【kobore インタビュー】
ふとした時に見る
夕焼けのような存在になれたら
koboreがニューモードに突入している。メジャー1stアルバム『風景になって』(2020年8月発表)を経て、初めて来る若いファンも増えたことで、彼らの創作意欲に新たな火がついた。それがこの6曲入りEP『Orange』に”成長”という名のもとに刻まれている。楽曲そのものの魅力を一段と高めた同作について直撃した。
人間の感情をメロディーで
具体的に表現することを意識した
前作『風景になって』は幅広い曲調を揃えてましたが、今作は歌とメロディーによりフォーカスが絞られ、それを際立たせるアレンジになっていて、歌の存在感が高まった一枚ですね。
佐藤
自分でもようやく自分たちの曲を好きになれた感覚があるんですよ。今回の曲たちは“歌いたい!”という感覚が強いですね。楽器隊も自分の歌にプラスαしてくれるシンプルなリフをつけてくれたから。ライヴを想像するしないというより、純粋に曲がいいし、新しいものができた感覚はありますね。
ええ、次のステージに進んだ聴き応えのある楽曲ばかりだなと。
田中
僕も今までと結構違うと思っているし、曲作りを含めていろいろ変えたんですよ。曲によってはDTMで打ち込んだものをメンバーに聴かせたりして、自分の明確な意思も伝えられたし。今回の曲たちはやりたいことがそのままかたちにできたから満足度も高いです。自分のベースも今までは手癖やノリでやっていた部分もあるけど、打ち込んで可視化した上で音符を見るようになりましたからね。
前作はメンバー内でお互いのフレーズに対して言い合う空気ができたとおっしゃってましたが、今回は?
佐藤
家で曲を作って“こういうふうにしたいんだよね”ってスタジオで伝えるようになったので、他のメンバーも理解しやすかったんですよ。コロナ禍ということで、メンバーそれぞれ考える時間があったし、曲が出来上がっても、そこからさらに良くなりましたからね。レコーディングにも時間をかけられたので良かったなと。
そんな今作の最初のビジョンというと?
佐藤
特に決めずに自分たちのやりたいことをやろうと。EPは一般的に5曲くらいだけど、6曲ぐらい入れたくて(笑)。ビジョンで言えば、前作以降に聴いてきた音楽やスキルを一曲一曲に全部詰め込もうと。
その自分たちがやりたかったこととは?
佐藤
メロディーにこだわりたかったんです。前作は音色や展開にこだわったけど、今回はサビで高い声になるとか、抜けがいいわけではないんだけど、めちゃくちゃメロディーが良くて聴きやすいみたいな。人間の感情をメロディーで具体的に表現することを意識しました。
なぜそういうふうに意識が向いたのですか?
佐藤 やっぱりメロディーがいい曲は無条件でいいんですよ。メジャーデビュー以降、初めてライヴを観に来る若いお客さんも増えたんですけど、そういう子たちは音源を聴いてライヴに足を運ぶじゃないですか。まずは入口として、いい曲を作りたかったんです。自分がライヴに行きたくなるバンドはメロディーが良くて、その曲をライヴで聴けたらテンションは上がりますからね。最前にいるお客さんもそうだけど、後ろにいるお客さんにも届けられるように考えました。
改めてメロディーがいいと思うバンドを聴き返したり?
佐藤
そうですね。スピッツやポルノグラフィティとかの超メロディーがいいJ-POPを洗いざらい聴きました。そのために実家にCDを取りに帰りましたからね(笑)。改めて聴くと、サビで特に高い声を出してないんですよ。あと、ORANGE RANGEとか小学生、中学生の頃にハマッていたし、振り幅が半端ないなと。それと、BUMP OF CHICKENも好きなので聴き返しましたね。
「夜空になりたくて」は今作の中でもズバ抜けてポップですよね。
佐藤
嬉しいですね。歌メロの一部だけベースが作ってくれたんですよ。
田中
曲ができた時に“これはイケる!”と思いました。レコーディング中もメロディーについて話し合ったんですよ。キーはキツかったみたいだけど、いい味が出ているなと。
佐藤
歌うのは大変でしたね。今までにないポップ性が出たのは僕らはずっとキーをEでやっていたけど、この曲はGで明るいコードなんですよ。キーも上がり、サビで一瞬高くなるところも切なくていいなと。
田中
この曲は作り方も今までと違うんですよ。これまではスタジオで4人で作っていたけど、まず曲のオケを作って、そこに赳がメロディーを乗せるという。この曲で新しい可能性が見えたから次回も楽しみですね。完全に新しい作り方で新しい曲調ですから。