【HERE インタビュー】
もっと自分の気持ちをさらけ出して
書くことができると思った
日本でもっともハイテンションなロックバンドを自称するHEREが、最新アルバム『風に吹かれてる場合じゃない』を完成させた。コロナ禍を逞しくサバイブする彼らのリアルと挑戦が詰まった、ハイテンションな最新作に心震わせろ!
恥ずかしくなるくらいのド直球感
2020年はコロナ騒動もあって活動が思い通りいかないことも多かったと思いますが、どうでしたか?
尾形
1月末からクラウドファンディングでアルバム制作資金を集めて、“さぁ、作ろうか!”というタイミングでコロナ自粛になって…。本当は先行シングル「いらっしゃい!」をリリースして、4月に東名阪ワンマンを行なう予定だったんですが、ツアーが延期になってライヴもできない状況で、アルバム制作資金も日に日に減っていって“本当にアルバム制作を進められるのか!?”という状況にまでなりました。
武田
ツアーで売ろうと思っていたグッズもたんまり家に積み上がっていたので、“これは売るしかない!”って命がけで通販やってました(笑)。
そこから配信ライヴに備えて機材を揃えたり、逞しく生き延びたみたいですね。
尾形
そうですね。すぐにスイッチを切り替えました。だから、今年はライヴ活動がなかったのに、めちゃくちゃ働いた印象があります(笑)。
武田
キャリアだけは長いから、いろんなピンチを乗り越えてきた自負もあるし。尾形は行動力があって“とにかくやってみよう!”と失敗を恐れないので、配信もゼロから覚えなきゃいけないのに率先してやってくれて、僕たちも必死で頑張りました。
三橋
バンドのイニシアチブが尾形にあるから、僕らはそれに従って実務的なところや、そこに降りかかる問題解決を協力し合ってヘルプしていきました。
今も大変ですけど、バンドをさらに逞しくしてくれる時期になったのでは?
尾形
そうですね。動画の編集もできるようになったので、「風に吹かれてる場合じゃない」のMVは自分で監督・編集をやったり(笑)。配信ライヴもいくつか経験したんですが、三橋が働いてたライヴハウス(学芸大学MapleHouse)が“何でも使ってくれていいから”と言っていただけたので配信をやろうと思ったら、まだ何も機材がなくて。過去の恩返しもしたいと思って、自分たちで機材を持ち込んで今後の参考にもしてもらいながら配信ライヴをやったり。
ライヴができない日々というところでの心境はどうでした?
尾形
HEREが結成12年になるのですが、2013年に1stアルバム『死ぬくらい大好き愛してるバカみたい』リリースしてからは作品を作ってツアーをするというサイクルで活動してきたんで、それが止まった時“どうなるんだろう?”という気持ちもありつつ、一度止まって俯瞰で見れる時間になったのはプラスでした。気持ち的にやられそうになった時も、うまく切り替えて自分と向き合えたり。
何より、アルバム制作も進めなきゃいけないですしね。
尾形
そうですね。いつもは歌詞もギリギリで、レコーディング直前に仕上げたりしていたんですが、今回は時間があったからじっくり歌詞が書けたし、単純に練習もできたし、時間を無駄にせずに使えました。
“HEREとは何か?”“バンドとは何か?”みたいなことも改めて考えました?
尾形
“HEREとは何か?”というか、これまで作ってきた曲も含めて“より多くの人に届く方法は何だろう?”ってすごく考えました。そこで思ったのは“歌詞の曝け出し感が少ないのかな?”ということで、自分の言葉でもっと気持ちを曝け出して書くことができるんじゃないかと思って書いたのが「風に吹かれてる場合じゃない」なんです。そこで自分の弱い部分も率直に書いたら、今までにない曲になった気がしてます
尾形くんが自粛中に書き上げた新曲たちにメンバーも変化を感じました?
武田
そうですね。尾形はすごいミュージックラバーでいろんなジャンルを聴くし、作品ごとに新しいことができてると思うんですが、「風に吹かれてる場合じゃない」は聴いてて恥ずかしくなるくらい歌詞にド直球感があったし、一緒にバンドをやってきた我々に対するメッセージとか、聴いてくれてる人を勇気づける言葉とかいろんな側面があって、僕も影響を受けたし、“本気でバンドをやっていかなきゃな”と改めて思いました。
三橋
あと、今回は時間がたっぷりあったので、それを自分なりのプレイやサウンド、機材の構築だったりを詰める時間に費やせました。送られてきたデモに対してのサウンドを今まで以上に追求して、いつも以上に一曲一曲を詰め切ることができたと思いますね。