【THE ALFEE インタビュー】
50年経ったバンドの矜持を、
このシングルで出している
分かりました(笑)。今、高見沢さんから“THE ALFEE は3人で歌う”というお話をいただきましたが、もうひとつの新曲「Never Say Die」は、まさに3人で歌うTHE ALFEEらしい楽曲ですね。
高見沢
そうですね。バンドをやっているというのは、自分にはできない部分を持っている人間と一緒にやるということだから、それを発揮したのが「Never Say Die」ですね。サウンド的にはアコースティックをメインに考えた、ちょっとハードロック的な要素もありますけどね。
先ほど、最近は桜井さんのメインヴォーカルが多かったという話をしましたけど、3人でヴォーカルを回すのはシングル曲では意外となかった気がするのですが。
桜井
そうですね。シングルだとあまりないかもしれないですね。全部ハモッている曲はありましたが、前作のシングル「Circle of Seasons」(2022年10月発表)は頭から最後まで全部3声という、まさにTHE ALFEEならではの曲でしたけど(笑)。
高見沢
まぁ、せっかく3人とも歌えるなら、その強みを活かさないとね。(笑)。
坂崎さんは「Never Say Die」にはどんな印象がありますか?
坂崎
THE ALFEEの王道というか…まぁ、最初聴いた時はそんな感じだったかな? ただ、アレンジが意外と…
高見沢
これを歌いながら弾くのは面倒くさいよな(笑)。
高見沢
アコギではね(笑)。そこはあんまり考えなかったからなぁ。
坂崎
ギター単体で録っている時は、“あぁ、こうか”と思いながらでしたけどね。歌いながらはちょっと面倒でしたけど、まぁ慣れちゃえば。ベースと違ってギターの場合は誤魔化しが効きますし(笑)。
まぁ、そういうことでもないでしょうが(笑)。
坂崎
ベースは単音だから厳しいんですよ。ギターはコードとかアルペジオとかって、歌に寄せて弾くと、そんなに変わるものでもありませんので。
高見沢
これはね、やっぱりアルペジオの曲なんですよ。“アルペジオを活かしたら面白いな”みたいなところから始まった曲なので。そのアルペジオもね、いいギターじゃないと出てこないんですよ。で、坂崎の一番高いギターを!(笑)
坂崎
1968年!(笑) 今や1968年のギターはえらいことになっていますが。
高見沢
大台に行っちゃったよね。とうとう価値が1000万円を超えたらしいです。
どんなにレコーディングの機材が良くなって、いいセッティングをしても、やっぱりもとの音が良くないとダメだと以前もおっしゃっていましたね。
坂崎
そうなんですよ。逆に言うと、元音が良いと何もしなくても、ただ録るだけでもう良い音ですから。バンドの中での存在感っていうか、聴こえてくる音が違う。値段じゃなくて、“鳴り”ですね。生ギターってやっぱり“鳴り”が大事だから、意外とそれを知らない人が多いですよ。鳴らせない人が多い。僕は生ギターを鳴らすのが得意なんです。今、自分の中では“泉谷弾き”っていうのが流行っていて(笑)。
それはどういう奏法なんですか?(笑)
坂崎
泉谷しげるさんのギターって全部いい音がするんですよ。“何でだろうな?”と思っていたら、泉谷さんって激しくギターを鳴らしているでしょ? ライヴでもガンガンに。だから、どんな安いギターでもあの人のギターはすげぇいい音がするんですよ。“そうか!?”と思って、今は新しいギターを買うと必ず泉谷弾きをしています。
高見沢
僕も生ギターを買ったら坂崎に3日間くらい預かってもらっていて。
坂崎
1日3万円で泉谷弾きするという(笑)。音は全然変わりますね。木が変わる。本当に3日で変わりますよ。僕の一番新しいD-28も買ったばかりの時はボコボコの音でしたけど、泉谷弾きしたらめちゃくちゃいい音になりました。みんな、“生ギターを鳴らす”っていうことをあんまり知らないんじゃないかな?
