Editor's Talk Session

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【Editor's Talk Session】
今月のテーマ:
『バーチャル渋谷』が示した
新しいライヴのかたち

デジタルだからこそできる
体験価値を演出した

『YOU MAKE SHIBUYA VIRTUAL MUSIC LIVE powered by au 5G』

『YOU MAKE SHIBUYA VIRTUAL MUSIC LIVE powered by au 5G』

石田
『VIRTUAL MUSIC LIVE』の開催中にライヴを拝見させていただきましたが、『バーチャル渋谷』内でアバターがライヴハウスへの階段を降りていき、ロビーを通過してフロアーに入るというのは、実際のライヴハウスに行っている感じがあって良かったです。
長田
渋谷の街からライヴハウスに行くまでの時間や、地下に行ったらユニークな空間が広がっている体験も楽しんでほしいと思っていました。ただ、ライヴハウスまでの道で迷っちゃう方も結構いて、途中で導線を変えたりもしました。それと道案内をしてくれるボランティアアバターの方が現れたりするという、とても嬉しいハプニングもありました。
石田
道に迷うのもライヴハウスらしくていいです(笑)。
長田
実際に渋谷のライヴハウスの方と話した時に“道が分からないという電話がよくかかってくる”というお話も聞きました(笑)。道に迷いながらライヴハウスを目指すのも、ライヴへのワクワク感が高まるひとつの要素だと思います。でも、デジタル上だと全部が全部ワクワク感につながるわけではないので、テスト的にみなさんの反応を見ながら調整していきました。
石川
お客さんの中にはリアルとバーチャルの間に越えられない壁を感じている方がいると思うんです。そこを無理矢理リアルに寄せていくのではなく、“バーチャルならではの体験価値”を意識しました。例えば、『VIRTUAL MUSIC LIVE』ではライヴハウスに入る直前に当日出演するアーティストのMVがダイジェストとして流れている一角を用意しました。特に対バンイベントなんかだと、目当てのアーティスト以外の共演者の情報を事前に知ることができる効果的なアプローチなのですが、物理的な制約や手間がかかるので実際のライヴハウスではこのような演出はあまりないので。
岩田
会場内にサブモニターがあるのも良かったです。アーティストの演奏音に合わせて床のイコライザーが動いていたり、フロアーの横に並ぶスピーカーがちゃんと演奏音に合わせて動く演出にも感動して、会場でライヴに参加している気持ちが強くなりました。
石川
その部分は気合いを入れて作らせていただいたので、気づいてもらえて嬉しいです。今回は渋谷未来デザインさんやKDDI以外にもたくさんのパートナーの方々と作り上げてきたイベントだと思っています。着目いただいたイコライザーで言うと、動画企画・制作を担当してくださったstuさんがこのアイディアを持ち込んでくれたんです。
佐野
実際のライヴに近い演出ができたのは、長田さんや石川さんを含め、パートナーの方々がオープンイノベーションで議論しながら作り上げたからなんです。『VIRTUAL MUSIC LIVE』に向けて何カ月も毎朝8時からミーティングをしていて、そのモチベーションのおかげで、大人数でひとつの企画を実現することができたんだと思います。あと、石川さんはイベントの初日に出演したザ・チャレンジのドラマーでもあるから、アーティスト側、ユーザー、作る側と3つの目線を持っていて、いろんな立場でアイディアを出してくれたことも大きかったと感じています。ご本人は言い出しにくかったかもしれませんが(笑)。
石川
ありがとうございます(笑)。通信企業に勤める人間としての顔と、アーティストとしての顔の両面をうまく自分の強みとして出しながら企画を進めていくことを前提に、全力投球しました。
石田
バーチャルならではの体験価値で言うと、自分がアバターとなってフロアー内を移動することができたり、自分の目線と引きの目線を切り変えられるのも興味深かったです。普通の配信ライヴだと映像作品を観ているような感覚があるんですけど、そうではなく自分がちゃんとライヴハウスの中にいて、観客のひとりとして参加している気持ちになりました。クラップしたり、サイリュウムを振れますし。
千々和
映画の応援上映みたいな感覚ですよね。黙って観ているだけではなくて。
岩田
配信ライヴだとチャットで会話をして、自分の他にも参加者がいることを認識できるのですが、それは文字だけなので遠く感じてしまうことがあるんですよね。でも、アバターが会場に立っていることで、一緒に楽しんでいる感覚がありました。
長田
アーティストさんのアバターがフロアーにいて、観に来ていたお客さんが見つけるパターンもあったんですよ。リアルのライヴに行った時みたいな、アーティストとすれ違った嬉しさがあるというか。最後にロビーで一緒に写真を撮ろうとしていたアーティストもいました(笑)。
千々和
この座談会企画でもたくさんのライヴハウスの方に参加してもらって、最初は配信ライヴに対して抵抗があったと話してくれる方が多いんですよね。そこから徐々に配信の楽しみ方や技術を掴んで普及していった流れがあるんですけど、『バーチャル渋谷』はそれとは別の立場にあると思うので、こういったプラスな部分が知られていったらいいなと思います。
石川
個人個人が違うアバターを作って会場に入って行けたり、もっと多くの人が同じ会場に入れたりとか、まだまだトライしてみたい要素はたくさんあります。そういうことができたほうが、今おっしゃっていただいたような体験価値の向上につながっていくという確信が得られました。

OKMusic編集部

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