LUNA SEAが創る
サウンドの臨界点の、
さらなる先を顕した大傑作『STYLE』

『STYLE』('95)/LUNA SEA

『STYLE』('95)/LUNA SEA

当サイトでもライヴレポートを掲載した通り、アルバム『MOTHER』と『STYLE』を再現するライヴ『LUNA SEA DUAL ARENA TOUR 2023』を10月にスタートさせたLUNA SEA。11月29日、その『MOTHER』と『STYLE』のフルリテイクのセルフカバーアルバムがいよいよリリースされた。ともに1990年代邦楽ロックの名盤中の名盤であり、いわゆるビジュアル系バンドはもちろんのこと、のちのギターロックやパンク、J-ROCKにも影響を与えた作品。もしいずれかのアルバムがなかったとしたら、日本の音楽シーンは今とは形を変えていたに違いない。LUNA SEAの名盤は2015年に『MOTHER』を紹介しているので、今週は『STYLE』をピックアップする。
■『LUNA SEA DUAL ARENA TOUR 2023
MOTHER OF LOVE, MOTHER OF HATE』
2023年10月7日 at Kアリーナ横浜
https://okmusic.jp/news/536203/
■5人で作り上げるLUNA SEAの音世界、
その臨界点を示したアルバム『MOTHER』
https://okmusic.jp/news/77612/

快進撃中に発表された決定打的作品

本作『STYLE』は1992年のメジャーデビューから2000年の終幕に至るまで──言わば20世紀のLUNA SEAが、最も乗りに乗っていた時期のアルバムであったことがひとつ言えると思う。1993年8月には初の単独武道館公演を行ない、翌1994年9月にリリースした4thシングル「TRUE BLUE」はチャート初登場1位となっており、『STYLE』以前からすでにブレイクを果たしていたのは間違いない。同年10月リリースの4thアルバム『MOTHER』もチャート初登場2位で、約70万枚の売り上げを記録した。しかしながら、LUNA SEAの天辺はまだ先にあった。1994年12月には追加公演を含めて日本武道館で3デイズのライヴを決行し、翌1995年3月17日からスタートした全国27か所31公演に及ぶ『LUNA SEA CONCERT TOUR 1995 MOTHER OF LOVE, MOTHER OF HATE』も大成功のうちに終了。そののち、同年5月リリースのビデオクリップ集『ECLIPSE』が初登場1位となり、映像作品でもトップを獲得する。続く11月リリースの6thシングル「DESIRE」も当たり前のように初登場1位となった。そして、何と言っても、この1994年で忘れられないのは、12月23日に開催された初の東京ドームライヴ『LUNATIC TOKYO』である。チケットは即日SOLD OUTし、留まるところを知らないLUNA SEA人気を実感させられた。翌1995年3月に発売した7thシングル「END OF SORROW」も、もはやこの頃は定位置だったと言ってもいい初登場1位であった。快進撃がまったく止まらない中、満を持して同年4月に発表されたのが5th『STYLE』である。こちらも当然チャート初登場第1位。貫禄を見せつけた格好だった。

ちなみにその後も勢いは衰えることなく、同年7月リリースのライヴビデオ『LUNATIC TOKYO〜1995・12・23 TOKYO DOME〜』が初登場第1位で、8thシングル「IN SILENCE」は初登場第2位を記録(ここまで1位を続けてきたので、2位というと意外な気もするが、アルバム収録曲のシングルカットなので、この結果は相当に立派なものだ)。さらに、7月16日の横浜アリーナ2日間公演を皮切りに、全国9カ所16公演の全国アリーナツアー『LUNA SEA CONCERT TOUR 1996 UN ENDING STYLE』を決行し、間髪開けず、10月22日からは全国28カ所28公演の全国ホールツアー『UN ENDING STYLE ENCORE TOUR 1996 〜TO RISE』で日本国内を駆け巡った。

その後は、リアルタイムで当時のLUNA SEAを見ていたファンにとってはよくご存じの通り、12月の『UN ENDING STYLE TOUR FINAL Christmas STADIUM〜真冬の野外〜 in 横浜スタジアム』を終えて、1年間の充電期間に入る。充電の理由は、[Jによれば、7月からの全国ツアーが始まる頃に、メンバーでの話し合いが持たれ、「次のビジョンへ行くためには、一人ひとりのメンバーが力を付けて、新しいルナシーを作らなければダメ」であり、1997年を「みんなの自主トレーニングの期間にあてよう」という結論に至った]ということではあるが、こうしてLUNA SEAの歴史を振り返ってみると、個人的には“そりゃあ充電も止むなしだろう”とは思う([]はWikipediaからの引用)。1992年のメジャー以降、LUNA SEAはその活動のスピードを緩めることなく、突っ走ってきた。1994年頃からはギアがトップに入り、少なくともバンド勢の中には、その勢いに並ぶものはいなかったと言っても良かろう。“次のビジョン”“自主トレ”に充てたというのはそれはそうだったのだろうが、まずはひと息つくことも必要だったのだろうと、一般人としては邪推するところだ。

OKMusic編集部

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