【NUMBER VOGEL】俺たち、音楽にメチ
ャメチャ燃えられてる!
“普段はネガティブだけど、本当はどこかでみんな輝きたい想いを持ってるはず”…そんな気持ちから作られたミニアルバム『ネガティブスター』。さまざまな思考や人間模様をポップに昇華した一枚について、メンバーに語ってもらった。
取材:高良美咲
14年11月に前作EP『かくかくしかじか』をリリースし、そのツアーファイナルとして今年2月に渋谷WWWで行なったワンマンライヴはどうでしたか?
もとつね番ちょう
ツアーに関して言えば、前作のEPに触れたことをきっかけにライヴに参戦してくれた人がたくさんいたのが実感としてあります。渋谷WWWのワンマンでは、ツアーで回った先で出会ったみんなが各地から集ってくれているのがステージから見えて、本当に内心歓喜で一杯だったことをはっきり覚えてますよ。いわゆる“次への一歩”ってのを肌で感じた、そんな手応えのあるリリース&ツアーになったと思います。
そんなツアーも経た上で、前作は改めてどのような作品になりました?
もとつね番ちょう
リスナーに対して“NUMBER VOGELサウンドと言えばコレ”って提示できるものが出来上がったと思いますね。
小平雄希
そうですね。僕らがあの時飾らずに出したい音や言葉ってこういうのだったのかなって少し懐かしい気持ちが沸いてます! バンドにとって守りたいものと、個人が守りたいものの違いがはっきり分かって、そこにバンドとしての方向性がしっかり合った作品だったと思いますね。
前作から7カ月経ってリリースとなるミニアルバム『ネガティブスター』の制作は、いつ頃から行なっていたのですか?
小平雄希
『かくかくしかじか』がリリースされた昨年の11月頃には、もう動き出してました。ビジョンというか、楽曲のタイトル案や骨格だったりは、前作のタイミングである程度見えていましたね。“朝飯食べたら次は昼飯”みたいな感じで、“この想いの曲が書けたら、次はこの想いの曲”みたいな気持ちがあるんです。
収録されている5曲以外にも候補はあったのですか?
小平雄希
5曲以外にも候補は数曲ありましたね。あとで聴いたら恐ろしいくらいダサい曲とかも!(笑) 3曲目の「I have a water」以外は完全に書き下ろしです。選曲はアルバムタイトルの“ネガティブスター”というのが頭にあったので、“普段はネガティブなんだけど本当はどこかでみんな輝きたいものを持ってるはず”というその人間模様をたくさん描いて、そこからの気付きを大事にしました。気付きのないエゴ楽曲だけというのは僕はあまり好きではないんです!
制作の上で軸になった楽曲は?
小平雄希
今作の制作の軸はリード曲の「なあなあなあ」ですね。理由は…うーん…なあなあにしときます!(笑) 簡単に言うと、ポップに今ある悩みを歌にしたいと言う感じでしたね。
リード曲の「なあなあなあ」はリズミカルでキャッチーな曲ですね。
小平雄希
友達と飲んでる時に、それはそれはものすごいなあなあな恋愛関係の人がおって、それがすごい刺激的で頭に残ってて。それから街を歩いても何をしてても、なあなあな人がすごい目につくんです。で、最後に巡り巡って自分のことを考えたら、それはそれはなあなあな人生だなって思ったんです!(笑) そこからイメージして作って、自分が聴いても何だか元気になる楽曲にしたかったんです。うん、元気もらってますよ!(笑
「のっぺらぼう」はライヴが想像できる合いの手が入っているのが印象的でした。
もとつね番ちょう
おっしゃる通りで、とにかく“ライヴ”を意識して作りました。合いの手を入れてもっともっと一緒に、グル―ブやライヴの一体感を生み出す仕掛けを盛り込んだ曲になりましたね。そういう視点で作ると無駄なものを躊躇なく削ぎ落とすことができるんですよ。根拠のないアレンジ上のエゴとかバッサリ切れるんで(笑)。そういう意味では、現在の僕等の作曲スタイルが如実に表れてる一曲と言っても過言ではないのかもしれません。
ベースから始まる「I have a water」は中盤ではバンドの見せ所もあったり、多彩な展開が面白かったです。アレンジや制作の際に意識したのはどういったところでしたか?
