1月にライヴ会場限定シングル「テレパC」をリリースし、その即売会での圧倒的なライヴパフォーマンスが話題を呼んでいるBAND A。そんな現在の勢いが詰まったフルアルバム『〇か×か』をリリース!
取材:高良美咲
まず、バンドについておうかがいしたいのですが、自分たちから見てBAND Aとはどのようなバンドだと思いますか?
原
ありそうでなかった、あったらいいなをかたちにしたバンドです。
岡
女ギターがひとりいる、福岡出身っぽい素敵なバンドです。
中島
ライヴバンド。人生へのヒントを帯びた楽曲が、心に突き刺さる。
汐碇
やはりライヴバンドですかね。今までライヴを一番の主体として活動してきたので、今作で初めて出会った方々にはぜひライヴにきていただきたいです。
そんなBAND Aは2006年に原さんと岡さんを中心に福岡で結成されたとのことですが、もともとはどんなバンドを目指していたのですか?
原
自分が聴きたいと思う面白くてナイスな曲を作るバンドをやりたくて結成しました。
“BAND A”という名前の由来も気になります。
原
“少年A”“少女A”、という感じで“BAND A”にしました。シンプルかつインパクトがあって自分でも気に入ってます。
2011年に現在のメンバー編成になったとのことですが、そこからは主にどのような活動を行なってきたのでしょうか?
中島
主に地道なライヴ活動。芯は変わらず、刀を打つように力を蓄えてきました。
原
コンスタントに全国でライヴを行ない、CDを作り、CDも全国流通し始め、周りの環境も変わってきて、気持ちも音楽もより多角的になってきたように思います。バンドもさらに動き出すモードに突入してます!
汐碇
福岡にいる時から東京、大阪に行ったりと幅広く活動を行なってきました。今現在もその時のスタンスは変わってなく、全国的にライヴ活動をしております。
もともとの音楽のルーツは、メンバーそれぞれどういったところだったのでしょうか?
原
僕はスピッツが一番好きで、80年代の日本のバンドにも影響を受けました。邦楽洋楽問わずテクノポップやニューウェイブが好きです。
岡
私は、ガレージに影響されています。ガシャガシャしたサウンドが相変わらず好きです。
汐碇
音楽のルーツはGLAY、L'Arc〜en〜Cielですかね。その影響で中学生の頃に楽器を始めました。あと、洋楽だったらRed Hot Chili Peppersに影響を受けてます。
1月にライヴ会場限定でリリースされたシングル「テレパC」ですが、歪んだ楽器の音、キャッチーで面白い歌詞がとても印象的でした。
原
BAND Aらしい、勝負できる曲を作りたくて自分たちの持ち味を余すとこなく詰め込みました。
同シングルの“即売会”としてツアーで各地を回って3月29日にはファイナルを迎えましたが、反響や手応えはいかがでしたか?
汐碇
反響はすごくあったと思います!! ツアー中のライヴではシングルの3曲を順番通りに演奏してまして、それを観たお客さんがCDをその場で買えるというスタイルは、その日のライヴの反応がすぐに分かるのでいろいろと勉強になりました。おかげさまで限定シングルはツアーファイナルで全て完売したので、手応えは十分です!
原
今までで一番、自分たちの強みや弱みをちゃんと知れて、お客さんの反応がCDの売り上げに比例したりして、まさにターニングポイントになるツアーでした。
岡
このツアーで蓄積されてきたものを全て解放することができ、それをみなさんも感じ取っていただけたような気がします。
中島
今までで一番、各地を回ったツアーでした。これは今までBAND Aを好きでいてくれた人への僕らなりの感謝であり、今のBAND Aを改めて提示する場でした。もちろん、自信はあっての会場限定ツアーの敢行ですが、不安はありました。ダメだったらCDが売れないんですから。しかし、終わってみて確かな手応えを得ることができました。枚数というかたちで、そして、今までにないお客さんたちの反応で。
そんな「テレパC」は今改めて振り返って、どのような作品になったと思いますか?
原
3曲とも色が違うし、言いたいことも違うので、それがお客さんに届いて響くという面白い作品だと思います。
汐碇
“今のBAND Aを3曲にまとめたらこうなりました!”という作品ですかね。
中島
最高です。レコーディングが終わった瞬間に感じた確信から変わらず、最高です。
リリース後、何かバンドとしての変化はありましたか?
