祝20周年! 結成20周年を迎える1997
年結成バンド5選

1997年。この年から98年にかけて、CDの売り上げが最高潮に達する“音楽バブル”と呼ばれていた時代。シングルのミリオンヒットが16枚、アルバムのミリオンヒットが22枚と、現在では信じられないくらいCDが売れて、たくさんの音楽と夢があふれていたあの頃。音楽に夢を見た若者たちが結成したバンドは、今年で20周年を迎える。今回は今年、結成20周年を迎える5組のバンドをセレクト。1997年の時代背景とともに紹介したい。

「脈拍」('17)/MUCC

GLAYがシングル「HOWEVER」をリリースし、200万枚を超えるダブルミリオンを達成。L'Arc~en~Ciel、黒夢が勢いを見せる中、La'cryma Christi、Plastic Tree、SHAZNAといったバンドがデビュー。一方、時代を牽引してきたX JAPAN、LUNA SEAが活動休止を発表するなど、ビジュアル系シーンが大きな転換期を迎えていた1997年。この年、茨城にて結成されたのがMUCC。今年は6月に日本武道館公演を控え、最新アルバム『脈拍』を掲げての全国ツアーもスタート。ツアー初日を観て来たばかりだが、20周年を迎えてなおヘヴィにラウドに、そしてエモーショナルにと進化し続けている彼らのアクトに大興奮! Ken(L'Arc~en~Ciel)プロデュースによる『脈拍』も、またMUCCの新たな魅力に気付かされる名盤です!

「ヒトリセカイ」('17)/10-FEET

インディーズシーンでは、『ANGRY FIST』をリリースしたHi-STANDARDが『AIR JAM'97』を開催。HUSKING BEE、SUPER STUPID、COCOBUT、ヌンチャクといった最先端のパンク、ラウド系バンドが集結したフェスにキッズが大熱狂! 同年には山梨県富士天神山スキー場にて、伝説となっている第1回目の『フジロックフェスティバル』も開催。現在は全国に乱立する、ロックフェスの始まりとなった1997年。この年、京都にて結成されたのが10-FEET。日本を代表するロックフェスに成長した『京都大作戦』の主催者でもある彼ら。熱狂的なファンも多く、ライヴではダイブ、モッシュの嵐が起きる激しいバンドのイメージだが、「アンテナラスト」「ヒトリセカイ」と最近のリリースは心のより深いところを歌った叙情的かつ哀愁ある曲が続き、バンドがさらに進化、深化していることがうかがえる。年齢やキャリアを重ねた現在だからこその魅力が滲み出た、20年目の10-FEETもたまらなく良い。

「不良品」('16)/氣志團

ロック、ヒップホップ、レゲエとさまざまなジャンルが熟し、ライブハウスにも個性的なバンドが溢れていたあの頃。僕も後に関わらせてもらうことになる、雑誌『インディーズマガジン』の当時のラインナップを見ても、Hi-STANDARD、イースタンユース、BLOODTHIRSTY BUTCHERS、ギターウルフ、ロリータ18号、QP-CRAZYなど、魅力的なバンドが目白押し! ライヴハウスが楽しすぎて、通い詰めていた1997年。この年、千葉県木更津市で結成されたのが氣志團。今年1月には結成二十周年記念公演『成人式』を行ない、まだ4人編成のインストバンドだった時代のメンバーでの演奏も披露。僕が初めて観た時は6人編成になったばかりで、「ONE NIGHT CARNIVAL」もすでに披露してたと思うのだが、その強烈な個性は他のバンドを圧倒し、僕を夢中にさせるのに十分すぎるものだった。ちなみに同時代に下北沢あたりでともに戦っていた戦友と言えるバンド、POLYSICKSも1997年結成。

「ガガガを聴いたらサヨウナラ」('14
)/ガガガSP

兵庫県神戸市で酒鬼薔薇事件が起き、18歳以下の少年による凶悪犯罪が注目された1997年。奇しくも同年、同じ兵庫県神戸市にて結成されたのが、ガガガSP。2000年代前半にGOING STEADY、175Rらとともに青春パンクブームと呼ばれる時代を牽引することになるこのバンド。まだ“青春パンク”なんて言葉もないこの時代、コザック前田が友人とともにフォークギターを担いで歌う、路上パフォーマンスから活動がスタート。その後、バンド形式となりガガガSPを名乗り、ライヴハウスでの活動を始めるのだが。フォークとパンクをベースとした土着的なサウンドと独特のヴーカルスタイルは初めて聴いた時から唯一無二だったし、今も変わらぬスタイルを貫く彼らが本当にカッコ良く美しいと思う。どうせ10代の悶々とした気持ちや抑えられないエネルギーを放つなら犯罪ではなく、ガガガのように音楽など違った表現で放つことが出来れば良かったのに!と彼に思う。

「ピンクスパイダー」('06)/RIZE

1997年の洋楽CDランキングを見ても、Mariah Carey、Jamiroquai、OASIS、Aerosmith、2パックとさまざまなジャンルの音楽が並び、たくさんの良質な音楽があふれていた時代だったし、たくさんの選択肢があったことを改めて感じる1997年。この年、東京で結成されたのがRIZE。ミクスチャーロックという日本独自のジャンルも、それほど一般的ではなかったこの時代。実は吉祥寺のライヴハウスで前説をやっていた時、まだ高校生だったRIZEのライヴを観ているのだが、まったく新しい価値観を持つ若者の登場に、すげぇビビったことを覚えている。そんなRIZEが2006年にリリースしたのが、hide with Spread Beaverの「ピンクスパイダー」のカバー。洋楽邦楽、時代もジャンルも問わず、カッコ良いものを積極的に取り入れていくというスタイルは現在でこそ普通だが。その礎を作ったのはこの時代だし、彼らの世代だったと思う。

著者:フジジュン

OKMusic編集部

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