27枚目のシングル「ふぉりら」で見せ
た作らない等身大のClariS クララと
カレンの「好き」のカタチ

ClariSが27枚目となるシングル「ふぉりら」をリリースする。TVアニメ『カノジョも彼女』season2のエンディングテーマとなっているこの楽曲は、今までになくリアルな恋する女の子の気持ちを詰め込んだ作品となっている。どこか神秘的なイメージがあったClariSが見せた「恋愛」とは?詳しく話を聞いた。
――ClariS、27枚目となるシングル「ふぉりら」が発売されます。TVアニメ『カノジョも彼女』season2のエンディングテーマですが、恐ろしく可愛い曲を持ってきましたね。
ClariS:ありがとうございます!
クララ:今回は今までとまた違った、ちょっとポップで遊び心のある可愛らしいClariSにできたらと思って制作しました。
――なんか今までのClariSの可愛らしさとちょっと違うというか、ラップ部分もあったりとか、内容としては少し背伸びしたガールズポップという印象ですが、でももう大人の女性ですもんね。
クララ:そうですよ(笑)。なんか今までは、“伝えたいけど伝えられない、秘められた好きの感情”みたいな楽曲が多かったんですけど、こんなに「好き」という想いをストレートに届ける曲は新鮮だったし、背伸びしている部分と等身大の部分が混在している歌詞だったので、歌っていてもすごく楽しかったです。高校生の頃の青春を思い出すような楽曲ですね。
カレン:今回は高校生をテーマにしたアニメなので、十代の可愛らしさだったり、はじけた感じだったり……そういうものも表現しつつ、ラップの部分ではちょっとウィスパーっぽい、背伸びした感じを出したかったんです。ラップって聞くと、結構かっこいいノリノリなイメージがあるんですけど、今回はそういった方向のラップじゃなくて、女の子の気持ちをリズムに乗せたような雰囲気にしたくて。大人っぽい可愛いラップにしてみました。
ClariS 27th Single「ふぉりら」期間生産限定盤ジャケット
――ClariSの楽曲としては少し背伸びした感じの曲ですが、先程もあったようにお二人はもう大人の女性なので、そのギャップみたいなものっていうのは歌っていてあったりするんでしょうか?
クララ:結構まっすぐな歌詞ですよね。思春期の時にしか感じられない、ちょっと嫉妬してみたり、モヤモヤドキドキした気持ちが詰まっていると思っていて。確かにClariSとしてはある部分では新境地かもしれないんですけど、私的は歌う時は十代の頃の気持ちを思い出して、可愛らしさを取り戻して歌ったっていう感じはありますね。
――そのギャップってあるんだろうなと思っていて、それが逆にすごいハマっているというか、だからこそ楽曲が際立って聴こえるという感じはありました。
カレン:あ、その意見は凄く嬉しいです!
■今回は今までの「ClariSらしさ」を忘れてもいい楽曲だった
――MVもまさに楽曲の世界を表現していて見ていて楽しかったです。振り付けをご自身たちでされたんですよね?
カレン:はい、ライブ限定で振り付けさせていただくことはあったんですけど、新曲で振り付けさせていただくのは初めてだったので、最初お話いただいた時は「やりたいです!」っていう感じだったんですけど。反面、私たちにできるのかなっていう不安もあって。今まですごい素敵な振りをつけていただいてたので。
クララ:あと、お話した通り、今までになかったタイプの楽曲なので、新しいClariSを作るのに、私たちが振り付けて大丈夫かなっていうのもあって。
カレン:頑張って振り付けさせていただきました。始めるまではかなり悩んだんですけど、やってみるとスムーズにイメージが湧いてきて。
クララ:言葉から連想されるポーズだったり、なんかそういうのが浮かびやすい歌詞だったので、初めてでしたけど、良い振り付けができたんじゃないかなっていう自信はあります!

――これはパート分けとかせず、全部2人で考えて作ったんですか?
