L→R 垣守翔真(Dr)、森山公稀(Pf&Syn)、井上拓哉(Gu)、ミゾベリョウ(Vo&Gu)、Shaikh Sofian(Ba)

L→R 垣守翔真(Dr)、森山公稀(Pf&Syn)、井上拓哉(Gu)、ミゾベリョウ(Vo&Gu)、Shaikh Sofian(Ba)

【odol インタビュー】
たくさんの人たちとの
重なり合いがあり、
それらがこの音楽を作らせている

radikoブランドムービーのオリジナルソング「小さなことをひとつ」、『UCC BLACK 無糖「#この気持ちは無添加です」』キャンペーンソング「かたちのないもの」、映画『サヨナラまでの30 分』の劇中バンド・ECHOLLへの提供曲「瞬間」のセルフカバーと、全3曲のタイアップ作品を新作EP『WEFT』としてリリースしたodol。それぞれの制作で感じた新鮮味や発見を森山公稀(Pf&Syn)、ミゾベリョウ(Vo&Gu)に訊いた。

自分なりの考え方を提示するのも、
タイアップでは必要だと感じた

配信EP『WEFT』は全3曲がタイアップ作品ですが、アース製薬『温泡』に書き下ろした「身体」をはじめ、これまでにもメンバー以外の方々と音楽を作ることはあったと思います。odolにとってタイアップ曲の制作はどういうものと考えていますか?

森山
新しい視座を与えてくれるとても貴重な時間です。音楽自体や音楽と他のメディアの関係性に対して、監督やプロデューサー、他のミュージシャンそれぞれに哲学があり、毎回そこから多くのことを学ばせていただいています。また、バンドもそうですが、“集団でひとつの作品を作る”ということに対してもたくさんの気づきを得られています。

既存曲をリアレンジして現在進行形の解釈を提示する企画『Rework Series』が昨年からスタートしていて、ご自身でodolの楽曲について考える時間も多かったのではないかと思います。『Rework Series』での取り組みとタイアップ曲、異なる制作を同時に行なうことで、いい相乗効果が生まれたことはありますか?

森山
タイアップでの制作も『Rework Series』も、ある意味では提示されたものに対して解釈をすることだと思っています。それが自分たちの過去の作品であれ、他の人によるコンセプトであれ、今のodolとしてどう答えるかというところをとても楽しんでいます。ただし、違う点もあって。音楽を作る上で幸せを感じる瞬間として、“この音が聴きたかった!”と自分で気づく時と、“この音が聴きたかった!”と誰かに感じてもらえる時があるのですが、『Rework Series』は前者、タイアップ曲では後者を明確に目指しています。そのふたつが重なる瞬間が一番の幸せであるのは言うまでもないですが。

今作のリード曲「小さなことをひとつ」を制作するにあたって、radikoブランドムービーの監督であり、odol のMV撮影やアー写も手がけてきた林響太朗さんとはどのような意見交換をしたのでしょうか?

森山
まずはミーティングで監督からムービー全体のコンセプトやロケハンの写真などを観せていただきながら、音や歌詞のイメージを言葉で伝えていただきました。“日常”“小さな幸せ”“美しさ”“空気感”“広がり”“生感”などのキーワードが出ていたと思います。それを受けて、こちらから具体的に楽器のセレクトや録音方法を提案したり、楽曲の展開を絵コンテと見比べながら詰めていき、イメージを膨らませていきました。ただ、基本的には“自由にやってください”“いつもMVを作る時みたいに楽曲に合わせて作るから”と言っていただけていたので、安心して好きなように制作を進めることができましたね。

歌詞に“日常”という言葉がなくともそれが思い浮かぶ普遍的な日々が描かれているのが印象的でした。また、この曲はやさしく幸福感があるのに、どこか刹那的なところからodolらしさを感じます。だからこそ、普遍的で退屈な時間も愛おしく思える一曲に仕上がっているなと。

ミゾベ
“日常”を描いていく上で歌詞を聴いて思い浮かぶ情景と、radikoブランドムービーとして表現される実際の映像とのバランスは、意見交換の中で擦り合わせていった部分だと思います。逆に自分なりの答えや考え方を自由に提示することも、タイアップでは特に必要だと感じました。

意見交換で“小さな幸せ”という言葉が出てきたということで、この楽曲を制作しながら考えた幸せとはどんなものですか?

ミゾベ
制作中に緊急事態宣言が発令されたこともあり、それまで過ごしてきた日常のありがたみに気づかされました。もちろん、その影響を受けて作った楽曲ではないのですが、当たり前に広がる景色の中に美しさを見出すことができるのは、幸せなことだと思います。

今回の林さんとの制作では楽曲ありきで進めるMV制作とは違い、先にムービーの案があったと思いますが、どのような新鮮味がありましたか?

森山
これまでodolのMVでは響太朗さんの力を借り続けていたのですが、今回のお話をいただいた時は“ようやく少しは響太朗さんに恩返しができるかも!”と、とても嬉しく思いました。そして、何よりも安心感がありましたね。
ミゾベ
同時進行で楽曲を作っていくことで映像と音楽が相互作用を起こし、普段の自分たちの考え方をより拡張して楽曲制作に臨めた感覚と、今までの関係性もあって全てを言語化しなくても伝わる感覚もありました。

ラジオは自分以外の人の想いや日常を感じられるツールのひとつだと思っていて、時にはラジオにしか居場所がない感情もあると個人的に思っています。《きっとどこかの街に/僕と君と同じように/今日も笑っている人がいる》というフレーズを聴いた時に、その感覚に似たものを感じました。

ミゾベ
radikoの今日を“ちょっとだけ”前向きにしてくれるというコンセプトや、誰かにシェアをすることが楽しいという感覚は、音楽の力や特性と通ずる部分があると思いました。自分の音楽表現に対する考え方と、radikoブランドムービーのコンセプトをリンクさせることが、今回の歌詞のテーマの入口で。そのフレーズはそういった考えを意識する中で出てきたフレーズでもあります。

これまでodolのライヴにもバイオリンやチェロの参加がありましたが、バイオリンとチェロの奏者が参加しているのはodolからの提案ですか?

森山
監督から最初に音のイメージを伝えていただいた際、この曲はストリングスを録りたいと思ったのでこちらから提案しました。ストリングスを録音した時に感じられる特有の空気感や奏者の息遣いを、この楽曲の大きな要素のひとつにしたいと思っていたので、昨今のCOVID-19の状況もありスケジュールを遅らせることにはなってしまったのですが、生で収録することは外せませんでした。そうは言ってもタイアップの作品なので限界はあると思っていたのですが、監督をはじめチームのみなさんが、よりいいかたちで完成させることを優先してくださり、ストリングスも生でレコーディングをすることができました。
L→R 垣守翔真(Dr)、森山公稀(Pf&Syn)、井上拓哉(Gu)、ミゾベリョウ(Vo&Gu)、Shaikh Sofian(Ba)
デジタルEP『WEFT』

OKMusic編集部

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