都内でもチラチラと雪が降る日がたまにある2月。外に出れば風が強いし、部屋の中では暖房を付ければ温かくはなるものの、空気が濁ってくる。だけど、暖房を止めたら、足が冷たくなってガクガク震えてくる。やだなぁ、とひとりグチるのは自宅を仕事場にしているフリーライターの悩みです(自分)。そんな時は気分を盛り上げてくれるような…いや、テンションをガーッ!と上げてくれる音楽を欲しくたくなるものです。炎のごとくメラメラと燃え盛る楽曲をここに紹介します。

1.「街の底」('15)/eastern youth

 先日、23年間活動を共ともにしてきたベーシストの二宮友和が今年6月のツアーを持って脱退することが報告され、ファンを驚かせたeastern youth。その二宮参加のラスト作となった新作『ボトムオブザワールド』が今月の18日にリリースされた。これがもう、涙なくしては聴けない大傑作なんです。特に表題とも共鳴した冒頭曲「街の底」は聴く者の胸倉をいきなり掴んで、勝手に背中を叩かれているような気分になる熱風ソングなのだ。どっこい、俺は街の底で生きてるんだよ!とむせび泣くようにシャウトする吉野寿(エレキギター、ヴォイス)の歌声には心を激しく揺さぶられる。魂のブルース、生き様ロックの真骨頂が刻まれている。吉野が住む荻窪で撮影されたMV「街の底」も必見!

2.「NIJIKAN TRIP」('14)/HY

 昨年12月に出たHY初のコンセプトアルバム『LOVER』。デビューから彼らのラヴソングはファンから絶大な支持を受けており、特に紅一点・仲宗根泉(Key&Vo)がリードヴォーカルを務めるバラードは、同性の女性ファンから熱い共感を生んでいた。この作品は表題からも分かる通り、バンド一丸となって"愛"を堂々とテーマに掲げ、肌寒い季節に切なくも心温まる珠玉のナンバーをずらり揃えている。明るいメロディーとノリのいいテンポで、照れや恥ずかしさを取っ払い、真正面から"love"を連呼する歌詞に心が温まるどころか、全身がポカポカしてくる楽曲だ。ライヴでもラヴパワー全開にして、観客をひとつにまとめあげるパワフルなエネルギーを発揮していた。

3.「Road of Resistance」('15)/B
ABYMETAL

 目下のところ、最新曲にして最強曲の呼び名も高く、BABYMETAL史上もっとも振り切ったメロディック・スピード・メタルの決定版がこの曲だ。昨年のワールドツアーを締め括る11月のロンドンのブリクストン・アカデミー単独公演(5,000人キャパ、ソールドアウト!)で初披露され、現場で聴いた時も腰を抜かしたが、出来上がった音源を聴いてさらにビックリ仰天。イントロからアウトロまで計算され尽くしたアレンジや展開、また、本家本元の英国メタルバンドのDRAGONFORCEからハーマン・リ&サム・トットマンのギタリスト2名を迎え、超絶プレイで援護射撃。今年1月に2万人を集めたさいたまスーパーアリーナでも大合唱を巻き起こした沸騰メタルアンセムだ。

4.「野獣バイブレーター」('13)/ギ
ターウルフ

 2年前に出た現時点での最新11thアルバム『野獣バイブレーター』を聴いた時の衝撃はとんでもなかった。未だにその衝撃は今もずっと残り続けている。とにかく、オープニングを飾る表題曲は特にヤバイ! シビれる! 感電死しそうなパワーに満ちあふれているのだ。もはや曲名からしてよく分からないのだが、なんかすごいぞという波動をビシビシ感じませんか? サウンドも曲名を微塵も裏切らず、得体の知れないエナジーがマグマのごとく噴火した爆裂ロックナンバーだ。歌詞の一語一語、演奏の一音一音に込められた熱量の高さに圧倒されます。作品自体も過剰なポップさが大爆発した抱腹絶倒の傑作です。今までギターウルフ未体験という人ならば入門編にピッタリだと思います。

5.「Ace Of Spades」('80)/MOTORH
EAD

 今年、祝・『フジロック』初出演を果たすことになった我らの兄貴・MOTORHEAD。パンクとメタルの両ファンを虜にする稀有な音楽性と存在感は、現在のロックシーンにおいても燦然とした輝きを放ち続けている。昨年のクリスマスイブでバンドの中心人物であるレミー・キルミスター(Vo&Ba)は69歳を迎え、2年前に心臓のペースメーカーを体に植込む手術も行なったが、現役バリバリである。昨年バーミンガムでライヴを観たが、さすがに速い曲よりもミドルテンポ中心のセットリストになっていた。だが、レミーの歌声とパフォーマンスは貫禄十分である。バンドの代名詞とも言える「Ace Of Spades」は速い部類の楽曲に入るが、ライヴでは必ずやってくれる。イントロのブンブンうなるベースからヤケドする熱さです! 

著者:荒金良介

OKMusic編集部

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