クララ:そうです。2人で鏡見ながらこうかな?どうかな?って。
カレン:普段隣でお互いを見ているからこそ、クララならこう動いたほうがキャラクターが出るようなとか、『カノジョも彼女』っていうタイトルアニメの内容も合わせて考えました。お互いがライバルじゃないですけど、ちょっとバチバチになるところがあったり、いいところを見つけて仲良しになっている部分もあったりとか、アニメの内容も感じていただけるような2人の関係性も伝わる振り付けにできたんじゃないかなと自負しています。
――そんな自分たちでつけた振り付けの見どころはありますか。
カレン:サビはいつもシンメトリーで踊っているんですけど、あえて向きを揃えたんです。理由として、いろんな方に踊って頂けるようにしたいっていうのがあって。二番のBメロの「聴き耳立ててばっかり 混ざりたい、イヤ、邪魔したい」っていう部分は、ClariSとしてのイメージアニマルのウサギと猫をイメージしたものを入れてみたので、それは結構ポイントですね。
――最後は歌詞通り爆発しましたしね(笑)。
クララ:一番楽しかったです!
カレン:本当に爆発すると思ってなくて(笑)。でもやるなら中途半端にやってもしかたないし、可愛さはいらないじゃん?って顔も自分たちで汚して、メガネもずらしてみたりしました。
――ClariSって凄く「ClariSっていうイメージ」が強いアーティストだと思っていて。仮面を外した時に神秘性みたいなものを一回取り去って、今を生きてる女の子だよっていうところを見せてくれたと思っているんです。今回の曲はその延長線上にしっかりある気がしていて。
クララ:今回はなにか今までの「ClariSらしさ」を忘れてもいい楽曲だったというか。また新しいClariSを作れるような楽曲やMVだったので、表情の作り方も感情の出し方も今までと全く違いましたし。普段の私たちの表情とか雰囲気が出ているような気がしますね。
――インタビューでお話する時のような、ちょっとプライベート感のある表情や雰囲気が出てるのは新鮮でしたね。
カレン:やっぱりこれまでは楽曲の世界観で作ってきたMVが多かったので、今回は一人の女の子としての姿が出せたかなって思いますね。普段の2人でワーワーキャーキャー言ってる様子も伝えられたのは、この楽曲だったからだなってすごく感じます。
ClariS 27th Single「ふぉりら」初回生産限定盤ジャケット
――カレンさんは凄く楽しそうだし、クララさんのちょっと小悪魔っぽい微笑みも見れて感動がありましたね(笑)。
クララ:えー!してましたか?(笑)でも自分たちも知らない間に、新しい扉開いちゃってた! みたいな感じはありますね。
カレン:完成したのを見たら「わ!はっちゃけてる!」みたいな(笑)。
クララ:とてもストレートな歌詞なので、それを表現するにはもうその表情をするしかないんですよね。この歌詞だったから、スッと曲に入って撮影できたし、歌えたなって思います。
――『カノジョも彼女』っていう作品も、2股から始まるラブコメディじゃないですか。
カレン:そうなんですよね、これ私達が歌って許されるの?こんなことが現実であって、いいわけがないよ!っていう感情だったんですけど、アニメ放送が進んでいくと、いい意味ですごくぶっ飛んでいて。
クララ:うん、そうそう。
カレン:なんか女の子同士、男女もドロドロしているわけでもなく、ただ好きっていうストレートな気持ちだけでそこにいるっていうのがすごく伝わってきて。だからからこそなんかちょっとくすってしながら見れる反面、「いや、今のはないよ直也!」(『カノジョも彼女』主人公)みたいな(笑)。なんかダメだっていう気持ちもありつつ、見ていくほど嫌いになれないんですよね。
クララ:そうだよね、憎めない。きっとなんか私も一緒に居たら、好きになっちゃうかもみたいな感じ。
――そういう恋愛感の話って、したことないですね。
クララ:ないですね。私影響されやすいんですよ、好きって言われたら気になり始めちゃう。カレンが今日の髪型いいねとか、今日のメイクいいねって言ったくれたら、そればっかりにしちゃったりとか、カレンは私に対する直也みたいな感じかも。
カレン:私は逆にストライクゾーンめっちゃ狭いです。ちゃんと一途!
