OLDCODEX Painter YORKE.
『WHY I PAINT
~なぜボクがえをかくのか~』
- 第104回 -
こんな感じで軽い始まりにしちゃったけど、
ここでは数ヶ月ぶりだね。
君はどうしてた?
こっちはいろいろあったよ。
人生いろいろだね。
ぼくがなぜえをかくのか
ずっとこのテーマに向き合ってた。
なかなかここで何を描いて何を伝えればいいのか
全然上手く出来なくなってしまってた。
それでもスタッフが諦めずに
何度も何度も連絡をくれて
このコラムを待っててくれたんだ。
本当に感謝してるよ。
そしてようやく。
今日ここに一枚の絵と言葉を
置いていくことにしたよ。

いま僕は車の外で煙草に火をつけながら
片手でiPhoneのメモにこれを打ち込んでる。
さっきまでいたまん丸な月が
いつの間にか見えなくなって
鳥が鳴いてる。
すっかり明け方だ。
言いたいことや伝えたいことが
よく分かんなくなっちゃって
それくらい頭が真っ白になったりしてた。
始まりは終わりだって
あの日に知っていたから
きっとメロディに乗せて言葉を繋げたりしたのかなあ。
もう聞けなくなっちゃった歌があるけど
新しい歌を作ったから届けたいな。
また真っ白に塗りつぶした世界から
自分なりに歩き始めようと決めたんだ。
僕がバスに揺られてノートにペンを走らせて
破ったページが風に乗って
世界中のどっかで誰かが雨の中で
そのページを拾い上げた。
部屋に画鋲で飾ったりして。
これを描いたヤツはいったい何を想って
何を伝えたいんだろう?
そう考えてから部屋を出る。
疲れて部屋に着いたら、
あの日のラクガキが優しくなってる。

君が笑ってるといいなと思う。
もしそうじゃなかったら
時間をかけて作った物を塗りつぶしたりする
子どもみたいな僕を見て欲しいな。
ほら。変わらないものって安心したりするから。
それで君が好きな曲でも聴いて
この自由な世界に自由に色を乗せてよ。
その間に1979から始まった僕はまたひとつ歳を重ねてるから。
さあ、今日も新しい1日が始まりだ。
YORKE.
April, 2022
※連載『WHY I PAINT ~なぜボクがえをかくのか~』は、次回で最終回となります。
