【中村舞子】“春”をテーマにした初
のカバーアルバム
およそ1年振りの新作は初のカバーアルバム『春色 COVERS』。シンガーとしての新境地を開く一枚となった本作への思いを訊いた。
取材:田中隆信
初めてのカバーアルバムが完成しましたが、いつ頃からこの作品の構想があったのですか?
1年前にフィーチャリングのベストアルバムをリリースして、それまでの自分を振り返る作品になったんですけど“、次の新しいステップをどうしようかな?”って考えていた時に、チームのみんなが提案してくれたんです。私の中ではカバーアルバムを出したいと思ったことはなかったので、正直驚きや戸惑いもありましたね。でも、新しいことにトライするのも好きなので、やってみようかなって。
そういうきっかけだったんですね。
はい。実際にレコーディングに取りかかってみると、新しい発見がたくさんあって、まさに新境地!という感じでした。もともと私は自分が“アーティスト”というよりは“シンガー”という意識のほうが強いんです。このアルバムは、歌うことだけに集中できたし、シンガーとしての醍醐味のようなものを味わうことができたので、すごく刺激的でしたね。シンガーの意識は以前より強くなった気がします。
収録されている7曲を選んだ基準は?
声を生かして、私なりの個性を感じられる作品にしたいと思っていたのが一番ですね。リリースが2月頃というのと、以前から声に憂いがあるって言ってもらうことが多かったので、テーマを別れと出会いの季節である“春”にしたんです。カバーアルバムを提案してもらってから、いろんなアーティストのカバーを聴いてみたのですが、最初は春らしい曲をみんなで集めて、そこから揉みに揉んで(笑)、最終的にこの7曲になったという感じです。タイトルは分かりやすく“春色COVERS”にしました。言葉の響きもいいし、つい口にしたくなるようなタイトルがいいなと(笑)。
いろいろなタイプの曲があって、まさにシンガーとしての舞子さんを楽しめる一枚だと思います。
歌ってみると意外に合ってる曲もあったりして、いろんな発見がありましたね。リード曲の「木蘭の涙」もそうだったんです。これはたまたまディレクターさんがコンビニで流れていたのを聴いて、候補として挙げてくれた曲だったのですが、どんなふうになるのかは歌入れするまで想像できませんでした。有名な曲なんですけど、私はCMでしか聴いたことがなかったんです。
自分のオリジナル曲を歌う時とは、やっぱりレコーディングに臨む心構えとかも違うと思いますが。
はい。今回はレコーディングで使う歌詞カードに“これはお母さんを想うお父さんの気持ちで歌う”とか(笑)、それぞれの曲をどういう気持ちで歌うのかをたくさん書き込みました。こういう作業をしたのは初めてでしたね。
先ほど“歌うことに特化したアルバム”と言ってた通り、歌が真ん中にいるアレンジになっているのを感じました。
そうなんです。今回はハモもコーラスも極力入れずに、シンプルなアレンジの中にきちんとヴォーカルがいる感じを目指したつもりなので嬉しいです。自分がこれから歌っていきたいのはJポップなのかなって思ったので、Jポップの王道を王道としてアレンジしてくださる方たちにお願いして。アレンジャーさんはほとんどが初めてお願いした方ばかりだったんですよ
今やりたいことがそれだったということなんですね。
はい。カバーをやるならば、さらにリスナーの幅を広げたいという思いがありましたし、楽曲へのリスペクトを感じてもらえるように丁寧に歌ったつもりです。ぜひ原曲のアーティストのファンの方にも聴いてもらえたら嬉しいですね。
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