
T CITY

《ライラックってどんな花》と歌っちゃうところが愛らしくてインパクト大! ベンジー(浅井健一)の世界観によって冬のイメージが強いかもしれませんが、この機会にぜひライラックについて真相を調べてみてください。しかし、やっぱり自由奔放でひたすらにカッコ良い曲です。切なくもありつつピュアなハートだけで駆け抜ける感じ、アコギの軽やかさ、唯一無二の屈強アンサンブル。散歩しながら口ずさめば、自然と一体化できそう。《花なんて 昔からどうでもよかったのに》って人も、きっと花を観に行きたくなりますよ。3rdアルバム『C.B.Jim』などに収録。

5.「花」('15)/パスピエ

ラストはある特定の花が対象ではなく、季節の巡りや花のありがたみが感じられるこれで。どんどん新境地を開いていき、いよいよ顔出しまできた5人組バンド、パスピエの3rdフルアルバム『娑婆ラバ』に収録されている、シングルではなかなか聴けないタイプの真っ直ぐなバラード。ピアノを軸に哀愁と郷愁をたっぷり含んだヴォーカルで広がっていくこの壮大さ、花の息吹に想いを馳せつつ堪能してみてほしいです。ひょっとしたら、“わたし開花したわ”なんて気持ちが芽生えるかもしれません。和風な曲を得意とする彼らの中でも、一番和風な逸品じゃないかと。親しみやすい!

著者:田山雄士

OKMusic編集部

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