Editor's Talk Session

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【Editor's Talk Session】
今月のテーマ:
ライヴハウスが
新たに見つけたビジネス

ライヴハウスがやるべきことは
昔と何ら変わりない

千々和
昨年4月以降からYouTubeチャンネルを立ち上げたライヴハウスが多いですが、投げ銭をやるのに1,000人登録、4,000時間再生の決まりがあったり、他で配信ライヴをするにも動画配信プラットフォームの種類がたくさんあって、今のような環境が整うまでのハードルも高かったんじゃないかと思ったのですが。
馬場
そうですね。下北沢ERAはどれくらいチャンネル登録数があるんですか?
久保寺
今は2,200人ですね。
馬場
新宿SAMURAIは弱小なんで、360人くらいなんですよ(笑)。始めた時は200人くらいで、1,000人という数字がまったく見えなかったんですよね。だから、昨年はYouTubeを諦めていたんですけど、ここにきてやっと増やそうとしています。でも、まだ360人しかいなくて(苦笑)。
千々和
なぜもう一度やろうとなったんですか?
馬場
昨年の緊急事態宣言の頃にいろんなライヴハウスがYouTubeのチャンネル登録者数を伸ばそうとしていたじゃないですか。その時に新宿SAMURAIはいったんYouTubeを諦めて、TwitCasting(以下、ツイキャス)でプレミア配信の登録をしたんです。さらに動画配信サービスのVimeoを年間契約して、TIGET LIVEを主体に半年以上使ってきたところで、改めてYouTubeという選択肢を増やすことに損はないという判断になり、遅くなりましたけどYouTubeにも力を入れていこうと動き出した感じですね。
千々和
下北沢ERAはチャンネル登録者数が2,000人以上ですが、ツイキャスも使っていますよね。
久保寺
YouTubeチャンネルを作り始めたは昨年4月で、下北沢ERAに出演してくれていたエモやハードコアのアーティストの方にもアーカイブをもらったりしたおかげで再生回数が伸びたんですけど、投げ銭やスーパーチャットだと手元に残る売上げがあまり多くないことを知って。利益にはつなげにくいので、下北沢ERAもツイキャスで法人登録をしました。あと、ツイキャスが無料期間をやっていた時に営業の方とお話しする機会があり、それもあって今も使い続けていますね。登録が簡単なのと、チケット購入も非常に分かりやすいので、弊社の系列ライヴハウスでも使っているところは多いです。
千々和
確かにツイキャスで配信ライヴを観ることは多いです。
久保寺
配信はコロナ禍が明けたとしても絶対に続いていくと思っているので、2年後、3年後に普通にライヴができるようになったとしても、配信もあることが新たなビジネスツールになっていくんじゃないかと見据えています。そこは、どこのライヴハウスも考えながら配信スキルを常に磨いていっていると思いますね。あと、余談プラス重要なことで、たぶん馬場さんもそうだと思いますが、みんなカメラとかスイッチングがめっちゃ上手になっていますね(笑)。
馬場
あははは! 確かに。めっちゃ凝ってやってますね。楽しいんですよ。
久保寺
そう。楽しいんですよね。僕も馬場さんも楽器をやっていて、昔からバンドマンだったので、カメラってバンドと一緒だと思ってて。朝から夕方までカメラマンで撮影しつつ、夜はイベント対応をしていたりします。
馬場
いいですね。配信していて思ったんですけど、ライヴハウスってPAがいて、照明がいて、一緒にステージを作っている人間がいるじゃないですか。バンドのメンバーだけではライヴが成立しないのと同じで、配信に関してもスイッチカメラマンも一緒にライヴを作っている実感がすごくあるんですよ。なので、配信をしている時は、自分のミスでお客さんが“んっ?”と思うかもしれないし、自分がいい仕事をすれば“すごくいいアーティストだな”と思ってもらえるかもしれないって考えると、ステージに立ってるアーティストと同じ気持ちになるんですよね。それがすごく楽しくて、もうのめり込んで自分のお金でめちゃくちゃ機材を買っちゃってます(笑)。来月なんて他のライヴハウスでの無観客配信に僕がスタッフとして行くことになって、新宿SAMURAIをその日休みにして機材を全部持っていくという(笑)。
久保寺
そうなってくるよね(笑)。下北沢ERAもそのパターンで、出張で配信機材とスタッフが行くこともやってます。
馬場
やっぱりそうなんですね。だから、もともと配信をやっていたカメラマンさんは今仕事が減っているみたいです。いろんなライヴハウスが撮影の知識と技術を身につけているので、どんだけ単価を下げても仕事がこないって言っていましたよ。
久保寺
あぁ、確かにね。
馬場
いろんなライヴハウスに機材がすでにありますからね。昔は考えられなかったですけど。
久保寺
うんうん。さっき馬場さんが言っていた通りなんですけど、演者さんと同じ気持ちになって、アイドルもバンドも変わらず一緒にステージを作り上げている感覚というのは、今のこのご時世になって新たに知ったことだし、これをちゃんとビジネスとしてうまくやっていきたいと考えていますね。
馬場
ライヴハウスがやるべきことは昔と何ら変わりないですもんね。面白いバンドをブッキングして呼んで、それを観て成長させるってことは同じなので。ただ、時代が変わってきてやり方が変わっただけなんで、前向きなところのほうが多いんじゃないですかね。

OKMusic編集部

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