【THIS IS JAPAN インタビュー】
“新しいTHIS IS JAPANを
生み出すぞ!”っていう
気持ちがあった
新作EP『WEEKENDER』が到着! 骨太なロックサウンドと疾走するビートはそのままに、キャッチーさや遊び心も盛り込まれてポジティブなパワーを感じる今作。前作ミニアルバム『FROM ALTERNATIVE』からの1年半の間にどんな変化があったのか、杉森ジャック(Vo&Gu)とかわむら(Dr&Cho)に訊いた。
自分たちは何を思っているのか、
何を作れるのかを突き詰めた
THIS IS JAPANが主催しているコンピレーションアルバムの第二弾『NOT FORMAL~NEW CHALLENGER~』のリリースと同じタイミングですが、EP『WEEKENDER』の制作はいかがでしたか?
杉森
自分たちの作品としては前作ミニアルバム『FROM ALTERNATIVE』(2018年5月発表)から1年半くらい空いてたから、時間は結構ありました。新しいものを作らなきゃっていう意識はメンバー全員にあったと思います。
今作はバラエティー豊富で、J-ROCKっぽいキャッチーさもあって明るいイメージになったなと。
かわむら
おぉ、伝わって良かったです。我々も明るくなりましたしね(笑)。前作はひねくれてやろうみたいな気持ちが渦巻いた作品だったんですけど、今回はかなり前向きな気持ちで取り組んでいて、そのエネルギーがそのまま曲にも出ているんじゃないかなと。
何か前向きになるきっかけはあったんですか?
杉森
“みんな前向いて行こうぜ!”っていう前向きさではないんですけど、自然と活動していく中で視野が広くなっていったというか。
かわむら
前作をリリースしてからずっと前向きに過ごしていたわけではなく、もちろんいろいろ悩んだ経緯があって、最終的に音楽に取り組む姿勢が前向きになったんですよね。曲作りをするのがすごく好きなバンドなので、今作に向けて新しく30曲以上作ったんですけど、数字的にというよりは、そこまでやらないと新しいものは出てこないっていう意識があって。それを楽しめてやれたのも、前向きになったきっかけのひとつかもしれないです。
杉森
最後のほうはランナーズハイみたいな状態で、制作の終盤は特にポジティブな気持ちになってましたね。
その制作の仕方は今回が初めて?
かわむら
初めてです。常にライヴを活動をしているバンドなのでライヴの良さを盤に込めるっていうのはどの作品にも絶対にあることなんですけど、今回はそれだけではなく“ものを作る”っていうのを意識して、自分たちは何を思っているのか、何を作れるのかっていうのを突き詰めました。
杉森
“新しいTHIS IS JAPANを生み出すぞ!”っていう気持ちがありましたね。
タイトルは翻訳すると“週末旅行者”ですが、どんな流れで決まったんですか?
かわむら
曲が出揃った時に自分たちが誰に聴いてもらいたいか、自分たちにとって何が特別で、何ができるのかっていうのを考えたんです。で、たくさんある案の中で“週末”って単語が出てきて。週末はみんなに訪れるものであり、日常のモチベーションでもあるわけで、今のTHIS IS JAPANはそれに似ている光を持っているんじゃないかってことで“WEEKENDER”と付けました。あとは、我々にとっての音楽活動がその週末のような存在でもあります。
杉森
週末が終わったらまた月曜日が始まるので、現実逃避ではなく、俺たちが楽しみとなってまた新しい一週間を過ごせてもらえたらと。
そんな今作は「グルメ」で幕を開けるわけですが、ドラムとギターのカッティングでスピード感を出していて“まさにTHIS IS JAPANだ!”という印象でした。スネアのピッチを高くしてテンポ感を出すのもお決まりで。
かわむら
こちらの意図を汲んでいただいてありがとうございます(笑)。楽器ひとつひとつの存在感と曲の中心にある歌のバランスを上手い具合にしたいんですよね。切り込み隊長じゃないですけど、「グルメ」はそういった意味でも1番に聴いてほしい曲でした。
杉森
各楽器の音が一番ダイレクトに聴ける曲だと思います。ドラムがきて、ここがベース、そこにギターがきて、最後に4人の音がドーン!みたいな美しさがあって。
かわむらさんが兼ねてよりファンを公言していた山田健人監督によるMVも注目どころですね。歌詞も印象的で《それは自ら這いつくばって飲む泥水が クセになる なっちゃってんじゃないの》なんてフレーズは核心を付いていて“言わないでくれ!”って思いました(笑)。
かわむら
でも、元気付けようって考えてるんで、よく読んだらやさしさが見えてくるはずなんですよ。
杉森
あとは、俺の声を通したらキツい言葉でもポジティブになるんじゃないかっていうのも考えてくれてると思います。トラックを作ってかわむらに渡した時に“イケそうな感じがする!”って言ってもらえて、初めて合わせた時からピタッとくる曲でしたね。サビのシャウトの感じもやりたいことだったし、思い切り歌えました。そう考えると、1曲目になったのは必然な気もします。
続く「ストロボ」「apple me」までの流れは、THIS IS JAPANの新譜ってところでリスナーが求めてるパンチ力があると思います。
かわむら
「グルメ」と「apple me」はレコーディング前からライヴでやってたので、この2曲を中心にライヴの雰囲気を出せたと思います。「ストロボ」は『FUJI ROCK FESTIVAL 2019』で初めて披露して、どしゃぶりの中でやったんですけど、新曲をライヴでやるっていう体験の中で一番気持ち良くできました。
杉森
確かに。それはレコーディングでしっかり細かい部分も仕上げてから披露したからっていうのがあると思いますね。今までは仕上がった状態でライヴでやることがあまりなかったので。
曲ごとに歌い方が変わるのも魅力のひとつですよね。
杉森
単純に前より歌えるようになって、幅が広くなったのはあると思います。極端に言うと、今までは自分には叫ぶようにワーッ!と力ずくで声を出す歌い方しかないと思ってたけど、普通に歌ってもいいかもってなったというか。かわむらくんのイメージを訊いて挑戦してみることもあって、「グルメ」と「ストロボ」は特にキーが低くて、最初は声が出なかったんですよ。でも、だんだん出るようになって、プラス要素が増えたと思います。
あと、やっぱりドラムが“ここからサビくるぞ!”っていうのを分かりやすく叩いているのもかなり気持ちがアガります。ライヴで初めて聴いた場合でも耳に残りますし。
かわむら
あぁ、もうそれは本当に分かりやすくやってますから(笑)。サビが好きなバンドなんでね。