クララ:そう思ったら、私その場にいたら直也のこと、ちょっと好きになっちゃうかも(笑)。
■恋愛観は正反対の二人
――せっかくなのでもう少しお二人の恋愛観もお聞きしてもいいでしょうか。
クララ:私は一人でいるのが苦手なんです。多分小さい頃から両親共働きで、一人でいる時間が長かったっていうのもあるんですけど、常に誰かと一緒にいたいんですよ。
カレン:プライベートでも一緒にいますし、ホテルでも暇になったら部屋に来て話をして、移動も絶対隣ですね。
クララ:普段は家族と一緒に住んでいるので、家に帰っても誰かがいるじゃないですか。でもこうしてお仕事でどこかに滞在する時ってホテルになるので、必然的に帰った後の一人の時間が長すぎて。最初の頃はそれで気持ちが落ち込むみたいな感じでした。
カレン:本当にウサギっぽいよね。
クララ:そう、本当に一人だと死んじゃうと思います(笑)。
カレン:本当に私はクララと逆ですね。私は家族や兄弟も多いので、常に家に誰かがいたんですよ、プライベートが無くて。だから逆に一人の時間がすごく大事なタイプです。ほっとかれてちょうど良い距離感があることで、誰に対しても優しくできる感じですね。
――そこも猫っぽいんですね。
カレン:はい、本当に猫みたいにたまにふらっと一人でなんでもできますね。一人焼肉も行きますし、一人ボウリングも行ったことがありますし。
クララ:えっ、一人ボウリング!?
カレン:うん、一人旅で温泉も、一人お寿司も行きましたし、漫画喫茶も一人で平気。その場所で出会った人と喋ったりするもの大丈夫。でもクララとはずっと一緒にいても大丈夫なんですよ。
クララ:なんかそれが不思議なんですよね。でも、たまにそういう面を知っているので、ちょっと一歩引いたりもします。まあいつも一緒にいたいけど(笑)。私は美味しい!とか、楽しいよね!って誰かに言いたいんですよね。返事が帰ってきて初めて私も楽しめるというか、なんか自分で完結できない。一緒に食べて美味しいって言ってくれるから、より美味しく感じるみたいな。
ClariS 27th Single「ふぉりら」通常盤ジャケット
――カップリングの話もお聞きしていきたいと思います。「幻想恋慕」。これはちょっとかっこいいClariSというか。和テイストに載せながらのドラムンベースで疾走感あるナンバーです。
クララ:はい、「ふぉりら」と同じ重永亮介さんにお願いしたんですが、同じ方が書いたとは思えないくらいテイストが違う曲になっています。重永さんが書くちょっと和楽器入っている楽曲がすごく大好きで、この楽曲もデモで聴いたときに、この曲は絶対歌いたいねってなった曲の一つで、ちょっと温めていたんです。
カレン:温めがちだよね重永さんの曲って。いつか絶対歌いたいんでキープさせてください!っていう重永さんあるある。
クララ:今回は満を持してというか、「ふぉりら」っていうシングルにこれぐらい強い楽曲が入っていてもいいんじゃないかというところと、ライブも控えていることもあって入れさせてもらいました。
――楽曲の感想としてはどういう物がありますか?
クララ:強い疾走感のある音とは正反対に、すごく奥ゆかしい歌詞になっていて。そこのギャップも個人的には好きな部分ですね。このちょっと不思議でかっこいい部分が歌声にも出たらいいなと思って、今回はちょっと声色の低い成分というか、響きを伝えられるように歌いました。
――確かに歌声としてはぐっと抑え込みながらも、でも勢いを感じさせるのは新しいClariSという感じもありましたね。
カレン:和楽器っていうのに影響されてる部分もあるんですけど、なんか一つの古典作品を読んだような気持ちになるんです。古典とかにあるような、かなわない思いをはせるとか。なくしてしまった存在を思い続ける気持ちとか、そういう気持ちになりました。間奏に水滴が落ちる音が入ってたりするのも、この楽曲のしっとりした部分を表現している気がしていて。普段抑え込んで歌うことがあんまりないので、そこは自分的に難しい部分ではあったんですけど、「ふぉりら」の二人の個性を出した楽曲とは反対に、しっかりと歌い上げる楽曲に出来たんじゃないかなと思ってます。
――「ふぉりら」に収録されていることで、生きている時代による恋愛への価値観や距離感みたいなものみたいなのが、グラデーションしてて面白いと思いました。では次に「君色」です。これは転じてClariSらしさを感じると言うか、JPOPのカバーをやってきたことが生きている曲だと思いました。
