阿部真央

阿部真央

【阿部真央 インタビュー】
人に届けるためには、
自分が楽しく歌うのが一番いい

心を躍らせながら、緩やかにスウィングしながら踊る。柔らかく温かな陽の光に包まれて、澄みきった川に並ぶ飛び石をポンポンと跳ねながら明日へと進んでいくー。そんな姿が彼女が語ってくれた話から浮かび上がってきた。新作「I Never Knew」には自然体で歌を、メロディーを、サウンドを織り成すポジティビティーが満ちあふれている。

ガラッと世界線が変わるくらい
ポジティブに変わったかも

金髪のショートヘアーがとてもお似合いですが、気分転換やリフレッシュですか?

気分転換もあるんですけど、どっちかって言うと“チャレンジをどんどんしたい”というモードでした。やっぱりコロナ禍になってから音楽性を中心に自分の身の振り方とかを考えたんですけど、いろいろ迷いが吹っ切れてきて。今回の新曲もそうなんですが、音楽も“新しいことにチャレンジする”っていうモードですし、ファッションも“その勢いで!”みたいな感じでした。髪の色の変化って、私の中のチャレンジングなモードが分かりやすく出ていますね。

カラフルなものを身にまとっている印象が強くなったのもその表れでしょうか?

そうだと思います。岡崎体育くんの曲の中に《無意識にまたネイビーブルーを手に取り無難を求めちまうぜ》(「鴨川等間隔」)っていう歌詞があるんですけど、“分かるなー”とずっと思っていたので。でも、一番は“どんな色を身に着けても自分がぶれない”ということを知ったのが大きいかも。“形が変わっても、色が変わっても、そんなに私って変わらない”と思ったら何でも身に着けられるようになったんですよね。

先ほど“迷いが吹っ切れた”とおっしゃっていましたが、吹っ切れ方も変わってきた?

変わっていますね。過去も幾度となく右往左往していて“ああでもない、こうでもない”とやってきましたけど、それも迷いの中の前進だったというか。でも、あまりにも大きかったんですよね、コロナ禍に陥ったことで考える規模が。自分の人生とかも全体的に見なくちゃいけなくなったし。で、その悩む密度とか大きさが変わっているぶん、吹っ切れた時の吹っ切れ方もガラッと世界線が変わるくらいポジティブに変わったかも。

それは意図的に? 自然とそうなった? それともならざるを得なかった?

ならざるを得なかった…ですね。コロナ禍になった時点から、結果的には意図して動いていたような感じなんです。ただ、そのそれぞれの小さな歩幅のきっかけは、思いがけないことばかりの連続でしたね。思いがけないことが起きて、“こんなはずじゃなかったのにな。なんでだ?”って考えて。で、答えを、出口を探したくて動くんですけど、またそこで思いがけないことが起きて方向転換になり…の繰り返しで。だから、結果的には意図して動いたから吹っ切れたんだけど、その道筋は全部思いがけないことだったので、そうならざるを得なかったという感じです。

分岐点が次々と現れたみたいな?

そうです。音楽性のこととプライベートな人間関係も含め、大変化が起きたと思ったら崩壊みたいな。今まで見えなかったものが、コロナ禍で見えたんですよね。

人間関係はありますよね。小さい綻びなんだけど、修繕は不可能っていう。

ほんとそうなんですよ。すごく小さい穴なんだけど、“もうこのニットはきれないなぁ”みたいな(苦笑)。“替えの糸がないんだよね”って。

逆にかけ替えのないものも改めて発見したり、感じたり?

まさにですね。YouTubeライヴをやったり、今回の新作をレコーディングしたりして、改めてずっと一緒にやっている制作チームとかライヴチーム…そういう人たちの大事さ、ありがたさ、寄り添ってくれるやさしさや頼もしさをすごく感じたし。こういう人たちが側にいてくれることが財産で、これからのフェーズはこういうつながりが一番大切なんだなって実感しました。

フェーズという点では、音楽的には今作でもう新しいフェーズに入っていますよね。

意外とそこはスムーズだったんですよ。今までの作品でも少しずつ変化してきましたけど、今回明らかに違うのは“こういうことをやってみたいな。やってみようかな?”と思って着手していないところなんです。だから、作ってみたら、気づいたら変わっていたっていう。曲作りのきっかけをギターからピアノに変えてみたりとかの変化はあったんですけど、そこから出てくるものや最終形が気づいたら全然違うものになっていたというか。さっきの金髪にした話とも連動してくるんですけど、本当に自分自身が根底から変わったんだなって曲を聴いて実感しているんです。でも、無理はなくて。それは音楽的にアーティストとして変わっていこうと思ってやっていなくて、本当に変わっちゃったからなんだなって感じます。

“変えねば、変わらねば”と自分に背負わせるのではなく、理想に向かって行ったら変わっていた?

あっ、そうです! “このままではいけない”というのは2020年のほうが強くて。それを私は“自己内省”と言っていたんです。そんな自分を見つめ直したり、再発見することに充てた2020年があって、2021年にアウトプットしていったら変わっていたという感じです。
阿部真央
配信シングル「I Never Knew」

OKMusic編集部

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