L→R 岩淵紗貴(Vo&Gu)、一瀬貴之(Gu)

L→R 岩淵紗貴(Vo&Gu)、一瀬貴之(Gu)

【MOSHIMO インタビュー】
なりたい自分に向かって
世の中に噛み付いていく

岩淵紗貴(Vo&Gu)、一瀬貴之(Gu)が新体制のMOSHIMOとしてスタートダッシュを切ったアルバム『噛む』。タイトルからして強気にも思えるアルバムだが、そのパワフルさは孤独や葛藤に向き合った証であり、ふたりの生き様が刻まれている。

ライヴでのイメージと音源を
イコールにしたかった

アルバム『噛む』のリリースは1月6日のLIQUIDROOM公演で発表されましたが、制作自体はおふたりで進めていたんですか?

一瀬
レギュラーのサポートメンバーである汐碇真也(Ba)と高島一航(Dr)も一緒に10月末くらいから制作を始めました。前からモチーフを録り溜めることはあったけど、6曲全部このアルバムに向けて作った曲です。

新レーベル“Noisy”の第一弾作品であり、制作する上で環境の変化もあったと思いますが、1曲目の「もっと」を聴いた時から、すごく自分自身に向き合ったアルバムという印象がありました。

岩淵
そうですね。今までCDを出したあとにツアーをすると“音源でイメージしてた人と違う”“こんな人だったんだ!? ライヴのほうが好き”って言ってもらえることがあって。それはめっちゃ嬉しいんですけど…ってことは、ライヴと音源がイコールになってないんだって思ったんです。自分のいいところがライヴなら、その魅力を出せる音源にしたいと思って作ったのが『噛む』ですね。

では、ライヴ感を意識した作品なんですね。

一瀬
今まではきれいに録ってたところを、あえて今作ではやらずに仕上げたり。ライヴ感もそうですけど、岩淵らしさも全面に出したかったんですよね。
岩淵
前作の『TODOME』(2019年3月発表のアルバム)も“ライヴバンドであり続けたい”っていう想いで作ったアルバムなんですけど、それからだんだん“私らしさ、MOSHIMOらしさって何だろう”っていうのを考えるようになって、今の自分の等身大を出したいと思って作りました。

「もっと」はすごくエネルギッシュな曲ですが、《そわそわ不安消えない 考える事やめたい》という歌詞からも、いろいろな葛藤があって身に付いた力があふれているように感じました。

岩淵
そうですね。今は元気で明るいって感じなんですけど、私はもともと4年間くらい引きこもりだったんですよ。人に表情を読み取られるのが嫌で、ずっとマスクをしていて。人からあることないこと言われるのがすごく嫌だったので、世界から自分自身をシャットアウトしてた時期があったんです。でも、そうやって生きていたら、お金とか友達を失って。これじゃこの世の中でやっていけないと思って、だんだん自分が思っていることを主張できるようになってきたのがMOSHIMOってバンドだったんです。特に去年はいろいろなことがあって、自分を主張したことで失敗もあったけど、それが悪かったかって考えてみると、自分なりに楽しいことはやってきたし、納得のいくことはできたなと。昔の自分に比べて今の自分のほうが好きだから、自分らしく、相手を傷付けないように思ったことを伝えていく何かがないかなって思ってできた曲です。

サウンドも攻撃的ですし、《ブラックジョークも通じないの?》というフレーズも棘があってカッコ良いです。

岩淵
“相手を傷付けないように”と言っても、“じゃあ、みんなハッピーに楽しくやろう!”っていう上辺だけじゃ全然面白くないと思って。あと、ブラックジョークって脳を刺激されるんですよね。言い合うと“あっ、感覚が似てる”って分かるというか。逆に通じなかった瞬間のげんなり感が半端なくて。でも、それって相手に何かを期待しちゃっている自分がいるってことだし。

ブラックジョークって特に今は伝わりにくくなってますよね。一瀬さんは「もっと」に関していかがですか?

