【平岡優也 インタビュー】
桜が舞う季節、
男女の別れと旅立ちの物語
透明感のあるやわらかな歌声、ピアノの弾き語り動画で国内だけではなく、中国など海外でも話題となっている平岡優也。そんな彼が配信リリースした「春舞」(読み:ハルマ)は平岡流の春ソング。昨年TikTokで話題となった同曲を大胆にテンポを上げ、ライヴ映えするアップチューンに仕上げた意図を本人に訊いた。
ライヴを見据えながら、
今は曲を作っている
新曲の「春舞」は昨年にTikTokを通じてサビをピアノの弾き語りで歌った動画をアップしていた曲ですよね? まずは、あの曲と今作との関係について教えてもらえますか?
はい。あの動画をアップした時期はTikTokで“#春の歌うま”というのがトレンドにあがっていたので、自分で春曲を作ってサビだけを投稿したんです。
それが「春舞」が生まれたきっかけ?
そうです。TikTokは短い尺なので、その時はサビだけを作りました。それで終わっていたんですよね。でも、リリースをするにあたって“そう言えば、あの曲良かったよね”という話が出て。“じゃあ、全部書いてみよう”と思い、伝えたい内容もしっかりとまとめて再構築して完成させたんです。
そうだったんですね。タイトルは原曲のままですよね?
はい。この曲を書く時、僕の中で春を代表する一曲にしたかったから“春”とか“桜”というワードは大事だと思いながらも、やっぱり世の中には春の曲なんてものはすでにいっぱいあるじゃないですか。“桜”とかを安易に使って“他のアーティストさんも似たようなのを出しているよね”と言われるようなタイトルにしたくはなかった。それで、“春”が“舞う”で“春舞”とつけたんです。その時にネットで検索しても同じタイトルをつけている人はいなかったので、タイトルはそのまま使いました。
見た目も読みの響きもやわらかくてきれいですよね。“桜”という文字を使っていなくても、桜の花びらが風で舞っている景色が文字だけで浮かんできます。
そこなんですよ! “桜”というワードを使わないで、いかに“桜”を連想させるかは一番考えたところなので。
美しい春ソングのタイトルですよ。
ありがとうございます。これは余談なんですが、僕がリリースをしている自主レーベルの名前が“haru records”なのですが、この“haru”というワードは僕の祖母の名前が“ハル”なので、祖母の名前がレーベル名の由来なんです。
なるほど。春にいろいろ縁があるんですね。おばあ様はレーベル名のことをご存知なんですか?
知らないです。祖母は御年96歳で、僕は4人兄弟ですけど、もう誰が誰だか分かっていないと思うんですよね。コロナ禍になってからは会えていないので…会いたいです。
今回、「春舞」のテンポをグンと上げて、アッパーな曲に仕上げたところは公開していた動画と大きく変わった点だと思うのですが。そこにはどんな狙いがあったんですか?
僕はピアノの弾き語りで歌うのが主な活動なので、これまでは作る曲がどうしてもバラードやスローテンポに寄りがちだったんです。ですが、2022年からは新曲を作るにあたって、ライヴハウスでファンの方に生で曲を届けているシーン、ライヴをやっている時の自分を思い浮かべながら曲を作るようにしていて。この曲はピアノの弾き語りでも、みんながタオルを回して楽しめるようなカッコ良いライヴの雰囲気をイメージしたので、BPMを140にしたんです。
タオル回しソングをイメージして?
そうです。ファンのみなさんもタオルを振りたいだろうと思って。ただ、残念なことに、僕は今までタオルをグッズで作ったことがないので、この曲をきっかけにグッズにタオルを追加することを事務所にアピールしたいです(笑)。
平岡さんのライヴの印象も変わりそう。
ですよねぇ。一体感があって、アクティブに楽しんでいただけるようなライヴを作りたいんです。そんなライヴを見据えながら、今は曲を作っている感じですね。
今までは路上でミディアムやバラードを中心に聴かせてきたけれども、今後ライヴハウスなどでワンマンをやっていくにあたっては、静かに聴くだけではない、躍動感あるライヴを作っていきたいと。その意思表示としての「春舞」のテンポ設定だったわけですね。
はい。おっしゃる通りです。この曲でみなさんに舞ってほしいんですよね。そして、こういう楽曲をバンドスタイルのライヴでやれたらなと思っています。
では、テンポ以外にこの曲を完成させるにあたって意識したところは?
TikTokでサビだけ投稿をしたので、やはり曲はサビ始まりにして、レコーディングの時に頭のブレス音も意識して入れました。
そこは息を多めに含んだ歌唱を得意とする平岡さんならではの歌い出しですよね。
でも、息が多めなのはそこだけで。特にAメロやBメロは軽快なバンドサウンドに歌がう埋もれないように息は少なめで、語尾も伸ばさずに歌うことを心がけました。
バンド以外にピアノはもちろん、ストリングスも入っていますからね。
バイオリンを生音で入れてもらったので、すごく豪華なサウンドになっています。