フラワーカンパニーズは
なぜ消えなかったのか?
そのバンドのすごさを
『世田谷夜明け前』から探る

『世田谷夜明け前』(’04)/フラワーカンパニーズ

『世田谷夜明け前』(’04)/フラワーカンパニーズ

9月4日に通算17枚目のアルバム『50×4』したフラワーカンパニーズが、11月16日のHEAVEN’S ROCK 熊谷 VJ-1を皮切りに結成30周年を記念のワンマンツアー第二弾である『50×5』をスタートさせる。というわけで、今週はフラカンの名盤を紹介。どれにしようか随分と迷った結果、名曲「深夜高速」が収録されたオリジナルアルバム『世田谷夜明け前』をチョイスして、いつも以上に徒然なるままに作品の感想を書いてみた。

奇跡的なフラカンの軌跡

メンバーチェンジなし!活動休止なし!ヒット曲なし!──。これはフラワーカンパニーズ(以下フラカン)のヒストリー本『消えぞこない』のサブタイトルの一部(正式な書籍名は『消えぞこない:メンバーチェンジなし!活動休止なし!ヒット曲なし!のバンドが結成26年で日本武道館ワンマンライヴにたどりつく話』)。確か鈴木圭介(Vo)もこの台詞をライヴで叫んでいたような記憶もあるが、MCから書籍タイトルを取ったのか、書籍のサブタイトルをライヴで引用したのか分からないけれども、この台詞はある時期からの彼らを端的に表したものだと言っていい。

フラカンは1989年、地元の同級生同士であった鈴木圭介、グレートマエカワ(Ba)、竹安堅一(Gu)、ミスター小西(Dr)の4人で結成された。1995年にメジャーデビューするも、2001年にはメジャーを離れてインディーズで活動。[“自らライヴを届けに行く事”をモットーに活動、大型フェスから小さなライヴハウスまで日本全国津々浦々…メンバー自ら機材車に乗り込み、年間で100本を超える怒涛のライヴを展開]した([]はフラワーカンパニーズのオフィシャルサイトより抜粋)。2008年に再びメジャーへ復活し、2015年には自身初の日本武道館公演を成功させている。2017年に自らのレーベル“チキン・スキン・レコード”を設立し、再びメジャーを離れてインディーズで活動を開始。現在に至っている。この間、メンバーは上記4人のままだし、解散や活動休止とも無縁である。多くのアーティストが「深夜高速」だけをカバーしたコンピレーションアルバム『深夜高速 -生きててよかったの集い-』(2009年)発売当時、一部で公にフラカン支持を訴える人(なぜか芸人が多い)が増えたような印象はあったものの、だからと言って、その「深夜高速」にしても巷の人が知るようなナンバーではないだろう。誰もが知るヒット曲とも今のところ無縁である。文字通り、メンバーチェンジなし!活動休止なし!ヒット曲なし!…なバンドなのである。

今年で結成30年間。この間メンバーチェンジなし…というのは、それはそれですごいことは間違いないが、他に例がないわけじゃない。今メジャーで活動している人たちにもそこそこいるし、アンダーグラウンドなら結構いると思う。もちろん30年間、一度も活動休止していないのはそうそうあることではないし、これもすごいことではあるけれども、最もフラカンのすごい点は、ヒット曲なしで30年間、一度も休止することなく、しかもメンバーチェンジもなく活動を続けていることであろう。つまり、メンバーチェンジなし!活動休止なし!ヒット曲なし!…が三暗刻よろしく揃ったことが何よりのすごさである。とりわけヒット曲がないことは特筆すべきだと思う。

ヒット曲に恵まれないことがメジャーで活動を続けられないこととほぼ同義であるのは、説明するまでもなかろう。華々しくデビューを果たしたバンドの名前が気付くといつしか耳にしなくなっていて…なんてことは今も昔もある話だが、そうした事例が起きるのは概ねヒット曲がないことに起因する。シングルヒットはなくとも、アルバムのセールスが好調となれば話は別で、そういうバンドも少なくないけれど、フラカンの場合、“ヒット曲なし”を凌駕するほどにアルバムのセールスが著しかったかと言えば──彼らがアルバムアーティストであることは間違いないけれども、目を引くほどに売り上げたアルバムがあったかと訊かれたら正直言って答えに窮する(実はフラカンのセールスに関する正確な数字を入手できていないのだけど、それほど間違った物言いでもなかろう)。それでいて、1989年の結成以来、インディーズ→メジャー→インディーズ→メジャー→インディーズとフィールドを変えつつ、休むことなく活動し続けているのだから、フラカンが他に類を見ないバンドであることは間違いない。ほとんど奇跡的な軌跡と言っても差し支えないかもしれない。

OKMusic編集部

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