一瀬
MOSHIMOのライヴって“最近こんなことがありました”ってお客さんが報告しに来てくれることが多くて。岩淵も自分自身の人生経験とか、恋の話とか、彼氏に振られた話をMCで話していて、その距離感をライヴでは表現できてたけど、曲ではあまりできてなかったなと。「もっと」はそういった空気感も全部込みで、今の自分たちを表せた一曲だと思いますね。いろいろネガティブなことを歌っている部分もあるけど、最後は前向きになっているところとか、“いいことだけばっかりじゃないけど、進んでいかなきゃないけないんだ”っていうのがMOSHIMOのライヴらしさだと思うので。

相談しに行きたくなる気持ちは分かります! 勝手な解釈かもしれないけど、感情とか人柄が伝わってくるから、自分のことも言いたくなるし、すがる想いというか(笑)。

岩淵
めっちゃ嬉しい! ありがとうございます!

でも、身を削るような想いで曲を作るのって大変じゃないですか?

一瀬
今までは岩淵の経験がこんなにダイレクトに入っていなくて、最近徐々に言うようになってきたよね。
岩淵
そうだね。そうなったのは、やっぱり引きこもってた4年間が大きかったのかな。だからこそ言えない気持ちもよく分かるし。私は自己主張ばっかりな人が苦手で、“お前みたいにいられたらどんなに楽か”って思うこともあるけど、自分の意見を言わなきゃ認めてもらえないし、自分も後悔するし。だから、今は自分と向き合えているというか。

身を削ってできた曲というより、岩淵さんの生き様なんですね。

岩淵
極論ですけど、“生きてればなんとかなる”っていう考えに至った経験があるから、もう吹っ切れてるというか(笑)。いかに楽しく、自分が納得のいく一分一秒を過ごすかっていうのが大事なんだって思っていて。そう思える出来事が去年あったし…。

その去年の出来事とは?

岩淵
うーん、いろいろあったな。やり切ったこともあるけど、結構長く付き合った彼氏に振られたりとか(笑)。メンバーが脱退したこともボディーブローだったし。関わってくれる人が変わったタイミングだったんです。でも、今が一番いいとは思ってます。それは、そういう別れに直面しても目を逸らさないようにしようっていう意識があったからかもしれないですね。逃げたら上手くいかないから、受け入れてちゃんと今を見ないといけない。“もう無理!”ってなることもあったけど、それを跳ね返せるくらいの周りのサポートもあったなって。

一瀬さんの性格も岩淵さんと似ているところがあるんですか?

岩淵
めちゃめちゃポジティブだよね。
一瀬
うん、ポジティブなんですよ。何かが起きても“次どうしよう”っていうのをすぐに考えます。バンドはやりたいし、ライヴに来てくれる人たちと一緒にもっと面白いことができたらいいなとか、広いところに行きたいっていう目標や欲望もあるので。常にそこに対してはポジティブに進んでいると思いますね。

『噛む』はどんな出来事も跳ね返すようなパワーがすごくて、それは今のおふたりの性格でもあるんですね。あと、表現のひとつひとつが本当にリアルで、「熱帯夜」はすぐに二日酔いで記憶がない状態なのが分かるのも面白いです。

岩淵
(笑)。起きた瞬間に“頭いてぇ…なんだ、この状況?”っていうのがありました。

そういうユーモアがあるところにもクスッときますし、かと思えば《アタシはつなぎのお役目 そうでしょう?》なんて心を抉られるような表現もあって。

岩淵
“比較せずに私だけを見てくれよ”って思うこともあるけど、一番になれない自分の魅力のなさに悔やんだことがありました。悪いのは向こうなのに自分のせいにしてしまうんですよね。 

そういった恋愛模様が思い浮かんで、切ないラブソングかと思ったら《なんなの!腹立つ!超悔しい!》ってぶっちゃけるところも岩淵さんらしいですよね。

岩淵
だって、比較されるのって腹立ちません?(笑)

腹立つと思いますよ(笑)。そういう言ってほしい言葉が入っててすっきりします。そういう叫びたい気持ちはサウンドにも込められていて。

岩淵
シンプルにバンドが好きだし、バンドマンだから曲でしか表現できない部分があるんだと思います。ライヴが好きだから、ライヴが楽しくなる曲ってどんなんだろうっていうのも考えるし。
MOSHIMO
アルバム『噛む』

OKMusic編集部

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