ももすももす

ももすももす

【ももすももす×イララモモイ
インタビュー】
誰かの心に残って残って残り続けて、
消えない言葉を紡ぎ続けたい

これで第三の目を持ってることが
バレてしまいました

ももすさん、今作はコンセプトアルバムでもあるんですよね。

ももす
そうなんです。いろいろと仕掛けがあって。例えば、今回はラストの「エソア -Ballad ver.-」を除くと12曲あるんですけど、それが1曲目のタイトルの“十二単”とかかっていたり。あと、「6を撫でる」という曲で歌詞の最後に《今度こそは/3を出すから》って書いたんですけど、その願いを込めて3曲目に配置したり。そういうギミックも含めて楽しんでもらえたら嬉しいです。

ちなみに“白猫浪漫”というアルバムタイトルは、ももすさんの猫への愛情表明ですか?

ももす
そうですね。猫と共鳴して音楽を奏でられたら僥倖だなと思うのと、私の生活を支えてくれる猫への感謝の気持ちを込めてアルバムタイトルに“白猫”を入れました。

歌詞に“猫”というワードが登場する曲が多数収録されていますし、明記はされてなくても猫を彷彿させるような楽曲もあって。例えば「曖昧模糊」には曲自体から猫っぽさを感じたのですが。

ももす
私は自分の性格を他人に決めつけられるのが嫌いなんですよ。なので、「曖昧模糊」に関しては別人格で書いて、人々を困惑させたいという気持ちがあったんですよね。“他の曲を聴いているともっとダメ人間っぽいのに、こんなももすもいるのか!?”みたいな(笑)。

その感じがやっぱり猫っぽい(笑)。ジャケットにもたくさん猫が登場していますが、イララさん的に描いていて大変だったところなど、ぜひ制作秘話も訊きたいです。

イララ
本当にずっと楽しくて…大変だったところが今はちょっと思い出せないですね。作っている間も細かくアドバイスをいただいていたので、迷うことがあまりなかったですし。
ももす
私、ジャケットにある目玉のイラストが大好きなんですよ。
イララ
ありがとうございます。私も気に入っています。
ももす
この子を見て、自分が第三の目を持ってることがバレてしまったって思いました(笑)。“ついに見抜かれてしまったか…”って。
イララ
目玉はポップでいいかなとフィーリングで描いただけで…なので、全然見抜いていないですよ(笑)。でも、ももすさんっぽさは出したいと思っていました。“この目玉にはこういう意味があって”とかもっと意味を込められたら良かったんですけどね(苦笑)。自分が好きな要素をとにかく迷わず詰め込んでいくのが私の作り方で、意味はあとからついてきてくれると思っているところがあるんです。

ももすさんは完成したジャケットをご覧になっていかがでした?

ももす
“これだけ猫を飼ったら餌代が大変だろうな”と思ったり(笑)。でも、この惑星と猫たちは、まさに求めていたものでした。それはイメージどおりというのとはちょっと違っていて…そもそも私は絵を描けないですし、映像をイメージすることができないので、瞼を開けたらこのジャケットが急に飛び込んできたという感じがしたんです。イラストを見た瞬間にとても好きだと思い、ギュッと抱きしめたい感覚でした。ちなみにブックレットの中には十二単を着たまま私がDTM作業をしている絵もあるんですけど、それもぜひみんなに見ていただきたいです。イララさんのおかげで、できることなら一枚10万円で販売したいと思えるくらい、私にとっては価値のある作品になりましたね。

イララさんのジャケットもそうですが、今作にはコラボレーションアルバムとも呼びたいくらいに多数のサウンドプロデューサーやミュージシャンがかかわっていらっしゃいますね。

ももす
はい。私はもともとバンドをやっていたので、人と一緒に曲を作ることが楽しいという気持ちはずっとあったんですけど、バンド時代の最後に作ったアルバムを全部ひとりで書いてからはひとりだったんです。でも、今回いろんな人の力を借りて音楽を制作していたら、一緒に作ることですごく発見もありましたし、人がひとりで生きられないのと同じように音楽もひとりで作るのはあんまり面白くないのかもしれないって思いました。別にひとりでも作れますけど、自分の想像していたものと違う音が入ってきたりするのが特に楽しかったです。“こういう音色を使うんだ!?”とか、“ドラムのスネアのピッチとかはこうしたらもっと良くなるのか”とか、そういう技術的なこともとても学べましたね。

特に印象に残っている曲とかありますか。

ももす
「猫とメリケンサック」ですね。もともとはデジタルなサウンド、シンセサイザーとかをいっぱい使った曲だったんですけど、サウンドプロデュースをしてくれたおいしくるメロンパンのナカシマくんに曲を渡したら、彼はギターがとても上手なのでギターを駆使したボサノバ調の曲になって。他にも猫の鳴き声やデジタルピアノ的な音の可愛いメロディーを入れてくれたりと、合作ですごくいいものができました。

