大原櫻子

大原櫻子

【大原櫻子 インタビュー】
人の人生が映画だとしたら、
そのひとコマを切り取ったような感じ

今年が俳優デビュー10周年、来年で歌手デビュー10周年という大原櫻子が、10周年イヤーの始まりとなるミニアルバム『スポットライト』をリリースする。作品を映画や舞台になぞらえ、その主人公を演じるように歌った6曲を収録した同作。27歳になった現在だからこそ感じられる大人の女性としての経験をはらんだ胸を締めつける切なさを持ったミディアムナンバー、10月開催のツアーを想像させるアップナンバーなど、6曲ながら実に聴き応えのある一枚となった。

小泉今日子さんの40年と比べたら
私の10年なんてミジンコ(笑)

10周年イヤーということで、今作をリリースするにあたって考えたコンセプトなどはありますか?

“スポットライト”というタイトルに象徴されているように、この10年間の自分が歩んできた光と影…良いこともあれば苦しいこともあって、それらを乗り越えてきた、その道のりというものを物語にしてお届けしようと。どの曲にも主人公がいて、それはみなさんの人生にも光と影があったと思うし、みなさんが自分のこととして曲の主人公になって聴けるように楽曲を紡いでいこうと思いました。

聴かせていただくと、ライヴで盛り上がる曲もありますけど、10周年を華々しくお祝いする感じというよりも、大変なこともたくさんあったことを想像させるというか。

浮かれた感じがしないのは、私が“まだ10年だし”と思っているからでしょうね。だって、いつもすごく可愛がってくださっている小泉今日子さんが40周年なんですよ。キョンキョンさんの40年と比べたら、私の10年なんてミジンコだと思うので(笑)。

ミジンコ!?(笑) でも、10年の間には大変なこともあって、そこにもしっかりスポットライトを当てているのは、その経験も今の自分を形作っている糧になったと思えているからですよね。

はい。その時は陰だったものでも、今は光に変わっているかもしれないし。この10年、私の曲を聴いてきてくださった方…もちろん今回初めて聴いてくださる方もいらっしゃると思いますが、そういうみなさんにとっては、ご自身の人生や思い出を振り返るきっかけとなる一枚になっていたら嬉しいですね。デビューから一緒にここまできたファンの方とは、“一緒に思い出を振り返ろうね”という気持ちの一枚です。

1曲目の「寂しいの色」は、聴いて泣きそうになりました。

こういう歌詞の内容やメロディーラインの曲はあまり歌ったことがなかったので、ある意味で挑戦でした。レコーディングが終わってから自分の曲を聴くことってあまりないんですよ。ライヴ前とかどこかで歌う前の準備で練習する時が多いんですけど、この曲はレコーディングが終わってすぐに聴きたくなりました。自分の思い出にも突き刺さる歌詞だし、ドラマチックなアレンジに惹き込まれます。歌詞の《「寂しい」の色は 綺麗な色 こんな夜明けの色》という最後のフレーズがすごく好きなんですよ。“寂しい”という言葉はネガティブなものだと思っていたけど、すごく肯定してもらえるフレーズで、歌っている私自身も救われました。実際に作っている時から、大人になっても感じる寂しさに寄り添える曲にしたいと思っていたので、とてもいい曲ができたと自分でも思います。

この「寂しいの色」をはじめ、収録曲は大原さんから“こういう曲がいい”とか“こういう歌詞を書いてほしい”とか、何かテーマを投げて作ってもらったのですか?

最初にお話したアルバムのテーマやゴールみたいなものをディレクターさんと話して決めていて、その上でディレクターさんがたくさん曲を集めてくださって、その中から私が“これ、いいな”と思ったものをピックアップして仕上げていきました。

「寂しいの色」を選んだ理由というのは?

メロディーに異色さを感じて、自分の楽曲の中では新しいと思ったので選びました。仮歌で1番のフレーズを歌った時、新しい自分が引き出された感じがあったし、歌詞にも共感したし。この曲に共感するって、あまり軽々しくは言えないんですけど、こういう大きな寂しさを抱えてどん底にいる人が“明日はちょっと頑張ってみよう”と思ってもらえるような、そういう音楽の力みたいなものをすごく感じて、純粋に“歌いたいな”って思ったんです。

役者として培われた表現力で、まるで映画やドラマの1シーンを観ているような気持ちになりましたよ。

そう思っていただけたらありがたいです。お芝居をやっているからこそ歌うよりも言葉を伝えるというか。芝居だったら脚本に書いてある言葉を伝えるのが仕事ですが、歌もそれは同じで、ただメロディーに沿って歌っただけでは伝わらないけど、自分が感じたものを最大限に言葉に乗せることで伝わる。それは全曲とも、すごく意識しました。

《朝よ来ないで》のところは想いがあふれるような感じでグッときました。

ここのフレーズは一度レコーディングし終えたあと、何かモヤモヤして…。“もっといけるんじゃないか?”と思って、別の曲のレコーディングの日に再チャレンジさせてもらったんです。最終的にはもとのテイクが採用されたんですけど、もっとニュアンスをつけた歌い方のイメージが頭にはあるので、ライヴではその歌い方で歌ってみたいと思っています。バンドをバックに歌うと空気感も変わるし、その場の音に対する感じ方で歌い方も変わるので。

「どうして」は片思いの切ない曲で、最後の歌詞の《こわいくらい焦がれてるよ》に気持ちが集約されていると思いました。

はい。ディレクターさんが集めてくださった曲の中で、“これは入れたい!”と最初に決めた曲です。特にサビは1回聴いただけで耳に残って、自然と鼻歌で歌っちゃうような曲だし、主人公の女の子の真っ直ぐさが可愛くて、それがすごく胸に響きました。あとで気づいたんですけど、今放送されているドラマ『結婚予定日』の中で私が演じている河合佳子ちゃんが、まさしくこの歌詞にぴったりの女の子なんです。特にリンクさせて歌ったわけではなかったんですけど、マネージャーさんがそのことに気づいて“確かに!”って。こういうのもある種のご縁だと思いますね。

「星の日」もグッときました。20代後半のOLさんの気持ちみたいな感じで。

そうですね。社会に出て少し揉まれて、疲れた日にふと思い出しているような。作詞をしてくださった蒼山幸子さんは私より少し年上ですけどほぼ同世代で、幸子さんの言葉は“今、私はこういう感じのことを歌いたいんだよね”ということを、本当に分かりやすく端的にまとめてくださっていて。すごく素敵な比喩表現がたくさん出てくるんです!

大原さんにとって10年の支えとなってくれた親友と呼べる存在は?

たくさんいますよ。ボーッとしている時とか、ふと友達との思い出を振り返ることもあります。芸能界に入ってからのお友達もいますし、今度中高時代の友達が集まるので、私も時間が合えば顔を出そうと思っています。その友達とは定期的に集まっているんですけど、そのうちのひとりに先日、子供が生まれて、そういう報告を聞くのも嬉しいんですよね。思えば役者の先輩から“27歳は周りで結婚とか出産とかの波が来るよ”って聞いていたんですけど、まさにだなって(笑)。嬉しいし、話を聞くだけでも楽しいし。みなさんのそんな経験とも重ねてもらえたらいいですね。
大原櫻子
大原櫻子
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OKMusic編集部

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