水樹奈々

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【水樹奈々 インタビュー】
声優/歌手の両方を
感じていただける特別なステージ

今年1月21日と22日にさいたまスーパーアリーナで開催されたライヴ『NANA MIZUKI LIVE HEROES 2023』が映像作品としてパッケージ化された。自身が声優として演じてきた代表的な人気キャラクターをモチーフに構成した、彼女にとってもファンにとっても特別な内容になった同作、さらに7月から開催される約4年振りの声出し解禁ツアーについて訊いた。

久しぶりのフライングは
今までで一番気持ち良く歌えた

改めて『LIVE HEROES』のコンセプトや開催に際した想いを教えてください。

昨年7月にリリースさせていただいたアルバム『DELIGHTED REVIVER』まで遡るのですが、同作のジャケット写真は、他の惑星からやって来たヒーローがコロナ禍で停滞してしまった地球のエンターテインメントを元気づけていくイメージで撮影したんです。そこからようやく自分たちの大切な場所が戻ってきたという意味を込めて、夏に『NANA MIZUKI LIVE HOME 2022』というツアーを開催させていただきました。そういった流れからのつながりで、やっと戻ってきた自分たちのホームグラウンドをヒーローたちが守っていくという想いを込めて、“NANA MIZUKI LIVE HEROES”というタイトルをつけたんです。

水樹さんがかかわってきたアニメ作品やキャラクターをテーマに開催したライヴは、今までありそうでなかったですね。

初の試みです。ここまでシングルの表題曲ばかりがずらりと並んだセットリストは2007年に横浜アリーナで開催した『LIVE MUSEUM』以来ですし、自分が声優として演じてきたヒーロー/ヒロインたちにスポットを当てて、私の二本柱である声優/歌手の両方を感じていただけるステージは、今までありそうでなかったものなので、とても特別なステージになりました。

1月21日は『魔法少女リリカルなのは』(以下、『なのは』)のフェイト・テスタロッサが電撃を操るキャラクターであることから“LIGHTNING MODE”、22日は『戦姫絶唱シンフォギア』(以下、『シンフォギア』)の風鳴翼が剣を武器に戦うキャラクターであることから“BLADE MODE”と題して開催され、21日は『なのは』曲だけでも12曲歌っていましたね。

「実は『なのは』の曲は1ステージ構成できるくらいあって、残念ながら今回の選曲から外れてしまった曲がたくさんあるんです。『なのは』も来年で20周年。こんなに長い期間、フェイトというキャラクターを演じさせていただき、主題歌も担当させてもらったことは、本当に幸せなことだと感じています。さらに『シンフォギア』は歌がテーマになっていることもあって、それまでの水樹曲にはなかったタイプの激アツな曲が、この作品からたくさん生まれました。それまでもテンポが速くてハイトーンの曲はありましたけど、それをさらに超えるハードな曲たちと出会えたのも『シンフォギア』という作品があったからこそだと思います。あの作品の熱量に匹敵する曲を作りたいという想いから、新たな扉も開かせてもらいました。これだけカラーががらりと違ったステージを作ることができたのも、このふたつの作品との出会いがあったからこそ! さらに「LIGHTNING MODE」のように光や稲妻をモチーフにしたり、「BLADE MODE」のように剣をイメージする曲だけで構成したステージは、たぶん他にはないと思います(笑)。水樹奈々だからこそのステージを作ることができたと思います!

1日目は水樹さんのバースデー当日ということもあり、サプライズケーキが登場しました。

びっくりしました!

でも、毎回ありますよね?

