8月の後半ですが、相変わらず暑い日が続きます。毎日アイスばかり食べて、体を冷やすのは健康に良くありません!(自分に言ってます) まだまだクーラーや扇風機の前から離れられない方も多いと思いますが、ここでは強い願望を込めて、夏の終わりを感じさせてくれるような、ちょっぴり切ない気持ちにさせてくれる楽曲を選びました。夏が過ぎ、秋が来たかと思えば、あっと言う間に寒い冬が来るわけです。そう思えば、今の暑さも少しは我慢できるでしょ?

1.「其限〜sorekiri〜」(’15)/BR
AHMAN

今年バンド結成20周年を迎えたBRAHMAN。そのアニバーサリーイヤーに放たれたニューシングル「其限」がこれまた素晴らしい。TOSHI-LOW(Vo)曰く、昔の自分に対して書き綴ったリリックで、平易な日本語、柔和な歌声、叙情的なメロディーラインに胸を揺さぶられる。特に《誰かと話したくて 心を伝えたくて 溢れた思い届けたくて》という直截的な歌詞には驚かされる。構えず、飾らず、素直な気持ちから溢れ出てきたようなメロディーは、どこか湿り気を帯びている。というか、BRAHMANはずっともの悲しいメロを紡ぎながら、20年突っ走ってきた稀有なバンドなのだ。これを機に是非聴いてほしい。映画『ブラフマン』も必見!

2.「The Crow」(’15)/a crowd of
rebellion

ラウド/スクリーモ・シーンの中で、ひときわ苦悩や悲痛などのマイナス感情を背負った切ないメロディーを鳴り響かせているのが新潟発の5人組。宮田大作(Vo)、小林亮輔(Vo&Gu)のツインヴォーカル編成で、野獣性が際立つスクリームとキャッチーな歌メロの対比が素晴らしく、楽曲も目くるめく曲展開で聴き手をグイグイ引き込んでいく。メジャー第一弾シングル表題曲となったこの楽曲も、確かにとてつもなく激しい。だが、シンフォニックなムードも漂い、胸を締めつけるメロディーの美しさは絶品だ。もうすぐ出るメジャー1stEP『Daphne』はこれまでの要素にさらなる磨きをかけた傑作と言える仕上がりなので、要チェック!

3.「Babe I'm Gonna Leave You」(’
69)/LED ZEPPELIN

ジミー・ペイジ監修によるデジタル・リマスター・シリーズの最終編・後期の3作品『PRESENCE』(←個人的にはこれが最高傑作)、『IN THROUGH THE OUT DOOR』、『CODE』をリリースとなり、大きな話題を呼んだ。この曲は69年発表のデビューアルバム収録曲で、当時はブルースの影響色濃いハードロックをかき鳴らしていた。この「Babe I'm Gonna Leave You」は、アコースティックを効果的に配したブルージーな曲調だ。レコードで言うところのA面2曲目に、いきなりこれほど濃厚な楽曲を並べるセンスにも驚かされる。原曲はジョーン・バエズで、それをLED ZEPPELINらしく大胆に料理した滋味豊かな作風だ。荒々しくも、後ろ髪を引かれる哀愁がある。

4.「Hotel California」(’77)/EA
GLES

言わずと知れたイーグルスの代表曲にして超名曲である。まったく彼らを知らない、あるいは洋楽は普段めったに聴かない人でも、どこかで耳にしたことがあるのではないだろうか。ジャケのアートワークもそうですが、この曲を聴いていると、僕は"夏の終わり"を感じずにはいられません。歌詞には複数の解釈が存在するようですが、純粋にサウンドから感じられるエモーショナルなメロディーは、過ぎ去った日々や思い出を回想したくなる郷愁感に溢れています。この時期に聴いて、どっぷり浸るのもいいかもしれません。あぁ、夏は海にも行かず、バーベキューもせず、ずっと家にいたなあと後悔しているあなたの心にもそっと寄り添ってくれるでしょう。

5.「Summertime」(’68)/Janis Jo
plin

伝説のブルース女性シンガー、ジャニス・ジョップリンはヘロインの過剰摂取により、70年10月4日に他界してしまう。とことん激しく、とことん切ないハスキーな歌声は多くの人を心を奪い…いや、魂を鷲掴みにしたと言っていい。ジャズのスタンダード・ナンバーである「Summertime」を、ブルースロック風味にカバーしたジャニス・バージョンはあまりにも有名だ。この曲を聴くと、何とも言えない気持ちに駆られてしまう。気分は高揚する一方で、胸の奥底を激しく掻きむしられてしまう。上手いヴォーカリストは星の数ほどいるだろう。けれど、聴く者のハートにセンチメンタルな影を投げかける彼女の歌声は唯一無二と言えるだろう。この時期に聴きたい一曲だ。

著者:荒金良介

OKMusic編集部

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