タンパク
「I have a water」は昔からライヴで披露していて、もともとアレンジまで完成されていた曲なんです。なので、今回はリアレンジバージョンになってるんですが、もともとは踊れる曲っていう位置付けでやってきたので、さらに踊れるアレンジになるよう意識しました。お客さんに踊ったり自由に楽しんでもらいたかったので、エンターテイメント的な要素とパフォーマンス性を持たせようとしたら自然とこういったアレンジになりましたね。
「犯行声明」のように、歌詞には社会に警鐘を鳴らすようなメッセージ性がありますよね。
小平雄希
自分にはない経験談や体験談を持っている人と話すと、“この経験をしてる人はどんな人だろう?”“あ、今すれ違ったあの人もきっとこんな経験してそう”“あいつは違うな”とか、そんな妄想ばっかしてるんです。しばらくしたら妄想してたことも考えてたことも忘れてしまってからの“あれ? あの時こんなこと考えてたよな?”とか、“今ならこう思う!”っていうのを歌詞にしてますね。社会にというより、自分の知り合いや“自分”という小さい社会に対する警鐘、“自分はこう思ってるんだけど?”っていう問いかけが多いですね。
タイトル通りのもどかしさを描いた「答え合わせ」はスピード感の中できちんと各パートの音が際立っているのも印象的でした。
小平雄希
まさしく、答え合わせをしたいと思って作った楽曲です! 他の4曲は完成していて、“よし、あともう1曲は答え合わせをしよう! 何も考えずに、自分が好きなリズム、アレンジ、歌、歌詞を書いてみて判断しよう”と。アルバムの答え合わせ、人生の答え合わせ、アレンジの答え合わせ…そんな楽曲です。
今作は最初から最後までどれも疾走感のある楽曲で、今後のライヴでキーになりそうな楽曲が詰まった一枚になりましたね。
タンパク
確かにライヴを意識して制作していたのはありますね! アレンジに関しても、いい意味で期待を裏切りながらいかに楽しんでもらえるかを一番に考えながら制作しました。あとは、聴いた瞬間にメロディーやリフの無限ループが頭の中で始まってもらえればいいな、寝る時に頭から離れなくて寝れないような曲たちになってもらえればいいなと思います! 今回どの曲も睡眠を妨げる破壊力はかなり高いと思いますね(笑)。そう言った意味でも前回から比べてNUMBER VOGELっぽさ、NUMBER VOGELの個性がさらに増して表現できた一枚になったなと思います! 一度聴いたらすっと耳に入ってくる入りやすさだけを持った、キャッチーミュージックを集めたアルバムにはしたくなかったんで、試行錯誤をしながらさまざまな要素を練り込みました。遊び心満載の言葉を散りばめた歌詞とリズミカルなメロディーラインで、頭をエンドレスに駆け巡る感じを体現して楽しんでもらいたいです。
“ネガティブスター”というタイトルに込められた想いとは?
小平雄希
さっきも答えてしまいましたが、普段はネガティブなんだけど、本当はどこかでみんな輝きたいものを持ってる。なかなか声にできないし、答えが見つからない、自分もそうです。だけど、本当は気付かないだけで実はもがいたり、何かに必死な時が一番輝いてたりしますよね? “あの苦しかった部活をやってた時が一番輝いてたな~”ってあとで気付く瞬間です。今を悩んだり苦しんだりするけど、ポップにロックに一緒に生きていきましょう! そんなネガティブっぽい気持ちが、いつかスターに変わるはず!って想いを込めてますね。
中でも思い入れのある楽曲、印象深い楽曲はありますか? 理由もお願いします。
ムッシュ
「答え合わせ」ですね。これは僕の考えですけど、この世の中のものって多分、本当のところ、意味ってないんだと思うんですよ。意味を付けているのは人間であって、全ての物事において最終的には自分で意味を付けているんだと。どうしても人間って意味を付ける生き物だと思うんです。“意味付いてないから”とか言って万引きしちゃだめですからね(笑)。その中でいろんなことに対してどう意味を付けていくのかというのは、自分の価値観だと思います。ただ、そこに“本当に正しいのか?”“自分とは?”と考える葛藤が出てきます。歌詞を書いたのは小平ですが、曲と歌詞が完成した時、曲に入り込みすぎて“うおー”って唸りましたね(笑)。
改めて、バンドとして再発見できたことはありましたか?
もとつね番ちょう
前作にも増してリズムをバンドで料理できたっていうのが一番ですね、楽器も歌も。この追求だけは絶対に疎かにしたくない部分なんですよ。新しいバンドリズムを生み出すこと、確信を持ってリズムを刻むこと。これは音源リスナーに対しても、ライヴリスナーに対しても、さらに楽しんでもらうこと、世界観に没頭してもらうこと全てに直結してると思うんです。レコーディング終わった3日後には、“ああすればもっと良くなってたな…”と良い意味で後悔できるくらいの向上心を常に持っていたいです。それで今回発見できたことは…“俺たち、音楽にメチャメチャ燃えられてる!”ってことですかね!(笑)
リリース後は、今作を引っ提げて『「ネガティブスター」リリースツアー ~ネガティブだけど輝きたいんでしょ~ツアー』を行ないますね。ツアーでの楽しみなどあれば教えてください。
ムッシュ
バンドとして前作をさらに超えた自信のある楽曲ができたので、早くライヴでやりたいですね。音源に自信がある分、“CDもいいけど、やっぱライヴは特別!”とお客さんに感じてもらうライヴにしたいです。まぁ、絶対楽しくなるからみんなとりあえずライヴに来てよと(笑)。ツアー各地で会場が違って、もちろんお客さんも対バンも違うので、その時のライヴの空気ってその時その場所でしか出ないものができるんですよ。同じ体験は二度とできないので、その一瞬を大切にしたいという思いと、どんな空気になるだろうと今から楽しみにしています。
- 『ネガティブスター』
- AFD-0040
- 2015.06.03
- 1620円
ナンバー・フォーゲル:2008年結成。結成以来、東名阪を中心に全国でライヴ活動を広げる中、リリースも精力的に行なう。ポップ、ロックを基調とした楽曲、ひねくれたサウンドセンスと心を抉る切な系の歌詞が人気を博している。NUMBER VOGEL オフィシャルHP