由薫

由薫

【由薫 インタビュー】
私は私のままで普通に海外でも
曲を聴いてもらえる日本人でいたい

2022年6月にメジャーデビューして以来、さまざまなタイアップ曲をリリースし、「星月夜」のサブスクリプション音楽配信やSNSでのデジタル総再生数が4億回再生するなど、注目を集め続けているシンガーソングライター・由薫。多彩な表現を届けてくれる1stアルバム『Brighter』について語ってもらった。

日本語と英語を混ぜると
言いたかったことに手が届きやすい

どのようなアルバムにしたいと思っていました?

聴いてくださるみなさんに何かを伝えたいと制作の途中から思うようになって、“Brighter”というタイトルをつけたんです。星っぽいというか空っぽい曲が多いというのもあるんですけど、“これから歩いてゆきながら良い音楽を届けて、より輝く”という意味も込めています。

12曲目の「Brighter」はアルバムのタイトルを決めてから作ったんですか?

はい。このアルバムのために書き下ろしました。“アルバムは完結しますが、これからの私も楽しみにしていただきたい”という決意表明を込めた曲です。それぞれの曲が別々のお料理のような印象があったので、アルバム全体をまとめてくれるようなものが欲しかったんです。

「Brighter」はアコースティックギターを基調とした、弾き語りに近いサウンドですね。素顔の由薫さんという印象がしました。

それは意識しました。私自身のルーツ、音楽を作る上で大事にしてきたことを見つめ直した曲なので、素朴な雰囲気を残すことをテーマにしていました。

メジャーデビューしてからはタイアップの機会が多いですよね。何らかの作品、物語をイメージして曲を書く経験を通じて感じていることはありますか?

何らかの作品の曲を書き下ろすと、それによって引き出される自分がいるような感じがします。曲が出来上がるまで予想できないものがあって、それが楽しいです。“この物語に対して自分はどういう視点から描いていくのだろう?”というのは最初は分からないので、完成してから“なるほど!”となっています。タイアップは視点を与えてくださるんですけど、結果的に出てくるものは自分なので、新たなドアを作ってくれるみたいなことなのかもしれないです。ドアの取っ手がどんどん増えていくような感じですね。

例えば「sugar」もアニメ『うちの会社の小さい先輩の話』の世界に向き合う中で、ご自身の中にあったものが引き出されたんですね?

はい。原作の漫画を読ませていただきながら、“ここにどうアプローチするんだろう?”とすごく考えました。洋楽っぽいコード進行を使いたと考えたりしましたね。

「Crystals」はドラマ『たとえあなたを忘れても』主題歌ですが、《私ばかりが/写るこのアルバムは/私よりもね/君を感じるよ》というフレーズが印象的でした。

ありがとうございます。レコーディングの前日の夜に書き直した歌詞なんです。身を任せて書いていたらこういうフレーズが出てきて、自分でも“あっ!”と思って(笑)。日常の中で目にしながら無意識のうちに吸収されるものって、実はすごく多いのかもしれないです。曲を作る時、それが取り出されるような気がします。脳みそが見逃してきたことも、ちゃんと自分の中に入っているんでしょうね。

日本語と英語の両方を使いながら生むライミングは意識的に盛り込んでいるんですか?

頭で考えるよりも自然に出てきたもののほうが最終的にいいと言われることが多いと気づいて、韻もそういう部分ですね。意識して韻を踏もうとしているというよりも、口で歌って楽しいものを選んでいるうちにそうなっている感じです。自分の言葉の中に日本語と英語の両方があって、育ってきた文化も日本語圏と英語圏の両方があるんです。どちらも自分のアイデンティティーなので、“自分らしい音楽を”となった時、その両方が自然に出てくるんだと思います。

日常会話も日本語と英語の両方が自然と出てくるんですか?

それはあまりなくて、基本的に考えたりする時に使っているのは日本語です。でも、学生の頃に英語のスピーチコンテストに出たりして感じたんですけど、英語を使うから言えることってすごくあるんですよ。だから、日本語と英語を混ぜると自分が言いたかったことに手が届きやすくなるというか。日本語が一番使いやすい言葉ですけど、はっきり何かを言いたかったり、何かを考えたい時とかに英語が合っていると感じることがあって。そういうのは言語の面白さですね。

MONKEY MAJIKがプロデュースした「Blueberry Pie」も日本語と英語が並んでいることによって独特なテイストが醸し出されている曲ですね。《Blueberry Pie 食べたい》という音の響きが気持ち良いです。

作曲はBlaiseさんとMaynardさんで、デモは英語っぽい雰囲気だったんです。でも、せっかくのコラボレーションなので日本語をいっぱい入れたいと思って、日本語で浮かない言葉遣いをすごく考えました。その結果、《Blueberry Pie 食べたい》みたいなところに行き着いたのは、自分でも面白いと感じています。
由薫
アルバム『Brighter』【初回限定盤】(CD+Blu-ray)
アルバム『Brighter』【通常盤】(CD)

OKMusic編集部

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