気になるワードでディグる! 〇〇なMV

気になるワードでディグる! 〇〇なMV

楽曲の中毒性が見事に表現された
ORANGE RANGEや
話題になった水カンの「桃太郎」など
頭から離れないアニメMV

忘れられない映画のシーンや心に残る楽曲など、ずっと記憶にあるものは人それぞれにたくさんあると思いますが、今回ご紹介するのはそれとはちょっと違う“頭から離れないアニメMV”。一度観てしまったら忘れることができない、しばらく頭の中をループしてしまう中毒性の高いMVを5本集めました!

「はたらきたくない」(’18)
/打首獄門同好会

“生活密着型ラウドロック”を掲げる打首獄門同好会ならではの脱力系ユーモアが癖になるMV! ゲーム『WORK×WORK』のテーマソングとして、労働意欲がないダメバイトの主人公・ポチ夫の“はたらきたくない”気持ちを重厚なサウンドで表現した楽曲だけでも心が掴まれるだろう。歌詞に合せたポチ夫の動きや、サビでキャラクターが行進する派手なシーンなど、アニメーションならではの素朴な映像が楽曲の面白さをさらに盛り上げている。寝転んだりうつ伏せになっていたポチ夫がしっかり立っている最後のシーンでは、大サビの《でもはたらいたよね》がより染み入る…。“はたらきたくない”気持ちになった時にこの曲が頭で流れてくると同時に、一度観たら必ずサビの“あの画”が浮かんでくること間違いなし。寒くなってきたこの時期には「布団の中から出たくない」もおすすめ!
■「布団の中から出たくない」MV
https://youtu.be/s4DxPeLNVuw

「あなたもロボットになれる
feat. かもめ児童合唱団」(’14)
/坂本慎太郎

ゆらゆら帝国のギターヴォーカルとして活動していた坂本慎太郎による「あなたもロボットになれる」は“頭から離れないMV”を紹介する上で絶対に外せない! 《眉間に小さなチップを埋めるだけ》から始まるぶっ飛んだ歌詞はもちろん、それをかもめ児童合唱団が歌っているのだから狂気性もひとしお。“人間がロボットになることで不安や虚無から解放される”という発想と坂本がアクリル絵の具で描いた絵もちょっと不気味で、自信初のカラーアニメ作品にしてかなり強烈な仕上がりだ。また、伴奏シーンでは楽園っぽいサウンドを奏でるスティールギターを弾く坂本の姿も。歌詞内で人間のロボット化を賛成している日本人が2割から5割に増えているのもリアルで、“いつかそんな時代が来るのでは…”といろいろな想像が脳内を駆け巡る。

「THERAPY」(’10)/group_inou

imai(TRACK)とcp(MC)からなるユニットgroup_inouとCGアニメーション制作チーム“AC部”による、今回紹介する中でもっとも謎めいた作品。バラバラな画のタッチでプロレス、サモエド、ユリ・ゲラーとここで初めて交わるようなシーンが羅列し、唐突な心理テストやテレフォンショッピングなどのパロディーも盛り込みながらピコピコとエレクトロサウンドが打ち込まれていく…。説明するだけでもこんがらがるが、映像はもっとしっちゃかめっちゃか! group_inou のMVでお馴染みのキャラクター“イルカのイルカくん”が登場する場面で漠然と“自宅で簡単イルカセラピーって何?”と歌詞への疑問も浮かびつつ、最後の伏線回収的なシーンにはちょっと納得してしまうのも一本取られた感があってにくい。ラストに向かってテンポアップしていく楽曲につられ、どんどんのめり込んでしまうコミカルかつ奇妙な一本。

「SUSHI食べたい feat. ソイソース」
(’15)/ORANGE RANGE

続いてこちらも“AC部”による映像作品。《SUSHI食べたい》とループする楽曲ながら《会いたい今夜》などの心情が節々に隠されたナンバーで、MVもちょっぴりラブストーリー仕立て。女性が夜中に家を飛び出して向かう寿司屋からイケメン寿司職人が登場したり、浮かない表情で鏡に映る自分を見つめたりと叙情的なカットも少し入れつつ、最後は漁師で締め括られるというやっぱり謎なフィナーレ。観ている人の思考などお構いなしの展開や、アンバランスなイラスト、どことなく漂うチープ感など節々にある違和感こそが“下手うま”と称される“AC部”の魅力のようにも感じる。しかも、その違和感が楽曲の中毒性にしっかりマッチしているのがリピートしてしまう理由なのだろう。自由奔放な音楽を生み出すORANGE RANGEのマニアックな部分を見事映像でも表現し切っているのがすごい!

「桃太郎」(’14)
/水曜日のカンパネラ

“昔話『桃太郎』を水曜日のカンパネラが解釈したら…”という展開で制作され、“桃太郎”をそのままタイトルに持ってきたことや“引きこもりの太郎少年がひょんなことから鬼退治に行く”という独特な切り出しなどが話題となった。この曲が広まった理由には、楽曲のストーリーにぴったりはめ込んだ、このMVも大きな役割を果たしているだろう。だらしない生活を送る桃太郎に鬼ヶ島へ行くようにと告げたおばあさんが実は鬼と仲良くやっていたり、戦力外通告していたはずのキジが桃太郎を奮い立たせたりと、複雑な人間関係が交差するMVを観ると楽曲の中での“桃太郎”はどこにでもいる現代人のことを指しているように感じる。サビのフレーズ《きびきびだーん》や、きびだんごのレシピが出てくる場面など画的にインパクトのあるシーンも多いが、ドラマを観ているかのような人間臭い展開と、鬼ヶ島へ向かう桃太郎が見せる怠けてた自分を倒しに行くような表情にも注目!

TEXT:千々和香苗

OKMusic編集部

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