最前線で働く君へ! 『MUSIC AID FEST.』で心揺さぶられた5つの想い

最前線で働く君へ! 『MUSIC AID FEST.』で心揺さぶられた5つの想い

最前線で働く君へ! 
『MUSIC AID FEST.』で
心揺さぶられた5つの想い

5月31日、CS放送フジテレビONEと動画配信サービスFODで生放送・配信された『MUSIC AID FEST.~FOR POST PANDEMIC~』。LUNA SEAが交友あるアーティストに声をかけて、最前線で働いてくれている医療従事者やフロントワーカーの方たちに向け、音楽家として何かできないかと企画したチャリティーフェスですが、Char、ELLEGARDEN、一青窈、EXILE SHOKICHI、シアターブルック…といったジャンルを問わない全27組が、実質2週間程しかないタイトなスケジュールの中で、自宅やプライベートスタジオ、リモート収録などで参加。フロントワーカーへの感謝と敬意と共にそれぞれが、観ている人たちに笑顔になってほしい、音楽業界みんなで頑張っていこう、世界中の平和のために…とさまざまな想いを込めてのパフォーマンスに、娯楽や豊かさだけではない音楽がくれるもの、人間にとって必要なものを再認識させられたのでした。こちら視聴自体は無料で、趣旨に賛同・希望した方にREADYFORを通じて支援を募るもので、7月2日まで受付中! 地方局でのダイジェスト版放送しかすでに観れる手立てはありませんが、これを読んで心動いてくれたらぜひ!

■READYFOR ページ
http://music-aid-fest.com/
「Make a vow」収録シングル「Make a vow」/LUNA SEA
「月光」収録アルバム『月光_ベートーヴェン《悲愴》《月光》《熱情》』/辻井伸行
「DON’T GIVE UP」収録配信楽曲「DON’T GIVE UP」/lynch.
「Holy Nights」収録アルバム「Holy Nights」/MIYAVI

「Make a vow」('20)/LUNA SEA

「Make a vow」収録シングル「Make a vow」/LUNA SEA

「Make a vow」収録シングル「Make a vow」/LUNA SEA

昨年12月にアルバム『CROSS』をリリース、今年2月~この放送があった5月31日まで記念すべき30周年アニバーサリーツアーが予定されていたLUNA SEA。軒並みライヴ延期が発表になる中で、みんなに寄り添いたいと、初めてメンバー間が直接顔を合わせることのない状態で制作、各自がスマホでの自撮り動画で編集した作品がこの「Make a vow」。『MUSIC AID FEST.』ではさらに別ver.が披露されましたが、6月27日にはファンクラブ会員約1000人がリモート参加した最新ver.「Make a vow –with All of us-」が公開! 違う場所にいるそれぞれ全員が、支えられ支え合う存在であることを形にしたような、そんな素敵な映像に仕上がっています。そして、人は最終的には何に救われて、何のためなら自分を奮い立たせて頑張れるのか? この企画を立ち上げるに際してとても感銘を受けたという、アメリカで4月に行われたフェス『One World:Together At Home』の中心となったレディー・ガガが“これは世界へのラブレター”と言っていたけれど、“誓い”という意味を持つこの曲は、先の見えない不安や絶望、壊れそうで消えそうな想いだってきっと、信じられる何かが強い気持ちを持たせてくれる…そう思わせてくれることでそっと傷口を癒す“クスリ”のよう。そんなふうに思うのです。

「月光~笑顔で会える日のために」
('20)/辻井伸行

「月光」収録アルバム『月光_ベートーヴェン《悲愴》《月光》《熱情》』/辻井伸行

「月光」収録アルバム『月光_ベートーヴェン《悲愴》《月光》《熱情》』/辻井伸行

10歳でオーケストラと共演してデビューを飾り、ニューヨークのカーネギーホールでリサイタルを行なうなど、国際的ピアニストの辻井伸行。ジャンルレスな今回の出演者の中でも、とりわけ異彩を放ち注目されていた彼が弾き始めたのは、LUNA SEAのライヴでオープニングSEに使用されているベートーベンの『ピアノ・ソナタ 第14番「月光」』! このサプライズにLUNA SEAファンからは“ぜひ次回からライヴのSEに辻井さんの「月光」を!”という歓喜の声も。そして、この状況下で自分に何ができるか、今感じている想いを言葉ではなく即興で曲に込めたという「笑顔で会える日のために」を披露。その音色は、やわらかな陽だまりのような温かさと明るいその先を感じさせてくれる、希望に満ちたとてもやさしい音符の羅列。ピアノの音だけで奏でるメロディーは、とてもシンプルだからこそありのままの気持ちがそのまま現れているようで、辻井さんだから見えるものがあり、辻井さんだから表現できる言葉じゃないものが伝わってくる、そんなやさしさを集めたような素敵な曲です。

「DON’T GIVE UP」('20)/lynch.