桜井
エレアコ世代は弾けば音が出ると思っているからね。
坂崎
そうそう。それが生ギターの音だ思っているのかもしれない。やっぱりね、アコースティックギターはガンガンに鳴らさないとダメなんですよ。
確かにこの「Never Say Die」もイントロからとてもきれいなアコギの音が聴こえてきます。
高見沢
他の楽器の音がガーンと出ていても、いい音の生ギターは、しっかり聴こえてくる。ボリュームの問題じゃないんですよね。
アコギって歌が入ってくると後ろに行きがちなところはあるとは思うんですけど、「Never Say Die」はそうではないですね。歌と並走しています。
坂崎
やっぱり生音の存在感ですよね。買った甲斐がありました(笑)。
はい(笑)。桜井さんはいかがでしょう、「Never Say Die」は?
桜井
これも最初から“どうするんだろう、これ?”って思いましたね。フレーズだらけで(笑)。
桜井
うちは全部、歌っている人間の責任になるんですよ。でも、今回は両A面で、全員で歌っているから、3人の責任になるという(笑)。
桜井
…だけだったら、もちろん私の責任ですが(笑)。
(笑)「Never Say Die」のベースもいいフレーズを聴かせていますね。
桜井
これはもうね、フレーズをぎっちり作者が書いていらっしゃったんで(笑)。
「Never Say Die」はスイッチヴォーカルの歌もそうですが、エレキ、アコギ、ベースと楽器も連なっていて、「鋼の騎士Q」以上にTHE ALFEEのお三方が固まってる印象が強いですね。
高見沢
あぁ、なるほど。今のTHE ALFEEのライヴを意識した楽曲ではありますよね。
ライヴを意識されましたか?
高見沢
それはもちろんありますね。展開がいろいろと…間奏もアコースティックギターからエレキに移り変わるとか。照明のことも考えながら(笑)。
坂崎
今ってあんまりいないもんね、アコースティックとエレキとコーラスという構成のバンドは。だから、それを活かすっていうか。
高見沢
やっぱりそれがアルフィーの持ち味ですからね。そこが面白いところですし。
坂崎
僕らが聴いてきた洋楽のバンドは生ギターを活かしている楽曲が多かったよな。エレキとアコースティックギターが融合していて、コーラスがあってね。だから、僕らの中でこの形は普通のこと…それが転じて得意分野になりましけど。
ちょっと話が前後して申し訳ないんですけど、今、高見沢さんからライヴを意識されたという話が出ましたが、「鋼の騎士Q」の間奏で合いの手と言ったらいいか…
はい。あの辺もやはりライヴを意識したんでしょうか?
高見沢
そうですね。僕は“HEY!”好きなんで(笑)。いろんな部分で使っていますよ。「友よ人生を語る前に」(2020年9月発表のシングル)でも“HEY!”って入っていますね。
ようやく観客も声を出せるようになりましたし、このタイミングで…というところはあったのかなと。
高見沢
今年の5月からコロナが5類になり、マスクをしていれば声を出せるようになったんでね。でも、意識したというより“このサウンドに合うだろうな”って思ったのが一番ですよ。あの間奏のメロディーで、みんなで輪になって踊ってるみたいな(笑)。
一体感ですね。「Never Say Die」の歌詞についてもうかがいたいと思います。この歌詞も最近のTHE ALFEEのシングル曲の歌詞と通底していて、「鋼の騎士Q」とも重なるところがあると思うのですが、「Never Say Die」のほうがより強めというか、発破をかけているような印象がありますね。
高見沢
“Never Say Die”って“弱気になるな”という意味なんですよ。それは誰かに向けてというよりも、来年でデビュー50周年を迎える自分たちに向けてのメッセージ的な感じでもありますね。“50年経っても弱気になるな!”みたいな。
“勢いをつけて行こう!”というような?
高見沢
そんな感じですね。まず自分たちが元気な姿をステージで見せていくことでオーディエンスが元気になるなら、それにこしたことはないですからね。
坂崎
元気な姿を見せた方が、みんなも元気になりますよ。