【安斉かれん インタビュー】
連続配信を通して“安斉かれん”の
イメージをいい意味でぶち壊していく
声の出し方も今までよりは
可愛い感じで歌っている
では、続いて第2作の「夜は未完成」については?
そんな気がしました。どんな物語だったんですか?
曖昧な関係の男女の物語です。設定的には男の子のほうが年上で、恋しちゃった女の子はその彼に見合った女になろうと背伸びしちゃう。そういう女の子の感情を書いています。でも、女の子は弱いだけじゃないので、物語の最後に《君よもう現れないで/good bye》と言うんです。
この曲のポイントはそこなんですよね。最後まで叶わない恋を追いかける女の子にしなかった理由を教えてもらえますか?
私が主人公の女の子にダラダラとしてほしくなかったからです(笑)。歌詞は《すぐに他の人の話はやめて》とか、わりと女の子らしく感情主体で書いているんですけど、やっぱ女の子の一番の強みって自分を持っていることだから、そこが一番可愛いんだよという意味も込めて、彼女には彼に対して“goodbye”させました。
この行動には安斉さんのそんなメッセージが含まれていたんですね。では、歌詞のフレーズについてもう少しうかがいます。“バラの花”を7本にした理由は?
バラの花は本数によって意味が変わるんですよ。1本だと“ひと目惚れ”で、100本だと“永遠の愛”とかあるんですけど、それを調べていったら7本は“密かな愛”という意味だったんです。
《あとは白いワイン/そうね、BGMは雨の音がいいかしら》というセンテンスは?
ここはドラマチックに。“かしら”という言い回しが、女の子が恋愛している自分に酔っちゃっていて、そんな自分が可愛いって思っているという。浸っている自分が好きというのは、女の子には絶対あると思うんです。恋愛していると全部がハッピーになるから、雨の音すらエモいし。そんな女の子ならではの気持ちを書いてみました。
《あとは少し背伸びして/CHANEL振って》は、この一文だけで主人公が大人の男性に恋をして、背伸びして大人の女性になろうとしている気持ちが伝わってきました。
ありがとうございます。私も外に出かける際に気合いを入れたい時はCHANELを使うんで(笑)。
リアルな安斉さんも含めてのCHANELをチョイスするんですね(笑)。では、《煙に温もりを邪魔され/続けた私は/微笑む事も出来るし》という部分はどんなシチュエーションを表しているのですか?
これは、男性が煙草を吸っているんです。煙草を吸っているとハグできないじゃないですか。それで温もりを邪魔され続けるわけですけど、“それでも私は笑っていられるよ”というシチュエーションですね。
本当は甘えてハグしたいのに、ここも大人ぶって強がっているわけですね。
この曲のMVや衣装が青だったのは?
MVでは写真が浮いたバスタブに浸かっているシーンが切なくてグッときました。
続いて、第3作となる「現実カメラ」。これはリアルと物語、どっちですか?
これはリアルで、わりとみんなも思っていることじゃないですかね。今は加工カメラが流行っていて、Instagramでもデフォルトじゃないですか。それに対して“現実カメラ”というのはiPhoneのカメラ。加工をしてない普通のカメラのことを言っています。加工アプリと加工していない現実カメラ、そのギャップに戸惑う女の子を書きました。
“現実カメラ”というタイトルもユニークですよね。
もともとはスタッフさんが私の写真を撮ってくれる時に“それ、現実カメラじゃん! 現実カメラは嫌だー”と私が言っていたら“現実カメラって何?”という会話になって、““現実カメラ”っていうワードがいいね。いつかこのタイトルで曲作りたいね”という話を2年ぐらい前にロサンゼルスでしていたんです。それで、この曲は可愛らしいメロディーだったので“この曲にぴったりじゃん!”ということからタイトルが決まりました。
歌詞の表現もこの曲は可愛いらしくしてあるんですよね。絵文字を使ってみたり、リアルを平仮名にしたりして。
リアルに関してはレコーディングブースでいろいろ書いてみて、“平仮名、可愛くない?”と思って平仮名にしました。
《そのままでいいよだなんて/気安く、無責任!》はどんな意味が込められているんですか?
そことか《キレイなワタシを覚えていて/ベストショットだけを保存(ノコ)して》とかは、《“あなた”のシャッターだけを押しておいてよ》というところにつながっていくんです。ここで言っている“あなた”のシャッターというのは、その人の目なんですね。加工カメラとか現実カメラで撮った写真をSNSに上げるけど、大切なあなただけは対面した時の私。“リアルな私だけを見ていてね。覚えていてね”っていうお話です。
愛らしい女の子ですね。そこが曲にもマッチしている。
ありがとうございます。曲が可愛い感じですからね。これは1年ぐらい前にデモを聴いて、ずっとその印象が変わらなかったんですよ。
ヴォーカルも加工していますよね?
ちょっとしていますね。声の出し方も今までよりは可愛い感じで歌っています。
この曲はコーラスもかなり頑張ったんじゃないですか?
はい。めっちゃ入れました。“そこも録るの? あれも録るの?”っていう流れでレコーディングが進んでいくから、“これ、どこを歌ってんだろ?”という感じになっていったんですよ(笑)。最後にミックスを聴いたら、おぉー!って驚きました。
声質も、例えばサビの主メロにかぶさるコーラスはちょっとだけ声色を変えたりとか、細かいところまで作業されているんですよね。
フューチャリスティックなシティポップ、そんな攻めた楽曲に負けないコーラスワークは、この曲の聴きどころにもなっていますよ。
やったー! 嬉しい(笑顔)。ありがとうございます。
「現実カメラ」のMVの観どころは、もちろん安斉さんのツインテール?
はい。可愛さを表現するために初めて挑戦しました。あと、MVの中ではイラストで自撮りをしている姿がリアルな姿にスライドしたり、鏡を見ている自分と鏡に映る自分が違っていたり。そういうシーンで2面性を出しています。
こういうタイプの曲は普段聴いたりしているんですか?
はい。もともとはR&Bとかが好きで、主に聴いているのは洋楽ですね。でも、音楽を始めた時からJ-POPも聴くようにはなったので、今はオールジャンル聴いていますが、やっぱりよく聴くのは洋楽が多いですね。
最近はどんなものを聴いていますか?
えっ! 年齢詐称?(笑)
全然世代じゃないですよね(笑)。でも、なぜか聴いています。もともと音楽を好きになったきっかけもThe Rolling Stonesなんで。
えぇー!! 22歳で?
お父さんがロック好きで車の中でずっと流していたから、その影響で聴いていたんですよ。だから、人生で初めて行ったライヴもThe Rolling Stonesです。
東京ドーム公演に行っていたの?
はい! バックにいたプレーヤーさんがサックスを吹いていたのを観て“カッコ良い!”と思ったのをきっかけに中学で吹奏楽部に入って、アルトサックスを始めたんです。
サックスは今も吹くんですか?
サックスを吹く安斉さん、カッコ良さそう!