【ヤングスキニー インタビュー】
ライヴ経験が
バンドのグルーブを高めていく
2ndミニアルバム『演じるくらいなら、ありのままでいいけどね』をリリースしたヤングスキニー。2020年8月から活動をスタートさせた彼らは一体どんなバンドなのか? 作品の生い立ちを辿ると同時にバンド活動を振り返りつつ、4人の本音を探ってみた。
最近になってやっと
バンドらしくなってきた
シンガーソングライターとしてTikTokなどで楽曲を投稿してきたかやゆー。さんが、バンドをやろうと思ったのはどうしてだったんですか?
かやゆー。
そんなに深い理由はないんですけど、もともとバンドサウンドが好きでしたし、ひとりでアコギを鳴らすだけではなく、自分もバンドで音を鳴らせたらいいなと思ったからですね。作曲に関しても高校3年生の時に15秒程度の短い曲ができたことがきっかけでTikTokやYouTubeに投稿したんですけど、それもただ単に“作ったからアップした”という感覚でした。
かやゆー。さんはSNSでバンドメンバーを募集したそうですが、ゴンザレスさんとりょうとさんはどういうきっかけで応募したんですか?
ゴンザレス
ギターをやってみたいと思ったタイミングで、かやゆー。が作った「世界が僕を嫌いになっても」のショートムービーがTwitterのタイムラインに流れてきて、そこでいい曲だなと思ったのがきっかけです。そのあとに彼がバンドメンバーを募集していることを知って、当時持っていた“ゴンザレス”という名前のゲームアカウントからギター動画を送って応募したんですけど、僕は正真正銘の初心者だったのでメンバーに決まった時は驚きました。
かやゆー。
正直言って、消去法での選出だったんですけどね(笑)。でも、ゴンちゃん(ゴンザレスの愛称)はセンスあるし、ものすごく真面目だし、今となってはバンドに欠かせない存在です。
りょうと
僕は大学の軽音部が一緒だった、ヤングスキニーの元ドラムメンバーに紹介してもらったことがきっかけで加入しました。ベースはやっていたんですが、大学に上がるタイミングで辞めようと思っていたんです。でも、心のどこかではバンドをやりたいと思っていたし、彼が作るメロディーの良さに惹かれて声をかけてみました。
その後、今年7月にしおんさんが加入し、現在のメンバーに落ち着いたんですね。
しおん
僕は高校時代から軽音楽部に所属していて、今も音楽の専門学校に通っているんですけど、音楽で食べていこうとは思っているものの、何もできていない現状に焦っていたんです。だから、ぶっちゃけて話すと、彼らの音楽性に惹かれたという以前に、活動条件などの提示された条件とマッチしたから入りました。
なるほど。でも、この4人になって今作を制作することになったことで、“こんなバンドになっていきたい”といった方向性の確認はされたのですか?
ゴンザレス
方向性を意識するようになったのも、しおんくんが加入してからですね。
しおん
加入当時のヤングスキニーって、僕が今まで経験してきた中で、もっとも基盤形成がされていないガタガタなバンドだったんです。だから、まずはそこをしっかりと固めなきゃいけないと思ったし、“こういうライヴハウスでやりたい”とか“フェスに出たい”とか、そういう想いが出てきたのは本当に最近ですね。
かやゆー。
“バンドとしてこうしていかなきゃ”という気持ちがライヴをする中でどんどん固まっていった感覚はあります。僕らはコロナ禍以降に結成したバンドだからライヴ活動をほとんどしていないんですけど、コロナ禍の影響うんぬんの前に、そもそも僕ら自身が人前でライヴができるレベルに達していなかったんですよ。なので、TikTokやInstagramなどのSNSをうまく活用しながら活動をしてきました。
でも、ライヴに対する経験不足を自覚しながらも、楽曲はどんどんと拡散されていったとなると、ライヴへのハードルやプレッシャーはかなり上がっていきそうですよね。
ゴンザレス
そうなんですよ! なので、最初のライヴは本当に緊張して、口から胃が出るかと思いました…。
りょうと
あの時のプレッシャーはヤバかったよね。僕も軽音楽部でライヴをしたことはあったにせよ、やっぱり腕が落ちてないか心配はありました。
でも、今作を聴かせていただいて、先ほどおっしゃっていたようなバンドとしてのグルーブ感は、前作に比べて格段に上がっているように思います。
しおん
そうですね。僕が加入して1,2カ月後にレコーディングをした作品ではあるんですけど、グルーブに対する意識を持って作れた作品だと思います。
“演じるくらいなら、ありのままでいいけどね”という印象的なタイトルですが、コンセプトはあったんですか?
かやゆー。
特に設けてはいなかったんですけど、歌詞を読み返してみると共通点があると思いました。僕は本を読むのが好きで、最後の最後で“こういうことか!”と気づかせるような手法に惹かれるんです。なので、今作の歌詞も最後には“本当はこう思っているんだよ”という本音が分かるものになっていると思いますし、読書から得た性質は自ずと受け継がれているように思います。
りょうと
僕がヤングスキニーに加入したいと思った理由のひとつに、歌詞の良さがあったんです。最初に聴いた「世界が僕を嫌いになっても」の中にある《君のためなら死んでもいいから》というフレーズには衝撃を受けましたし、キャッチーさと強さを感じるところもグッとくるポイントだと思います。
しおん
バンドに加入する時の心境はさっき話した通りではあるんですが、当時から歌詞の魅力をすごく感じていましたね。言葉にするには難しい感情を代弁してくれていると思いますし、単純に見えるフレーズも実は奥が深かったりしますし。なので、その歌詞の情景をより鮮明に描くために、ドラムの強弱でサポートしていこうという意識はずっとあります。
かやゆー。
ゴンちゃんは誰かとつき合ったことがないので、共感はできないんだと思います!(笑)
ゴンザレス
小2から野球ひと筋だったんだよ(笑)。でも、お客さんが“歌詞に共感しました!”と言っているのを聞くと、やっぱりすごい歌詞なんだなと思いますね。歌詞を読んでも自分じゃ絶対に出てこない言い回しをしていますし、感動します。
かやゆー。
歌詞の書き方って人それぞれだと思うんですけど、僕は普段からメモを取ることはしていなくて、一度歌詞とメロが浮かんだら、そこで全部出し切るタイプなんです。「愛鍵」も過去に自分がTwitterで呟いた投稿をきっかけにして、一気に生まれた楽曲でもありますし。だから、ヤングスキニーの楽曲ってデモと完成がほぼ一緒なんですよ。
しおん
渡された段階で9割はできているので、僕らは残りの1割の中で100パーセントを出しきるという作り方をしています。