岡
やっと何かが動き始めるという可能性や予感をメンバーみんな感じていると思います。
汐碇
リリースして、ツアーを18本回ってバンドとしてすごくまとまってきたなと思います。現在バンドの調子的にもすごく良い状態と言い切れるので、この勢いのまま前に進み続けたいです。
中島
バンドとしての結束が強まり、未来への期待が大きくなりました。
そして、今回リリースとなったフルアルバム『〇か×か』なのですが、いつ頃から構想があったのでしょうか?
原
前作のミニアルバム『はじまる』(2012年12月リリース)を出してから、ライヴをして曲を作ってという活動をしていたのですが、去年の夏前に今の事務所が一緒にやろうと言ってくれて。一緒にいろいろ構想を練って、“BAND Aの今の良さを出すにはフルアルバムがいいね”となり、秋前くらいに出すことが決まって動き出したという感じです。
汐碇
思い切って最初は会場限定のシングル、その次にフルアルバムという流れになりました。フルアルバムを作るからには今までのBAND Aの歴史を詰め込んだベストアルバム的なかたちになればと考え、選曲や曲順も考えましたね。
シングル収録曲を含めライヴでも定番の楽曲など計13曲が収録されているのですが、そんな1曲目を飾る「the help me」は原さんと岡さんのふたり体制だった時の決意表明でもあり、《わかっているよ 痛みも伴うよ》と素直な気持ちが書かれていますね。
原
メンバーチェンジがあった時期に、“これからのBAND Aを絶対いい方向に持っていく!”という想いで作りました。悲鳴にも似た叫びを含む、すごく力強い希望の歌です。
「DDD」は《した みぎ ひだり よこななめ》というフレーズが印象的で、岡さんのコーラスパートの部分なども耳に残りました。
原
男女混声の陽気な曲を作りたくて作りました。ドライブで聴きたい曲というテーマもありつつ。
哀愁漂う「ノーマルソング」は、他の楽曲たちと並ぶと振り幅の広さを感じます。ここで描かれているのは2011年に拠点を東京に移した時の福岡への気持ちですが、上京された時の心境はどうでしたか?
岡
ほぼ原くんが作った曲が占める今作の中、これは私が作った曲なので振り幅が広いと感じたのかもしれませんね。上京当時は暇でした。上京と言えど、幾度か来たことも過去にあったので特に心境の変化はなく、“上野動物園には行かないとなぁ”とか東京在住だからこそできることを考えていました。現在との変化は…特にありません。日々やらなくてはいけないことが生まれていて幸せです。
汐碇
上京した時は不安もありましたが、やるしかないという気持ちが強かったですね。現在は周りに手伝ってくれる方も増えてきたので責任感が増えた気がします(笑)。
中島
不安はなく、希望しかありませんでした。進む方向は明確になり、より確信を強めています。
原
上京直後も、時間が経った今でもギラギラしています。毎日刺激的です。実家が遠いこと以外は問題ないですね(笑)。
「嬉しい悲鳴」「あーだこーだ」は日常的でありながらどこか比喩的に書かれていたり、「季節を、アイス」は“14月”“18月”という癖のある言葉の表現が面白かったです。BAND Aならではの歌詞について、こだわりなどがあれば教えてください。
原
分かりやすく、でも、他とは違う角度から表現するというのを心掛けてます。というか、自然とそうなってしまうのかも。癖があるくらいがちょうどいいと思ってます。性格ですね(笑)。
岡
「あーだこーだ」は私が作った曲で、私の場合は必要以上に難しい言葉は使わないでいようという心掛けはあります。
バンド結成時に作られたという「ソニックブーム」は、印象的なベースライン、跳ねるようなギターリフ、曲間に入っている掛け声などライヴでの光景が想像できるような楽曲した。
原
“ソニックブーム”って『ストリートファイターII』のガイルというキャラの必殺技なんですけど、そんな必殺技的な勢いの曲を作ろうと取り掛かりました。
「夏のお嬢さん」はギターをはじめ、ひと昔前を感じさせるようなバンドサウンドで、タイトルからも懐かしさを感じました。曲中には、アルバムのタイトルでもある“○か×か”というフレーズも出てきますね。
原
僕、昭和のアイドルの曲が好きなんですけど、タイトルとかモロですし(笑)。懐かしさは意識してます。タイトルはここから取ったというか…歌詞を見直していて一番目に付いた言葉が“○か×か”だったので、それをアルバムタイトルにしました。ただ、アルバムのタイトルに込めた想いは少し違って、“BAND Aの全てと期待を込めたアルバムになったので勝負! 勝つぞ!”という想いを込めて“○か×か”にしました。白黒はっきりさせようと。
そんな今作の最後を締め括る「退屈」はライヴ会場限定シングル「テレパC」にも収録されていますが、叫びにも近い歌が印象的でした。
原
これは実はテクノポップを作りたくて作ってたんですけど(笑)、“退屈!”と叫ぶテンションに徐々になっていったので気付いたらアッパーな曲になりました。
他にも若干気怠さを含んだような「sad my sunday」から、勢いにあふれた「チュッチューン」まで多彩な楽曲が詰まった作品ですが、出来上がってみてどのような一枚になったと思いますか?
