L→R 須藤憲太郎(Ba)、岸 明平(Gu)、内田直孝(Vo&Gu)、磯村貴宏(Dr)

L→R 須藤憲太郎(Ba)、岸 明平(Gu)、内田直孝(Vo&Gu)、磯村貴宏(Dr)

【Rhythmic Toy World】人生の辛さに
正直に向き合って、“また明日も頑張
ろう”と一歩踏み出す曲

初のフルアルバム『BUFFeT』を経て、約11カ月振りにリリースとなるシングル「輝きだす」は森永製菓『DARS』のCMソング。心も身体も温まる、Rhythmic Toy Worldならではの珠玉の3曲について内田直孝(Vo&Gu)に訊いた。
取材:高良美咲

4月にリリースした前作『BUFFeT』は、初のフルアルバムということでタイトル通りさまざまなRhythmic Toy Worldを詰め込んだ作品でしたが。

『BUFFeT』はタイトル通り、より取り見取りな作品になったと思いますね。ジャンルにとらわれず、それでいてRhythmic Toy Worldであるという難題への挑戦は、確実に僕らを成長させてくれました。この作品で特に力を入れたのは歌詞で、これまでの楽曲でももちろんそうだったのですが、たくさんの声をいただく中で、自分たちに求められているもののひとつが“絶対的な勇気につながる言葉”ってことに気付いたんです。そんな思いが通じたのか、ライヴでは一緒に歌ってくれる人も増えて、もちろん以前よりも熱気も上がっていましたが、何よりもフロアーからの歌がステージまで届いてくるパワーがものすごく上がりましたね。

9月26日には渋谷CLUB QUATTROでツアーのファイナルを行ないましたね。

14曲入りということもあり、全ての会場で全ての曲を演奏することはできなかったのですが…過去曲を織り交ぜながらのセットリストにすることで、お客さんへの曲のテーマの提示が容易だった印象があります。“この曲の次にくるってことは遊んじゃっていい曲なんだ!”とか。もちろん、その逆もしかりで。激しいライヴチューンが目立つ中、メッセージを入れることでよりライヴ感が増して、フロアーとの心の共有ができました。“楽しいことも悲しいことも、一緒に経験していこう”っていう空気感。お客さんは僕らからいろんなものをもらってるって言ってくれるんですけど、僕らだってお客さんからたくさんのものをもらってるんです。だから、この先もずっとお互い様な関係でいたいなって思いました。ツアーを通して出たひとつの答えがそれでした。

単純にライヴの会場が大きくなるだけではなく、毎回さらなるスケールが期待できる、ライヴパフォーマンスの進化も感じます。

自分たち的には、常に目の前のキャパシティーに幸せを感じていますね。もちろん会場が少しずつ大きくなっていっていることは自信につながってはいるんですが、それに伴って日常的に感じることや気になることが変化したのも事実です。変化というか、広域化したというほうが近いかもしれません。どんな些細な事象にもアンテナを張り巡らせることでインスピレーションにつながりますし。“今日は今日しかない”なんて月並みな言葉でしか表現できませんが、本当にその通りだなと思うので、今日しか感じられない、今日しか書けないメロディーや言葉をできるだけ紡いであげたいとより強く思うようになりました。あと、制作環境の変化もあったので、今までと同じ視点は失わないようにっていうのは念頭にありました。

12月9日にリリースとなった「輝きだす」は、Rhythmic Toy Worldらしい応援歌で、森永製菓『DARS』のCMにも起用されていますが、いつ頃できた楽曲ですか?

確か8月の後半でした。7月に誕生日を迎えて気合い十分なメンタルに加えて、今年は憧れていた夏フェスにも出させていただいたこともあり、自分の中に今までにはない感情や思いがあることはなんとなく感じてました。それを弾けさせるきっかけが今回のタイアップだったんです。絵コンテを先にいただいていたので、実際に似たような状況の場所に出向いて人間観察をしたり、何も考えずベンチに座って本を読んでみたり、雑音に耳を傾けてみたりして、メロディーや歌詞のイメージを膨らませていきました。そんなことをしてる間に日が暮れて“この夕焼けに似合うような歌にしたいな”って思ったんですよね。そう思ってからメロディーが出てくるまではわりとすぐでした。

MVでも印象的だった“笑顔”をキーワードに、大人になったからこそ分かった思い、最終的には歩んでいく決意を示した楽曲になりましたね。

MVが完成してから多方面から口を揃えて言われたことは、“笑顔が半端ない”という感想でしたね。もちろん褒め言葉として言ってくださっているのですが、自分たちもこんなに自然に笑えてるのにはビックリしました。監督やキャストのみなさんと作り上げた1日がとても楽しかったし、みんなが同じベクトルで作品の完成を願っていたからだと感じています。あと、そんな瞬間に感じた言葉にできない想いを言葉にするのってどうしたらいいんだろう?って考えた時に、“言葉にできない思いがあるなら言葉にできないっていう言葉にすればいいんだ”って思ったんですよね。なんか、早口言葉みたいですけど…。僕がこの曲を通して一番伝えたかったことは、“言葉じゃ伝え切れないや、選んだこの道のりは間違っちゃいない。今日も明日も明後日も、自分らしく笑っていられますように”ってことなんですよ。

サウンド面ではどのようなところを意識しましたか?