バースデーに開催する時、いつもは本編の真ん中くらいのMCゾーンで、サプライズを仕掛けてくださるのですが、今回はそれがなかったので、MCでも“大人になるともうないんだな”と話していたとおり、完全に油断していたんです(笑)。それだけにアンコールでケーキが登場した時は、素でびっくりしました。

印象に残っている曲や演出についてお訊きしたいのですが、個人的には1日目の1曲目「innocent starter」が、まさしくビルの上にフェイトちゃんが舞い降りたような演出で感動しました。

そうなんです! 通常の水樹ライヴでは1曲目はアゲ曲がくるのが定番で、「innocent starter」のようにしっとりめの楽曲を、いきなり1曲目で歌うのは自分としても初めてのチャレンジでした。けれど、「LIGHTNING MODE」の始まりの曲と言ったら、この曲以外は考えられなくて、1日目と2日目の対比を静と動というかたちではっきりつけたい想いもありました。最初はいつも“いくぜ!”って力強く叫ぶのですが、この時ばかりは“楽しみましょう!”とおしとやかに始まって(笑)、この日だけの特別感がありました。

「innocent starter」はMVでもビル群をバックに歌っていましたね。

そうなんです。フェイトちゃんと言えば高層ビル群のイメージが強いので、“グッときました”というお声をたくさんいただきました。それにヒーローと言えば高いところに登場することが多いので(笑)、1曲目はこの演出しかない!と。『なのは』曲としては「Angel Blossom」で、みんなが完璧に踊ってくださったのも印象的です。久しぶりに歌ったのですが、コロナ禍でまだ発声禁止だったので、“動きで一緒にライヴを盛り上げよう!”と声が出せないぶん、全力の踊りで気持ちを届けてくださっている姿に感動しました。

これは両日の演出ですが、久しぶりのフライングも観どころになりました。

久しぶりだったのですが、今までで一番伸び伸びと気持ち良く歌えたんです!

それはブログに書かれていた“空中歌唱筋”のおかげですね。

そうなんです(笑)。地に足が着いていないと、こんなにも歌うのが大変なのかと思わせられる部分がこれまで多々あって。踏ん張れないぶん、腹筋と背筋をいつも以上に鍛えていないと思うように空中ではパフォーマンスできないので、毎回その難しさを痛感していたのですが、今回は久しぶりだったにもかかわらず、今までで一番気持ち良く歌えてすごく楽しかったんです! きっと何かコツを掴んだのではないかと。それにプラスして、空中歌唱筋が私の中に生まれているのかもしれないと(笑)。あとでPAさんにフライングの時も声量がすごかったと言っていただけたのも嬉しかったです。

いつか誰かとデュエットフライングしたいと言っていましたね。

『シンフォギア』のライヴイベントで日笠陽子ちゃんがそんな話をしていたので“面白そうだな”って(笑)。いつかゲストをお招きして、ふたりで歌いながら飛んでみたいですね。もしも実現したら他にはなかなかないことだと思うので!

ゲストと言えば幕間の映像コーナーは、1日目は植田佳奈さん、2日目は三木眞一郎さんが出演していて、まるで映画のような大迫力作品でした。

ヒーローと言えば、映画のようなカッコ良い映像を作りたいと思い、いつもMVを撮ってくださっている監督のルーシーさんに指揮を執っていただきました。ルーシーさんが“シリアスなだけじゃつまらないからクスッと笑えるところも作りたい”と、まさかのゲストパートがその笑いの部分に(笑)。せっかくおふたりが、私のピンチに駆けつけるというアツい展開なのに、すぐ負けてしまうという(笑)。

水樹さんのシリアスさとゲストの面白さのギャップがシュールでした。

私はとことんシリアスに演じて、ゲストのおふたりには自由にやっていただきました。植田佳奈ちゃんには彼女が『なのは』で演じている“八神はやて”の要素を入れてもらいたくて、終始関西弁で演じてもらいました。三木さんには『シンフォギア』で三木さんが演じているアダム・ヴァイスハウプトのイメージで、アダム特有の倒置法の台詞回しで話していただいて。おふたりとも本当にノリノリで演じてくださって、めちゃくちゃ嬉しかったです!
水樹奈々
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OKMusic編集部

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