【ギルガメッシュ】バンドが成長して
るなって実感がある
ギルガメッシュをかたどるもの全てに自分たちの神経を通わせてきた2010年。彼らにとって濃厚な一年になったことは間違いなく、最新アルバム『GO』を聴けば一目瞭然である。変革を迎える彼らに本作を語ってもらう!
取材:ジャガー
一歩先、二歩先が見える曲が必要だなと
感じた
最新アルバム『GO』は、バンドの勢いをそのまま詰め込んだ内容ですよね。度々、“思い描く景色が変わってきた”と連載のインタビューでもおっしゃっていた通り、光に向かっていく力強さを感じました。
愁
たぶん、今までで一番みんなの思い入れが強くなったアルバムなんじゃないですかね。歌詞のメッセージ性とか、左迅くんの主張も強いと思うし。曲も歌詞も内側に向いてた小さな光だったのが、外に強く放つようになったんで。
左迅
アルバムを4枚出して、歌詞の書き方というか、印象を変えたくて。全ての曲に“君”って言葉が出てくるんですけど、ひとりの人に対して言ってることもあれば、不特定多数に向かって言ってること、ファンのみんなに対して…そこにはいろんな意味があって。曲がすごくバラエティーに富んでるので、いろんなところに自分の視線を向けたくなったんです。
歌詞や曲に広がりが生まれたきっかけみたいなものはあったのですか?
Яyo
先輩たちの影響もあるし、毎年出る『JACK IN THE BOX』で観るライヴの景色っていうのもあるだろうなぁ。昔は、Zepp Tokyoや日本武道館に到達したいなぁって目標があったんですけど、もっと上になっちゃって。分かりやすく言うと、東京ドーム以上。あと、テレビで曲がよく流れてるとか。そういうのを考えるようになったから光を求めてるんじゃないですかね。
結成時から考えると、バンドの変化に驚くことも多いですよね。でも、違和感なく本作を聴けた時に、ちゃんと一本筋は通っているなと。
愁
無理して光を放ちたかったわけではなく、出したいから出した。ダークな一面を打ち出してた暗黒時代がなければ出せなかったとも思うんですよ。
弐
最近、「volcano」(2007年発売のDVDシングル)のPV観たんだけど、左迅は《死ね》って言ってるからな。あれはあの時のカッコ良さがあるけど。
左迅
確かに『GO』から遡ってもらうと、どんどん濃くなっていきますね(笑)。
Яyo
思春期だったんだよ。でも、自分としてはアプローチの仕方が違うだけで、やっぱどれを聴いてもギルガメッシュなんですよね。
愁
昔の俺が今のギルガメッシュを見たら、悔しがりますよ。“なんだよ、あいつカッコ悪いな”って非難はするかもしれないけど、本音はすごく悔しいっていう。そのぐらいバンドが成長してるなって実感があるし、良い流れで『GO』ができたと思います。
では、本作に取り掛かる上で最初に考えたことは何でしたか?
Яyo
ぶっちゃけ、何も考えてなくて。いつもだったらテーマに沿って作っていくんですけど、そういうテーマも取っ払って、今、本当に自分たちがやりたいもの…“カッコ良い”とか“良い曲だな”って感じたものをどんどん作っていけばいいんじゃないかなって。
縛りがないおかげで、これだけバラエティーに富んだ内容になったわけですね。これまで以上に楽曲ひとつひとつと柔軟に接することができたのではないですか?
Яyo
そうですね。初期段階で上がったデモの曲数も多いし。そこからみんなで選んでいって。テーマがない分、アルバム全体としての内容がとっ散らかるかなと思ったんですけど、そういうこともなく。みんな見てるところは一緒でした。
個々におうかがいしたいのですが、アルバムに収録する楽曲を選ぶ際の自分の中での基準ってあったりします?
Яyo
僕は監督的な立場にいるので、もっと世界観を広げてくれるような曲を選んでますね。音色の入り具合だったり、コードの進行や展開とかのバランスを気にしながら。
愁
2010年の目まぐるしく忙しかった日々はちゃんとかたちとして残しておきたいなっていうのはありましたね。この一年やってきたことを意味があるものにしたかったというか。それでいて、やって楽しそうな曲ですかね。あとはメロディーが残るかどうか。あえてメロディーが残りにくいものを選ぶ時もあるんですけど、その時はリフがカッコ良かったり…何かひとつでも取っ掛かりがあれば、あとはメンバーで広げていけるんで。とにかくライヴで楽しめるものかな。
左迅さんの場合、“ビビッと来た時=歌詞が浮かんだ時”ということですか?
左迅
あぁー、今回ほとんどの歌詞がそうかもしれませんね。曲聴いただけで歌詞が思い浮かぶような感じだったので、書きやすかったです。
弐さんはいかがですか?
弐
なんかちょっとやってみようかなっていう、“おっ!”と思えた曲を重点的に俺は選びましたね。楽しくないと嫌な人なんで。現段階の俺の全部を出し尽くすような、やり甲斐のある曲を選びました。あとは、曲の質。みんなのデモを聴いた時も良かったんですけど、それ以上のもの…一歩先、二歩先が見える曲が必要だなと感じたので、曲作りは結構しんどかったですね。
これまでだったら良しとして出せる曲も、明確なビジョンが見え、バンドとしての基準値が全体的に上がっている今、クオリティーの高さをより求めてしまうのですね。
弐
今の自分たちにしっくりいくものがなかなか出てこなくて…本当に苦労しました。だから、「destiny」ができた時にホッとしました。それからはポンポン出てきましたけど。