ハードロック/メタルなクリスマス・
ソング5曲

クリスマスも終わりましたが、まだまだその余韻に浸りたい!という人たちに、この季節に合う曲を選んでみました。しかも、ハードロック/メタル縛りということで、いかにもといった楽曲から、これがクリスマスソングなの!とギョッとするものまで取り上げてみました。メタルバンドのクリスマスにちなんだオリジナルソングやカバー曲は意外にも多く、ここでは全部取り上げられないくらいあるので、もしこの5曲でピンと来たら、自分でディグってみてください。

1.「Please Come Home For Christmass
」/BON JOVI

曲調もMVも観ているこっちが恥ずかしくなるほど、ベリースウィート! ここまで振り切れば、もはや何も言えません。邦題の「ふたりだけのクリスマス」は言い得て妙。もともとジョン・ボン・ジョヴィ名義で、92年に発表されたコンピ『クリスマス・エイド2』に提供した楽曲だ。オリジナルはチャールズ・ブラウンで、イーグルスもカバーし(こちらもオススメ!)、全米18位というヒットを記録した。ジョンはイーグルスのカバーを下敷きに、さらにセクシーな歌い回しを存分に発揮しているような印象を受ける。また、MVではジョンとシンディ・クロフォードとの濃密なキス・シーンも刺激的過ぎます。この曲は後にBON JOVI名義で、3曲入りクリスマスシングルとしてもリリースされた。

2.「Mistrass For Christmass」/AC/D
C

意外かもしれないが、AC/DCもひっそりとベタなクリスマスソングを作っている! この曲は90年に発表された『THE RAZORS EDGE』収録曲で、ブリティッシュ・ロックの雄、サンダーがライヴのオープニングSEで「Thunderstruck」を使用していることでもよく知られている。このアルバム自体の内容も素晴らしく、AC/DCらしいキレのいいキャッチーなロックンロール・ナンバーが多数収録されている。この曲はイントロからチャイムの音が鳴り響き、クリスマスムードを俄然盛り上げてくれます。ただし、全体的には頑固一徹のAC/DC節を貫いたサウンドに仕上がっているところがミソ。過剰なクリスマス感は希薄であり、歌詞にそれらしきキーワードが散りばめられているものの、歌と演奏はAC/DC流儀を通している点が実に彼ららしい。

3.「Jingle Bells」/KORN

今年出たニューアルバム『THE SERENITY OF SUFFERING』が傑作だったKORN。彼らもクリスマス曲のカバーを堂々とやってのけている。それがまたとことんダークで、凄まじくおどろおどろしく、思わず笑っちゃうほどヘヴィな仕上がりで、期待を微塵も裏切らない。街のイルミネーションを歩くカップルたちの幸せそうな笑顔…みたいな景色はこのカヴァーからはまったく浮かばない。家でひとりでケーキを食べているような、鬱々としているあなたに贈る漆黒サウンドに救われる人も多いのではないか。イントロから哀愁が漂いまくり、ズンズン刻むリフも憂鬱な心情を代弁してくれているようだ。この曲でジョナサン・デイヴィスはわりとはっきりと言葉を吐き出しているところも面白い。

4.「Merry Xmas Everybody」/SLADE

イギリスでクリスマスに流れる定番ソングといったらこれ! 70年代のグラムロックシーンを牽引したバンドだが、後にパンクブームの波に押され、人気は失速してしまう。しかし、80年代にLAメタルの申し子・クワイエット・ライオットが彼らの「Cum On Feel The Noise」のカバーを大ヒットさせたことで、スレイド人気再燃の火付け役となった。この曲はバンドが「クリマスソングを作ろう!」とフォーカスをきっちりと定め、英国チャートでも見事1位をゲットした大名曲だ。MVもクリスマスのハッピームード満載で、満面の笑顔で演奏するメンバー、周りを取り囲む若者たちも表情もイキイキしており、映像から幸せな空気が漂っている。スレイドは今も現役バリバリで、なんと来年3月には43年振り(!)の来日公演も決定している。

5.「Always Gonna Love You」/GARY M
OORE

北アイルランド出身の人間国宝、ゲイリー・ムーアは数多くの名バラードを作っている。この曲のオリジナルはソロとなった2ndアルバム『CORRIDORS OF POWER』に収録されているが、彼の非凡な才能の一部である「バラード&ブルーズ」だけに特化した企画的なベスト盤『BALLADS&BLUES 1982-1994』(新曲3曲追加)は、普段ハードロックは聴かないという人に是非薦めたい。もう名曲のオンパレードで、ある意味ゲイリー・ムーア初心者にぴったりの内容なのだ。僕も彼のオリジナル作は全て持っているが、それでもこのベスト盤は特別な輝きを放っている。この曲はベスト盤の冒頭を飾るナンバーで、いわゆるクリスマスソングとは違うものの、人肌恋しくなるこの季節にそっと寄り添ってくれる超名バラードだ。2011年2月6日、ゲイリーは滞在先のスペインで亡くなった。彼らの素晴らしい歌声とギタープレイは永遠に不滅です。

著者:荒金良介

OKMusic編集部

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