「DON’T GIVE UP」収録配信楽曲「DON’T GIVE UP」/lynch.

「DON’T GIVE UP」収録配信楽曲「DON’T GIVE UP」/lynch.

『LUNATIC FEST. 2018』にも参加、メンバーがSLAVE(LUNA SEAファンの呼称)を公言している名古屋出身バンドlynch.。各地で公演自粛が進んでいく中で3月18日にアルバム『ULTIMA』をリリース、この時点でリリスーツアーとして予定していたライヴは全26公演。地元はもちろんのこと、全国各地のライヴハウスで演奏してきた彼らが3月末、ハッシュタグ<#ライブハウスを守ろう>で現在新曲を作っていること、その売上の利益を今までに自分たちが出演した全てのライヴハウス(全国148店舗)に分配・寄付することを発表、そのライヴハウス支援企画シングル「OVERCOME THE VIRUS」の1曲目に収録されているのが今回参加の「DON’T GIVE UP」なのですが、短期間で制作したとは思えないほどのクオリティーの高さはMVかと思うほどで、ウイルスなんて全て跳ね飛ばすような凄まじい勢いにスカッとするナンバー。そして、最終的には23の公演中止と3つの延期となったツアー。リベンジがもしあるなら、その時はそのまま全公演同じハコでやれますように! 絶えない炎に願いをこめて。

「Holy Nights」('20)/MIYAVI

「Holy Nights」収録アルバム「Holy Nights」/MIYAVI

「Holy Nights」収録アルバム「Holy Nights」/MIYAVI

ピックを使わない激しいスラップ奏法や、日本人ミュージシャンがあまり行かないような国まで世界約30か国でライヴを行なうなど“サムライギタリスト”の異名を持つMIYAVI。近年では、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の親善大使として、支援活動を熱心に行なっていることでも知られていますが、6月20日には彼がメインパーソナリティーを務める世界難民の日特別配信『UNHCR WILL 2 LIVE Music 2020』でもLUNA SEAと共演。今回は4月22日に発売されたアルバム『Holy Nights』のタイトル曲となる「Holy Nights」を演奏。一見季節外れなようにも思えますが、“聖なる夜”という意味は決してそこを指してるだけじゃない、ってことは歌詞に並ぶ言葉を見れば感じ取れるような気がします。インディーズの頃に何度かインタビューをさせてもらったことがあって、印象的だったのは“止まってたくない、絶対に”という言葉でした。STAY HOME下においても、自宅でのファミリーライヴをインスタ配信だけではなく『Mステ』でもリモートで披露するなど、とにかく精力的。そんな彼だから、“世界全体で誰ひとり残さず”そう繰り返し言葉にしたその想いのためにできることも、きっと全身全霊で発信していくのでしょうね、変わりゆく世界で変わらずに笑い合える夜のために。

未発表曲('20)/打首獄門同好会

7弦ギターと5弦ベース、そしてヴォーカルスタイルがとにかく豪快で、一度聴いたら忘れない独特な詞の世界が魅力の“生活密着型ラウドロック”打首獄門同好会。(ちなみに大澤敦史(Vo&Gu)と河本あす香(Dr&Vo)は、その昔LUNA SEAのコピーをしていたのだとか)あまりにも分かりやすく食べ物をネタにした曲が多いため、2019年5月にはなんと農林水産省から特別職“FANバサダーロック”に任命されて、安倍首相を表敬訪問しているというなかなかの強者ですが、この『MUSIC AID FEST.』に出演するにあたって“前代未聞の超真面目なので面白い要素は期待しないように!”とわざわざ本人たちが事前に前置き。それほど本来のスタイルとは違っていたわけですが、医療従事者の方たちへ向けて心を込めて作ったという、打首の名もないアコースティックナンバーが、正直個人的にはダントツで感動ものでした。《まいにちどこかの最前線 命懸けで闘ってるあなたに》。これは…音源が難しいなら歌詞全文だけでも、ひとり残らず届けてあげられないものなのかな…。きっと、こんなに嬉しいことはないんじゃないでしょうか、そんなふうに思います。そして早く、直接お礼を伝えられる日が来ますように。それまではできる範囲で、みなさま篭城戦続行でお願いします。

TEXT:K子。

神奈川・湘南育ち。DIE IN CRIESで“音楽=音を楽しむ”ことを知り、好きな音楽の仕事がしたい!とOLをやめてオリコン株式会社に9年所属。どっぷりの反動で旅行業界に転職後、副業で旅・エンタメ関連のWEBで執筆するも、音楽への愛が止められず出戻り人に。愛情込めまくりのレビューやライヴレポを得意とし、ライヴシチュエーション(ライヴハウス、ホール、アリーナクラス、野外、フェス、海外)による魅え方の違いにやけに興味を示す、体感型邦楽ロック好き。

OKMusic編集部

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