CMのイメージから、やさしくて温かい曲と思われるかな?と思ったのですが、実際は人生の辛さに正直に向き合いながら、“また明日も頑張ろう”って一歩踏み出せるような、どこか哀愁漂う楽曲にしたかったので、サウンド面では単純に明るくて軽快なものにならないように考えました。AメロとBメロを疾走感のあるどこか切ない雰囲気に仕上げたのは、そういう意図があったからです。

今回CMに起用されたこともあり、今までと違う層にも届いた楽曲だと思うのですが、実際に聴いた方からの反響などはどうですか?

ライヴハウスに来たことのない方からもメッセージをいただいたりしました。さらにはライヴに来てくれたりも。ライヴハウスデビューを僕らに捧げてくれたわけですから、一生守っていきますよね。そりゃ。でも、何よりも田舎の家族が喜んでましたね。実家でもCMが流れるわけですから。音楽番組にも何度か出させていただいてますが、実家じゃ見れないのがほとんどで…。なんせ、三重県なんで。バカにしてるわけじゃないですよ、三重県は僕の誇りですから。

経験や成長を経たことで目線が変わったことはありますか?

正直、あんまり変わってないですね。昔も今も精神年齢は低いし。妙に勘が鋭くてませた考えを持ってたりと、なんか不思議な奴だった気がするので。今もそんな感じで、強いて変わったことと言えば、愛の力を信じるようになったことですかね。

過去最短で出来上がったという「ステレオタイパー」は韻を踏んだ挑発的な歌詞が印象的で、曲間でのかけ声の部分がライヴでも盛り上がりそうだと思いました。

過去最短にして、バンド史上最速のBPMなんですよ。良い意味で、かなりの厄介者だと自負してます。この曲に込めた思いは歌詞とかなりリンクしてるんですが、「輝きだす」をきっかけで僕らを知ってくれた人たちに、“バンドの可能性を1曲で決めちゃ面白くないよ!”ってことも伝えたくて。このバンドはこういう感じの曲調のバンドで~みたいなカテゴライズをされるのが本当に嫌いなんですよね。こればっかりは。そんな奴らに右ストレート決めちゃうぞ!っていう。

「ライブハウス」は7月にMAGIC OF LiFEと回ったチャリティーツアー『真夏のサンタクロース〜GIFT MEN〜』にて会場限定で販売されていた楽曲ですね。

「ライブハウス」は、すでにマストチューンになりかけてますね。会場限定のCDに収録されていたとは思えないほどの拡散力で。何よりGIFT MEN(『真夏のサンタクロース』プロジェクトでのMAGIC OF LiFEとRhythmic Toy Worldの合同バンド)のツアーでは、みんながその日に初めて聴くわけですから。それなのに曲が終わりに近付くにつれて曲の趣旨を受け取ってくれて、最後には笑顔で手をあげてる光景が目の前に広がっているという。たまらんかったです。

今作に収録した理由は?

その後のワンマンツアーでも欠かさずやってましたし、何よりも歌詞の内容やテーマがドンピシャだったのかもしれないです。一緒に歌って、手をあげて、笑って、泣いて…数え切れない奇跡がフラッシュバックするような感覚になります。『真夏のサンタクロース』ツアーでも自身のワンマンツアーでも限界なく、これからずっと成長していく曲のような気がして、入れるしかないだろうと。満場一致でした。

出来上がってみて、どのようなシングルになったと思いますか?

シングルは2015年1月に出した両A面シングル「いろはにほへと/ Me:Light」しかないので、今回のようにシングルらしいシングルは初めてでしたが、渾身の出来ですね。3曲全てが主役です。本当に。「輝きだす」はもちろんですが、「ステレオタイパー」「ライヴハウス」の各楽器陣のメロディーに寄り添うフレーズや、歌詞に注目してもらいたいですね。

改めてRhythmic Toy Worldとはどのようなバンドだと感じましたか?

Rhythmic Toy Worldって本当に良いバンドだなって思いました。支えてくれるチームもそうだし、愛してくれるファンのみなさんがいて、本当に幸せなバンドだなって。

今作をリリースして、年明けの1月5日からはゲストを迎えた『俺らに触れたら溶けちゃうぜツアー』が始まりますね。

2016年幕開けてすぐ始まりますから、正月ボケとかも抜け切れてないうちにライヴハウスに行って思いっ切り汗をかいて…最高じゃないですかね? しかも、季節的にも寒いですからね、ライヴハウスに来て、身も心も温かくなりましょう。むしろ、熱くてTシャツ1枚にして差し上げましょう。ツーマンのゲストも、どの会場も凌ぎを削る火花バチバチな相手なんでその攻防も楽しんでもらえればと思います。
「輝きだす」
    • 「輝きだす」
    • STR-1039
    • 2015.12.09
    • 1080円
Rhythmic Toy World プロフィール

リズミックトイワールド:2009年に結成。10年に現在のメンバーが揃い本格的に活動を開始。13年4月に1stミニアルバム『軌道上に不備は無し』を発表すると、そこから怒涛のリリースを続ける。16年にはインディーズながらも森永製菓『DARS』の CM 楽曲に抜擢され大きな反響を巻き起こし、18年にはTV 東京系アニメ『弱虫ペダルGLORY LINE』のオープニングテーマを担当するなど、インディーズバンドとしては類を見ない活動を展開。そして、4月に4thアルバム『SHOT』でメジャーデビューを果たす。Rhythmic Toy World オフィシャルHP

OKMusic編集部

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