“なう”を連呼するそらる×ろん、
“妄想税”を描いたEveの楽曲など
平成を描く歌ってみた・ボカロのMV

4月1日に新元号が発表され、5月1日からは令和の時代がやってきます! 今回は令和を迎える前にもう一度平成を懐かしむ気持ちで、平成で流行った“歌ってみた”と“ボカロ”のMVをピックアップしてみました。この時代ならではフレーズやシチュエーションもあり、特に平成生まれの方は思い当たる節があるかも?

「妄想税 歌ってみた【Eve】」('14)
/Eve

2014年4月1日に消費税が5パーセントから8パーセントへ増税されたことを受けて、“払ってもいいと思える税金”=“妄想税”というテーマのもと公開されたこちらは、DECO*27(デコ・ニーナ)による作品。MVでは胡乱な顔つきをした初音ミクが、国民に《妄想税を収めてくれさえすれば、貴方の‟叶えたい”を現実にできますよ。》と人々を誘い、欲に目が眩んだ人々は用心せずに彼女に妄想税を払ってしまう。が、現実問題、人生にはそんな上手い話はないと悟るように、ストーリーは急展開を迎えることに!

「バレリーコ/みきとP歌唱版  
Balleriko/MikitoP Ver.」('15)
/みきとP/mikitoP

まず、最初にドンと出てくる“平成26年度”と書かれた愛島高等学校(愛島はみきとPのアーティスト名)の通知表。その通知表をテンプレートに歌詞が表示されていくアニメーションになっている。全校男子の視線を釘付けにするほどの一見純情そうに見えるトウーシューズを履いた美しい女子高校生は、その見た目とは違い、実は不純だったという設定。《トウーシューズぬいだ素足の歪な叫び》と歌うカットには彼女の本心の訴えが表れていて、美しく着飾っているけれど幸せではない彼女に対し“トウーシューズよりも上履きのほうが似合っている”とメッセージを送っているよう。

「可愛くなりたい」('17)
/HoneyWorks feat.鎖那

2010年からニコニコ動画などを中心にボカロオリジナル曲を発表しているクリエイターユニット・HoneyWorksが手掛ける『告白実行委員会』シリーズの作品。主人公の読者モデル・成海聖奈はいたって普通の女子だが、恋心を寄せる濱中 翠に意識されたいがため、メイクをはじめとしたお洒落に取り組んでいく。2番のAメロでは、InstagramやTwitterの画面が登場するという、SNSの黎明期と言える平成を象徴したひとコマも。都会の街頭ビジョンや広告、雑誌などが聖奈で埋まるようになっていくことで、翠の目に彼女が止まるのもそう遠くない?

「リンちゃんなう!」('12)
/そらる×ろん

コミック・小説化もされた同曲は、ボカロP・オワタPが鏡音リン&鏡音レンの誕生を祝して彼らの誕生日である2012年12月27日に公開したもの。タイトルにある今を表す言葉=“なう”は、2012年に『ユーキャン新語・流行語大賞』のトップ10に選ばれるほどの隆盛ぶりだった。MVではボーカロイド・初音ミクと巡音ルカそれぞれがりんちゃんと居合わせている中でりんちゃんを巡った妄想劇を繰り広げ、サビ以外は基本呟き、サビでは“りんちゃんなう!”を連呼することで、まさに口ずさみたくなる中毒性がある。時たま出てくる顔文字が流行り出したのも平成らしい。

TEXT:小町碧音

OKMusic編集部

全ての音楽情報がここに、ファンから評論家まで、誰もが「アーティスト」、「音楽」がもつ可能性を最大限に発信できる音楽情報メディアです。

新着