“メリケンサック”というワードのインパクトもさることながら、歌詞に描かれたやるせない感情と、吹っ切れたエンディングのコントラストがとても痛快です。

ももす
ありがとうございます。できれば排他的な歌詞を書きたいと思っているところがあるんですよ。もともと私が音楽を始めたのは、どんなに涙を流したり叫んだり喚いたりしても状況は変わらないんだと気づいて、音楽でいっぱい闇を言ってやろうと思ったところからだったんですね(笑)。今はもう違いますけど、その名残で“最後はひとりぼっちになろう”みたいなことを曲に込めることもあって。それがいいかたちで歌詞になりました。

「怪傑ヒロイン☆」は編曲もさることながら、作詞作曲までを元相対性理論の真部脩一さんが手がけていらっしゃいますね。

ももす
初めて他の人が書いた曲を歌いました。この曲を作るにあたって真部さんと合計で10時間くらい会話したんですよ。恋愛のこととか家庭のこととか自分のことを全部お話しして、その上で真部さんが書いてくださったので、ちゃんと私の人生も反映されています。なので、歌うのも楽しかったです。真部さんのほうが私よりもひらがなを多く使われていたり、言い回しも女性っぽかったりするのも面白くて。実はこの歌詞の中には、私が書いたものも入っているんですけど、真部さんに全部書いていただいたことにしたくて、このクレジットにしているんです。

そうなんですね。これ、記事に書かないほうがいいですか?

ももす
いえ、全然大丈夫です。真部さんに全てを託していますし、完全に信頼しているのですが、私の気持ちとしてそうしたかったんですよね。

TVアニメ『魔王学院の不適合者II ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~』のエンディングテーマである「エソア」を、第9話のエンディング用としてバラードにリメイクされた「エソア -Ballad ver.」は、今作の中でボーナストラック的な存在でもあると思うんですけど、「植物戦争」からの流れも相まって神話的なスケール感のあるラストソングとしてアルバムを締め括っていますよね。

ももす
俯瞰して見ると、1曲目の「十二単と猫と宇宙。」がホモサピエンスの誕生で、5曲目の「まともじゃないのがちょうどいいの」が現代の人間で、「植物戦争」がアンドロイドなんです。そういう歴史的な流れをイメージして曲順を考えました。そして、「エソア -Ballad ver.-」で卵子に戻るという。そこからまた1曲目でホモサピエンスとして生まれて。

輪廻転生みたいな感じでしょうか?

ももす
そうですね。私には来世がないんですけど…

1曲目の歌詞にもそう綴られています。

ももす
でも、聴く人には来世があってほしいなって。

そうした壮大な願いも込められているんですね。さて、12月19日には下北沢SHELTERで4年振りのワンマンライヴ『黒猫会議』の開催も決定しました。

ももす
CDの裏ジャケットもイララさんに描いていただいてるんですけど、そっちでは一匹だけ黒猫がいるんです。その子が“黒猫会議”の主催者なんですよ。

そんな可愛い仕掛けまで! では、ライヴへの意気込みをお願いします。

ももす
ワイワイと遊びたいですね。みんなをいい意味で地獄の底に落としてやろうと思います!(笑)

取材:本間夕子

アルバム『白猫浪漫』2023年11月29日発売 Epic Records Japan
    • ESCL-5888
    • ¥3,300(税込)

ライヴ情報

『黒猫会議』
12/19(火) 東京・下北沢SHELTER
開場:18:30/開演:19:00
チケット情報:https://eplus.jp/sf/detail/3100740001-P0030002?P6=001&P1=0402&P59=1

ももすももす プロフィール

モモスモモス:2015年よりロックバンド・メランコリック写楽の作詞作曲を手がけ、ヴォーカル&ギター“ももす”として活動。18年より“ももすももす”としてソロ活動を開始。中毒性の高いハイトーンヴォイスと純文学の影響を受けたユニークな言葉遣い、そして絵画のように奥深く、予測不能なメロディーの渦を宅録から世界へ発信している。19年2月にはシングル「木馬」でメジャーデビュー、20年3月には1stアルバム『彗星吟遊』を発表。23年2月にソニー・ミュージックレーベルズ移籍第一弾シングル「エソア」をリリース。その後も配信シングルを2曲、CDシングルを1枚発表し、11月に移籍後初となるアルバム『白猫浪漫』をリリース。12月にはワンマンライヴ『黒猫会議』を開催する。ももすももす ソニー・ミュージックレーベルズ アーティストページ

イララモモイ プロフィール

漫画アプリ「サイコミ」にて、「付き合えなくていいのに」を連載中の漫画家。心理描写を丁寧に行ったマンガを得意とする。大学・大学院では心理学を専攻し、心理学系における唯一の国家資格である公認心理師の資格も取得している。バンド演奏も趣味の一つであり、邦ロックを好んで聴く。イララモモイ オフィシャルX

「猫とメリケンサック」MV

「UKINE」MV

「6を撫でる」MV

「まともじゃないのがちょうどいいの」
MV

「犬飼いたい」MV

「エソア」MV

「宵待花」MV

OKMusic編集部

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