クララ:この歌詞の通りというか。今回は三曲通して恋愛ソングになっているんですけど、私はこの一人で恋をしている女の子がああでもない、こうでもないって、自分の脳内での会話がそのまま歌詞になっちゃったみたいだなって思っていて。それがすごく可愛いし、愛おしくなっちゃいますね。コロコロ変わっていく心の様子を表現できたら嬉しいと思いながら歌いました。
カレン:タイトルの通り、君色に染まっていくっていう部分ですね。関係性を築いてから染まっていくわけじゃなくて、好きになった段階からもう君の好みになっていきたいっていう女の子が頭に浮かんできて。あ、確かにってこういう時期ってあったって思ったんです。自分が何かに夢中になって、その人のために全力注いでその世界に染まっていくのが楽しいっていう感じを思い出せた楽曲で、なんか甘酸っぱい気持ちも思い出しましたし、丸山(真由子)さんのサウンドや歌詞とともに伝わってきて、ちょっとキュンキュンしちゃいました。
■お互い染まりながらも染められた感じがある
――人を好きになると、その人の好きなものが好きになったりしますよね。
カレン:なんか味覚とかもそれこそ変わりますよね。私たちも好みが全然違ったのに寄ってきたりとか。
――お二人もそういうのあるんですね。
クララ:私はさっき言った通り、カレン色に染まっちゃってるタイプなので(笑)。本当にこの歌詞私なんじゃないかなって思うぐらいですね。カレンが好きっていうものを好きな自分が好き!みたいな。そういう部分がなんかちょっとリンクする部分もありましたね。
カレン:私は逆に、共感するってより「ああ、可愛いな~」って気持ちで見れる方だから、染めたいほうなのかもしれないです。そこも真逆ですね。
――プライベートで2人でいるとカレンさんが主導権を握る感じなんですか?
カレン:これは難しくて、クララはずるいんですよ(笑)。「私がこう思ってるって、分かるよね?」っていう感じで、気づいてよアピールを凄いしてくる。
クララ:なんか感じ取ってくれるんですよ。カレンはほんとに優しいし、相手のことを尊重してくれるタイプなので。でも色々表情には出るんですよ。もう一緒にいすぎて、私はカレンのこと何でも解っちゃう(笑)。
カレン:なんかお互い染まりながらも染められたって感じだよね。
――だってもう何年一緒にいます?
クララ:もう9年ですね。9年経ったらもう夫婦みたいな感じなので(笑)。主導権をどっちが取ると言うよりは。
カレン:TPOで握る方が変わる感じですね。
――そして、11月24、25日には『ClariS AUTUMN LIVE 2023 〜Arcanum〜』が開催されます。
クララ:リリース直後のライブなので、もちろん「ふぉりら」はお届けしたいと思ってます。、今回はタイトルが「Arcanum」なんですけど、この言葉にはこう秘められたものとか、隠されたものって意味があるんです。なので今までになかったClariSの引き出しを開けてくれるようなライブにしたいと思っています。
カレン:今回タイトルを先に決めたので、私たちが引き出せていない部分ってどこだろうって考えて。ちょっとハードルを上げてしまったかな・・・って思いもしたんですけど、話していく中で頑張りたいことができたので、そこを見せたいと思っています。
クララ:言いたいけど、まだ言えない~!(笑)
カレン:クララは全部言うか、全部言わないかって感じだよね。
クララ:小出しができないタイプなんです、ほんとにすぐ言っちゃいそうになる。
――見せ方の幅も凄い広げて行っている印象はありますね。
クララ:本当にその通りで、こう一つステージが終わる度に、もう一個やりたいことができていくというか。今回のライブで挑戦したいことも、前回のライブでステージに立って、その時に次これをやりたいってもので。
カレン:それを本当にできるのかどうかは置いておいたとしても、一つ経験することに一つやりたいことが生まれる環境やステージに立たせてもらっているので、そこはすごくありがたいです。
クララ:そこに自分たちが乗っていけるように、毎回頑張ろうっていうパワーを本当に皆さんから沢山いただいているので、ずっと楽しい気持ちでClariSをやれていて幸せだなという風に感じてます。是非会いに来てください、お待ちしています!
インタビュー・文:加東岳史

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