原
バラエティーに富んだ、面白くてクセになる現段階のベスト的作品になりました。
岡
BAND Aの長所である楽曲のバリエーションを感じていただくには十分な一枚になったのではないかと思います。
汐碇
おもちゃ箱を一気にひっくり返したような作品ですかね。自分で言うのもあれですが何度リピートしても飽きないフルアルバムです。
中島
1曲目から通して飽きずに聴けます。間違いなく、最高傑作です。いつの時代に聴いても愛されるでしょう。
中でも思い入れのある楽曲はありますか?
汐碇
個人的には、5曲目の「季節を、アイス」です。初めにデモの段階でビビッときました!!! 歌詞の季節感もいいし、サビの盛り上がりが演奏してて気持ち良いし。
原
「季節を、アイス」はアルバムを作ろうと決まってからできた曲で、こういう“静かな嵐”みたいな曲をずっと書きたくてレコーディングに間に合わせました。今までになかったタイプの曲なのでアルバムのキーになるのでは?と思っています。
岡
「ノーマルソング」です。この曲ができた時、ごく普通の曲ができてしまった!と若干後悔し、メンバーにデモを聴かせるのをとても躊躇した記憶があります。焼肉屋でそのデモを初めて聴かせた時のドキドキは今でも覚えています。
中島
どれかひとつは選べませんでした。全て思い入れがあります。
特に注目してほしいところはありますか?
汐碇
絶妙なバランスの曲順!! ぜひ大きな音で何度も聴いていただきたいです。
作り終えて、何か発見できたことや、どのような実感がありましたか?
原
自分たちの可能性です。次の作品ではこのアルバムを軽々と越えます。
岡
やっぱりまだまだ未熟だなという、いい意味での再認識ですかね。
中島
たくさんありますが、一番は音楽への情熱が強まったことです。
汐碇
このひとつの作品にたくさんの方々が携わっていただいていて、その人たちに本当に感謝しないといけないなと思いました。バンドにとってリリースできることは本当に幸せなことなので、この気持ちを忘れないように今後も活動していきたいですね。
そんな今作『〇か×か』を引っ提げて、6月6日の大阪fandangoから7月11日のTSUTAYA O-nestワンマンまでレコ発ツアーを行ないますが、意気込みなどあればお願いします。
原
ライヴバンドなので、ぜひライヴを観にきてほしいです。僕らの音楽をキャッチしてほしいです。
汐碇
アルバムを聴いて少しでも気になったらぜひライヴにきていただきたいです! 必ず良いライヴにしますよ!!
岡
月並みですが、BAND Aはまだまだ進化すると思います。その過程をみなさんに目撃していただきたいと本当に思っています。
楽しみにしています。最後に、ひと言お願いします。
原
“○か×か”、絶対“○”なので、みなさんBAND Aに巻き込まれてください。
岡
CD買ってようが買ってまいが、ライヴを観にきてください。絶対ライヴを観てください。生を観ることであなたなりの正しい判断できるはずです。
汐碇
ひとりでも多くの人にこの作品が届けばいいなと思います。
中島
聴いてくれて本当にありがとう。これからもよろしくお願いします。
- 『○か×か』
- PRM-014
- 2014.04.09
- 2315円
バンド エー:2006年、福岡にて原と岡を中心に結成。幾度かのメンバーチェンジを行い、11年に現在の体制になる。12年1月に上京後、数々のイベントに出演するなど、活躍の場を広げ続けている。公式サイト(アーティスト)